読書『きときと夫婦旅』

『きときと夫婦旅』柳月美智子著,双葉社
先日、この本を読んだので感想文です。
※8割は自分の話。ネタバレはほぼない。

あらすじ

息子の中学3年生の昴が学校をサボって家出をしてしまう。
昴は学校をサボってどこかへ行くような子ではない!と焦る母、みゆき。
中3男子ってのはそんなもんだ、と無関心な父、範太郎。
行先は、なんと富山。
みゆきと範太郎の夫婦は、昴を迎えに出発したが
道中、ふたりは言い合いが絶えない。
ここ何年もまともに会話をしていない冷めきった夫婦だったのだ。
無事に昴を連れて家まで帰って来られるのか…?

夫婦って

この本の一番の魅力は、みゆきと範太郎の会話だ。
ついクスッと笑ってしまう。

みゆきは夫の言動全てが癇に障る。
それは相手に期待しているから。だから夫に期待しないようになった。
つまり、“あきらめた”のである。
もちろんみゆきと範太郎も最初からこうだったわけではない。
恋愛結婚だし、同じ出版業界で働いているという共通話題もある。
しかし仕事をしながらも家事や育児は全てみゆきが行うワンオペ状態。
そこから言い争いが続くバトル期間を経て、現在の冷戦期間となった。

我が家の両親は二人で買い物へ行くこともあるし、喧嘩もすることがある。
仲が良いという表現は違う。が、労りあっているのは分かる。
喧嘩の時は基本的に母が口が達者なので言いたいことをぶちまけ、
父は内向的な人間なので、不機嫌モードに入りひたすらに無口になる。
しかし最近、母は悟った。30年以上連れ添った結果、父に何を言っても変わらないと気づいたようだ。みゆきと同じことを言う。「相手に期待しているから、そうならない時にイラッとしてしまう」と。
同じように“あきらめた”のだ。父の頑固一徹な部分はだれも変えられない。
しかしそれは悪いことだけではない。
父の頑固なところは、いつも突っ走る母を止める我が家のブレーキでもあるからだ。

結婚へのあこがれ

私は未婚30代女。例にもれず、結婚へのあこがれが強い。
周りの友人が結婚していくのを見て、やっぱりうらやましいと思う。
結婚した子とは少し疎遠になりがちで、
結婚後の話を聞く機会も少ない(そもそも友達少ないし)。
相手も家庭があり忙しいかな~とか、話題合わなくなってるかな~とか考えてしまい、連絡も億劫になる。

しかし両親を見たり、この本のみゆきと範太郎を見たりしていると
夫婦ってやってみないと分からないし、
長年付き合ってようやくわかることもある。
嫌なら別れれば良いと思うだろうが、いろいろタイミングを逃すとできないのかもしれない。子どもがいる、経済的な困難など。

私が描く夫婦は、理想でしかない。
いつまでもお互いが好きで、尊敬し合って、一緒に大変な時も支え合える同志のような存在。
私がほしいのは“夫”でなくてもよいから、そういう人がそばにいてほしいのだと思う。今は両親がそんな感じだから、満足している。だから、婚活も本腰入れていない。
が、両親がいなくなった時、そういう存在がいなくなるのがつらい。
だからそういう存在の人がほしいのだ。
まあ夫になったからといって、私が死ぬまで夫がそういう存在として生き続けてくれるかもわからんが。

結局、自分次第かいな

そういう存在は別に一人でなくてもいいわけで。
たくさんいたって良いわけで。
しかも、それって自分が行動した分だけそういう間柄になれる可能性は高まるわけで(相手が受け入れてくれればの話)。
結局、自分の行動次第かいな~。

結婚がすべてじゃないって、そういうこと?
かといって、今の自分以上の自分を演じては意味がないので、ありのままの自分で勝負していくしかない。
ありのままの自分ってよく言うけど、自分のイヤのところを見せるのって勇気いるよね。嫌われたくないし。
けど、実際に家族は受け入れてくれているから、受け入れてくれる人はこの世に存在しているのだなあ。嫌なところがあっても捨てられてないもんね。
家族だからイヤでも離れられないだけかもと思ったけど、
子どもを捨てちゃう親だってごまんといるしね。
ある意味、それで自信を持ってよいのかもね。
私はほんと幸せものだなあ。

この本をおすすめしたい人

本の感想からかなり飛躍してしまったが、
個人的にこの本を特におすすめしたい人はこんな人。

  • 既婚者(特に結婚してから10年くらい経っている人)

  • 子どもが中学生など反抗期を迎えている人

  • 旅行が好きな人

  • 富山行ってみたい人

  • 鉄道オタクな人

と、ここまで書いて書き忘れていた大事なこと。
この本は旅行記としても素敵な本だ。
富山って最高!コロナ落ち着いたら富山行くぞ!と言わざるを得ないはず。

ぜひお試しあれ~

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