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映画「君に届け」 風早くんはやっぱり爽やかから出来ている人だった


「君に届け」
この作品を、あの風早くんを、大きなスクリーンで見る機会がやってきた。
今は綺麗なデジタル上映をする世の中なので、フィルム上映ができる劇場が少ないらしい。しかし一度みておきたい。風早くんを大きなスクリーンで。

当日は、flumpoolの「君に届け」を聞き、マスクの下でニヤけながらむかった。女性が一人で同じ方向に歩いていると、みんな風早くんを見に行くのではないかとさえ思ってしまうほど、なんだか朝から浮かれたいた。

「君に届け」と私

この作品は随分前に見たことがあった。その時は春馬くん目当てでないので「高校生の恋ってこうよね~」みたいな印象を持ったことを覚えている。
去年の初めての緊急事態宣言の時、「同じ映画を見たあとでオンラインで飲みながら感想を言い合おう!」という謎のイベントを友達が開催し、何故かこの作品がお題だった。
「春馬くんと多部ちゃんが出ているだけでしょ」「見たことない、というか見る年齢じゃない」「こっぱずかしくて無理」という意見もあったけど、「出掛ける場所さえもないんだから、ときめこう!」と謎の決行。

見たあとはみんなで以外に盛り上がった。オンラインで「あーでもない、こーでもない」と言いながら、「風早くんにやられた」という友達をネタにみんなでげらげらわらった。そこからは映画の話よりも、すごく昔の恋愛話が繰り広げられて、「君に届け」のおかげで楽しい日になったと終わった。

もうしばらく見ることもないと思っていたけど、案外すぐに私は3回目を見ることになった。本当に少し前、あんなに浮かれてみんなで話した映画を、涙を浮かべながら、一語一句漏らさないように、動き1つも見逃さないように・・・そんな風に思いながら見た3回目。あの時の状況を思い出すと、まだちょっと胸が苦しくなるけど、今はもう泣くこともなく、にやにやしながら見ることができている。

「風早翔太」という役どころ

風早くんを初めてみて、春馬くんにぴったりだと思っていたけど、色んな記事を読んでいると、とても苦労した春馬くんが想像ができる。

すでに姿がある”風早くん”からかけ離れたくはなかったですね。僕はわりと”気にしぃ”なので配役が発表されてからの世間の反応はすごく気になりました。ネットの書き込みなどを見て、ショックを受けたりもしましたね(苦笑)でもだからこそ、衣装合わせの段階から積極的に意見を出したり、髪型も意識して外見から慎重に作り込んでいったんです。

                ~映画公開時の雑誌のインタビューより


「風早くんは、この人にやってほしかった」なんていう実物名入りの書き込みも見たと書いてあった。切ない・・・20歳になったばかりの”気にしぃ”な青年には、なかなか落ち込む現実だったと思う。
実際に「風早くんは〇〇くん(今も活躍されてる俳優さん)しかいないと思ってた」という原作ファンの女性(当時は女子?)の書き込みをみたけど、「見終わったら、あれは三浦春馬しか無理だと思った」という感想を書いていた。その記事も春馬くんが読んでたらいいなっておもう。

色んなプレッシャーを乗り越えたからこその、あの好きな人をこっそり目で追ったり、爽子を見てるくせに見ていないようにする視線の秀逸さ。目があったときの誤魔化し方。気になる子がいるからこそ、クラス行事や体育祭なんかのイベントで張り切っちゃったりする心がちゃんと表れてる表情とふるまい。「私にもそんな時代があったんだな(遠い目)」って、見てる人たちの胸をキュッとさせてくれて、その時代にもどしてくれる。

やっぱり風早くんは爽やかから出来ていた

ちょっと見方をかえると、今のこの時代、爽子に対するいじめっぽくも見えるシーンに思えたりするけど、そこは爽子の素直な(天然な?)性格でカバーされている。加えてそんな爽子を見つめて絡む風早くんや、千鶴とあやねの友情により更にカバーされている。

肝試しの罰ゲームで、爽子と一週間つきあうように言われた風早くん。「黒沼は女の子なんだから、失礼だ」という。その瞳はまっすぐで偽りがない。そうだよね、学生の時ってこういうからかい、ひやかしあったな。面白がって言われると傷つくんだよね。
風早くんが「ちょっ、やめろよー」とかいう人じゃなくて良かった。

爽子がグランドで一人、石ころでサッカーの練習をしているとき、「そんな石じゃ練習にならないでしょ」と言うセリフと共に風早くん登場。泣きながら、自分といるとみんなに迷惑がかかるという爽子に、

「迷惑かどうかは、黒沼が決めることじゃない。俺が決めることだ!俺は噂なんて関係ない。」
「パスってさ、本気で届けって思わないと受けてもらえないんだよ。」

ここ一連の流れが好き。
その通りだ。これくらいの年頃は噂に翻弄されたり、友達がいうことが正しいと思いがち。自分の意見があんまりなかった気がする。

そしてやはり赤いハチマキをなびかせる体育祭は無条件ににやけてしまう。得点した風早くんの、「イェイ!」のハイタッチ。タイミングがずれちゃうけど、風早くんは笑顔でちゃんと合わせてくれる。いや、マスクしててよかった!って程にニヤける。

春馬くんがインタビューで「映画の中で、唯一のラブシーン」と答えている爽子の手をひいて体育館から出ていくシーン。「すごくドキドキした」そうだ。
「りゅうの事すきなの?」って聞いた後、しゃがみこんでしまうところなんて、こちらもきゅんきゅんしてしまう。「んなわけないじゃーん!」と思いつつ、「若いころってああだったよな、なんかすぐ不安になったな」と思いながら、一緒に恥ずかしがった。

あとはみんな大好きなラストの「いいよ、ゆっくりで」。表情もたまらない。桜が舞い散るころからの淡い思いが、舞い降りる雪と一緒に実らせることができて本当によかった。

風早くんみたいに、みんなから人気のある男子って、絶対目立つ女子とか学園1のかわいこちゃん(くるみみたいな)とくっつくというイメージが昔からある。自分の気持ちを偽らない、周りに乗せられない、風早くんは素敵だ。
いや、でも超超超!鈍感なんだね。そこもまたいいのだけど。

恋愛と青春以外の大切なことも教えてくれる映画

「君に届け」と調べると、爽やかな2人が教室に座っているところが出てくる。風早くんの笑顔は「絵ですか?」っておもう程に美しい。
少女漫画が原作で、あのビジュアルを見てしまうと、映画の内容、展開や結末、全部がとても想像しやすい。いや、実際のところ想像通りなのだけど。
特別古さを感じない。。。不思議。

11年前の作品だから、みんなが来ている服装なんかは今時じゃないし、LINEなんてないし、みんなで寄り道する楽しさだったり、校門で待ち合わせしたり、学校行事自体が大きなイベントだったり、何より自転車を走らせながらの「この想い、君に届くのだろうか」なんていう純粋な思いだったり。

公開されたころ、この映画のことは全然知らなかったし、去年の夏のことがなかったら、こんなに何度も見てない映画だったと思う。公開から11年たった今この年齢で見てるから、かけ離れた視線で見れるのかな。恥ずかしいシーンもニヤニヤしながら、ちゃんと見れるんだろうな。

映画の中には、今はもう忘れてしまった、遠い彼方にある甘酸っぱさがたくさん散りばめられていて、みんながキラキラしていた。あんな青春の日々はもう絶対にこない。高校生のとき、もっと楽しめばよかったな。。。ってこの映画を見たらいつも思うけど、その分これからも、爽子と風早くんにずっとずっと味合わせてもらうことにしよう。

「くぅ~」と言いながら、体をくねくねさせながら、仲間がいるっていいな、友達っていいな、恋っていいな・・・そんな当たり前の大切さを思い出させてくれる。そんなピュアな気持ちと、爽やかさを求める時は、やっぱり「君に届け」だ。これからもずっと。

おまけ:「風早翔太」と聞くと思い出す人

とはいっても高校時代の恋愛の話ではない。私は「風早翔太」ときいたとき、すぐ思い出した人がいた。高校生の時に、「白河北斗(しらかわほくと)くん」という同級生のことだ。
当時はそれはそれは目立つ名前だった。妹さんは確か「白河七星(しらかわななせ)ちゃん」だったと記憶している。とても素敵なセンスをお持ちのご両親だったんだと思う。ご両親は、星が好きかどうかはわからないけど、これで好きじゃなかったら逆に驚くか。

本人は「この名前が嫌い」とよく嘆いていた。学校や塾のクラス替えの時は必ずみんなが見るそうだ。しかもこっそりと。。。(想像できる!)
確かに名前からイメージすると、すごくキラキラした人、それこそ風早くんみたいな人が座ってそうな気がする。彼は特別モテるタイプでもなかったし、ちょっと性格かわっていたし、ご両親がつけてくれた名前だもん、彼のイメージにしては申し訳ない。

だけど私は「風早翔太」という名前を初めてきいたときに、何十年かぶりに「白河北斗」くんを想いだしてしまったのだ。そこからはもう必ず紐づいてしまう。どうにかしたい、これ。



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