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雑文集 #2

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雑多な文章の集積の二個目です。
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2021年9月の記事一覧

雑文 #281 親友Y-2

雑文 #281 親友Y-2

私はよく寝る前にお香を炊く。京都のお気に入りのお香屋さんのだ。

ずーっと前に、亡き親友Yからもらったお香立てを使い続けている。

彼女は誕生日とか記念日でもない日に急にプレゼントをくれる人だった。

昨日、Yのことを書いたのでまたさらに書きたくなった。

私は二十代の頃にYの家と歩いて10分かからないようなところに住んでいた。学校も職場も別なのに。(彼女は中学からの友人だ)

だから、気軽に呼び

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雑文 #280 親友Y

雑文 #280 親友Y

思い出す過去の話。

約9年前、いちばんの親友が急死した。

その兆候には私は気づかなかった。私はその頃私の人生を揺るがす大きな問題に立ち向かい、迷い悩み、この答えは誰の意見でもない自分の判断で決めるべきなのだと心のどこかで察していた。

昔からいろんなことを打ち上げあっていた親友Yに、そのことはなぜか相談しなかった。

連絡も比較的頻繁なYに、数ヶ月連絡をしない期間があった。私はその頃秋田に住ん

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雑文 #279 誕生日

雑文 #279 誕生日

数日前に、ひとつ歳を取った。

今年の誕生日は、キリがいい数字でもないのになぜか焦る。これでいいのか、これでいいのか自分?とどこかで声がするような感じ。

良くはないと思う。

でもどうしたらいいのだろう。いつからか、頭がぼんやりする。靄がかかっているような気がする。私が撮った、中秋の名月の写真のように。

雲の切れ間から見える明るさ。大きくてまんまるの、輝くお月さま。

私の頭は靄がかっているか

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雑文 #278 秋

雑文 #278 秋

10日ぶりぐらいに自分の家のベッドで寝る。

家を離れてリフレッシュできただろうか。

いやでいやでたまらなかった料理。久しぶりに丁寧に作ったら、美味しくできた。

きんぴらと、牛丼と、お汁。

友達と会った。

小学校からの友達。すごくゆったりした気分になれるひと。

彼女のおかげか、日常を離れたおかげか、焦らずゆっくり物事に臨めそうな気がする。

心の余裕のようなものが少し生まれてる気がする。

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雑文 #277 知らない街へ

雑文 #277 知らない街へ

知らない街へ来ている。

自宅から、都合8時間かかった。なかなかの遠出である。

電車の車窓から、山が見えほんの少し色づき始めた稲穂が揺れていた。

トンボが飛んでいる。

電車はごく小さい。ゆっくりとしたスピードで田舎の線路を走る。

時の流れがゆったり。

田んぼと山と部屋から時折り聴こえる電車のコトコト音で、私は最後に秋田に住んでいた家の環境を思い出さずにはいられなかった。

今頃は涼しくな

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雑文 #276  スマホ買い替えストーリー

雑文 #276  スマホ買い替えストーリー

朝起きたらスマホが死んでいた。

「あちゃー」と私は思う。

急いで何とかしなきゃいけない。明後日から出張だからだ。

知らない街へ行くし、連絡などでスマホは必要なのだ。

電池切れになるのが早くなっていたから、寿命だったのだろう。

本当はその前に買い替えるべきだったのだ。

私は携帯ショップへ行くのがひどくきらいだ。いやすぎて、お腹が痛くなった。

「電話」がないので、会社から電話をかける。

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雑文 #275 東京疲れ

雑文 #275 東京疲れ

カメラロールにほぼ仕事関係の写真しかない。つまらない。トップ画像は2週間くらい前のもの。ダチョウ牧場にて。暑かったな。私は近頃あんまり笑わない。年齢を重ねると、笑わなくなるんだろうか。いや、おばさん集団とかを思い起こすとそんなことはないような気がする。コロナ禍の影響はあると思う。 正直言って、何も楽しいことがない。 それか、些細なことを楽しいと思える能力がなくなってしまった。 日々粛々と仕事

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雑文 #274 ある短編小説を読んで

雑文 #274 ある短編小説を読んで

ある小説を読んでいて、突然ズドンときた。 愛読しててもう再々々々々読ぐらいだろうに、やはり読む年代で受ける印象が違うのだ。 短編で、サラリと書かれているのに、漫画で頭に岩が落ちてくる場面みたいに、ドスンと衝撃を受けた。どうなんだろう、私は細かいことには敏感な気がするのに、大きなことに鈍感なのかもしれない。他の女性がとっくに心得ていることに、気づいていない。小説で、言葉にされて、初めて気づく。今

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