【小説】クイズです! 【ショートストーリー】
俺のいるこの世界は、クイズに正解しなければ生きては行けない。
仕事どころか外にも出れない。
時刻は6時56分57秒。
6時に起きてから数々のクイズに挑戦したが、1問しか正解していない。
その正解した1問で、会社に行く為の切符を手にした。
7時に家を出なければ電車に間に合わない。
なんとしても正解しなければ…
俺の周りをボウリングボールみたいなロボットが、ハエのように飛び回る。
この世界が作り出した忌々しい産物。
これは、未知のウイルスによる感染者をこれ以上増やさない為の政府が打ち出した政策なのだ。
国民1人に対して1体のロボットが取り憑く。
ロボットがクイズを出し、正解した者に生活必需品を提供するというシステムだ。
クイズに正解しなければ外出もままならない。それが政府の狙いだ。
このロボットの名前は、政府により『ガースーミクス』と名付けられた。国民の間では『検討おじさん』と呼ぶ者もいる。
この『ガースーミクス』の出すクイズは超難問だ。
「永田町に春は来るのか答えよ」や「総理官邸の七不思議を九つ答えよ」なんてわかるわけがない。春は誰にでも平等に来るし、七不思議なのに九つってなんだよ!
俺の周りを飛び回っていた『ガースーミクス』が色紙を出した。
色紙を出すのがクイズを出す合図だ。
「クイズです!○○都知事のスリーサイズを答えよ」
「んなの、知らねぇよ!!」
「不正解です。不正解です。」
ったく!知りたくもねえ!
『ガースーミクス』が色紙を出した。
「クイズです!社会的距離を英語で答えよ」
「ソーシャル・ディスタンス!!」
「正解です。正解です。」
「よっしゃー!!!」
「何が必要ですか?何が必要ですか?」
ぐぅー
お腹が鳴った。
朝食を食べる時間はない。必要なものは、やはりアレしかない。
「マスクをお願いします」
『ガースーミクス』の口から、白い小さな布マスクが出てきた。
時刻は6時59分59秒。
俺はマスクをつけ、全裸で家を出た。
#真顔で文字を書いて笑わせる1グランプリ
#出場中
#裏ボスはそら色のあの人
※習慣にしている白米占いで「3粒目に吉あり」と出たのですが、オレンジ色の蓮根の神様に「3は1やで」と新しい解釈を教えていただきました。この度、第3回ではなく、第1回『真顔で文字を書いて笑わせる1グランプリ』に出場する事になりました。小説でも出場できるのでしょうか?とオレンジ色の蓮根の神様に尋ねたら「俺がルールや」のお言葉をいただいたので小説での出場となりました。よろしくお願いします。
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