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shikibufree17
雨音か 薫風に揺れる 若葉の声
仕事が終わり、帰ろうとした時。
サアァーーーーッ
ブラインドで締め切った会社の窓の外から音がしました。
『ああやだなぁ。また雨が降ってきたのかな…』
そう思い、ブラインドを人差し指で少し開けて外を眺めました。
空に雨雲はなく、道路を見ても傘を差している人も見いない。
『あれ?おかしいな?』
サアァーーーーッ
雨降りのような音はやっぱりまだ聞こえてきます。
「お疲れ様でした。お先に失礼します。」
そう言ってカバンを持ち、共用ホワイトボードに貼った自分の名前のマグネットプレートをひっくり返し事務室を出ました。
階段を降りて正面玄関へ。
会社から外に出てみました。
やっぱり降っていない。
サアァーーーーッ
でも音は聞こえる。
音の方に目を向けると、正門前の若銀杏の木たちが揺れていました。
『風に揺れる葉っぱたちの音だったのか…』
ようやく理解しました。
新緑・若葉のころに吹く風は「薫風」「風薫る」と表現するのだとか。
薫風になびく若葉たちの声を聞きながら正門をでました。
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