見出し画像

文章は読んでもらって、なんぼ

コテコテの大阪弁を、浴びました

ある日、ある上司が話しかけてきたのです。
コピーライター2年目の24歳の頃でした。

「君なあ、広告の文章ちゅうのは、
読んでもらえへんねん……そこで、どう書くかや!」

京都生まれ京都育ちの僕には、
面と向かって浴びた、ほぼ初めての強烈な大阪弁。
何よりその内容がショックでした。

当時は自分が書きたいことを書くのに一生懸命で、
それなりに努力もしていましたのに。
書けば読んでもらえる、それ当たり前、じゃないの!?

なんの値打ちもない文章

その上司はコピーの切れ味もよく、
考えのしっかりした人で尊敬していました。

「読みたい文章しか、人は読まん。
人は、興味のない文章は受け入れへんねん」
と、教えてもらって思い知らされました。

読んでもらえなければ、
ま、大阪的に言えば
読んで買うてもらえなければ、
どれだけ時間をかけて書いたとしても、
その文章はなんの値打ちもないことになると。
そこで、どう書くかや!
書いても書いても、その声に悩まされました。

画像3

「LLサイズあるよ」

ある日、神戸元町の国鉄(今はJR)高架下商店街を
ブラブラしていました。
いま思えば、昭和の匂いが溢れるお店が並んでました。

二十メートルほど向こうの店先に、
タバコを吹かす服屋のオヤジらしき人物。
太っ腹の上にネクタイがちょこんと乗っている。
その前を僕がちょうど通り過ぎる、まさにその瞬間、
オヤジが囁いたのです、ボソッと。
「LLサイズあるよ」

実は僕は、昭和の真んなか生まれにしては珍しく
身長が187センチもあるのです。
オヤジはそんな僕に関心を持ったのでしょう。
ああコイツは、着るモンで困っているやろと。

耳に、言葉が飛び込んできた!

僕はその囁きに、思わず立ち止まりました。
もし、それが「かっこいい服あるよ」なら
たぶんさっさと通り過ぎていた。
だってその時、服のこともサイズのことも
一ミリだって考えもせずに歩いていましたから。

なのに「LLサイズあるよ」。
それは奥深くに眠っていた僕のこころを
ゆさぶったのです、きっと。
ともかく言葉が、すっと耳に飛び込んできた。
帰りの電車の中で、
どう書くかがわかった気がしたのです。

画像3

人が読みたくなるように、書く

それまでの僕は自分の書きたいことに夢中で、
読む人のことなんか考えていなかった。

いま僕は「ぶんごころ塾」で文章を教えています。
皆さん最初は、かつての僕と同じように
書けば読んでもらえるなんて当然、なんですね。
そこでそんな書く心をゆさぶるために、
僕が身につけた「伝わる文章の大原則」を教えます。

『書きたいことを、
人がつい読みたくなるように、書く』 

書きたいことを書く、はわかる。
でも、人がつい読みたくなるように、がわからない。
ここで、まごつきます。
書いた文章が読んでもらえない!
なんて、これまで誰も教えてくれなかった。
けれどここをマスターすれば
あなたの書きたいことを書いた文章が、
つい人が読みたくなる文章に見事に変わります。

文章が、目に飛び込んでくる

文章は、読む人ファーストなんですね。

いま、世の中が思っていることは?
いま、女性や男性がそれぞれ気づいていることは?
いま、若者や高齢者がそれぞれ受けとめていることは?
そんな読む人の思いや気づきに答えているなら、
あなたの文章は、目に飛びこむはずです。

あなたの文章を読む人は、
いろんなことをこころの奥底で考えています。
つまりあなたの書く文章は、
いろんな人のこころにつながっていくんです。

画像4

「文章を書く」ということ

書きたいことが書けた!
そんな時思うのですね、文章を書いたと。

でもそれ、違います。
「文章を書く」と言うのは、
書き直している状態のことです。

人がつい読みたくなるように書き直す。
それが「文章を書く」と言うことなんです。

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?