数字に色が見える
子供の頃からの不思議で、美智子には数字にはすべて色がついていた。
黒板に白いチョークでかかれていても、プリントに出された文字でも。
それは数字だけではなく文字すべてに色がついていたのだが、特に数字が面倒だったのをよく覚えている。
例えば、1+1=2、3+5=8という計算も、
水色+水色=赤 などになるのだ。
なので常に頭の中で色がたくさんあって、
また色も小学生の時にはすでに色相環のようなものが頭にあった。
白は白でもたくさんの白があって、
赤を何パーセントくらいの青とか、そんな感じだった。
でも、それは美智子だけではなく皆がみえていると思っていたので
美智子も特に異常を感じずに過ごしていた。
ただ、いつも頭の中は情報がたくさんあって整理するのが大変だったのだ。
大人になって「絶対音感」というものが世の中にある事をしった。
美智子は耳もよかったので、一度聞いた曲はわすれなかったし
「この曲はあのドラマの中のこの部分に一瞬使われた曲」という感じで覚えていた。
メインの曲よりも、そういったちょっとだけに使われた挿入曲をよく記憶していた。
それらをすべてドレミにはできなかったが、言葉に音楽が付いていたのは数字に色がついていたころと同じころに起きていた。
しかし、美智子は母の影響で「歌が嫌い」だったので言葉がすべて音になるのは耐えられず自制したのかいつのまにか消えていた。
しかし、色だけはたくさんあった。
世界がとても色に溢れていて、日常すべてが色があって、それは決してきれいな事ではなくて…疲れる情報量だった。
それでもたくさんの色鉛筆は美智子にとっては宝物だったし
文字を書くにも数字を書くにもすべて色分けをしていたので、
ノートはいつもカラフルだった。
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