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ウン十年ぶりにトランペットを再開した話。

学生時代にサークルのジャズバンドラッパを吹いていたのですが、ハイノートが出せない下手くそぶりで、卒業と同時に諦めてやめてしまった。本当は音楽もトランペットも好きだったのに。その頃前歯を折ってしまったこともきっかけになった。

社会人になって、一般的な音楽は聴くものの、ジャズともトランペットとも遠ざかってしまった。たまにイベントなどで管楽器の音色を耳にすると、引き寄せられたりもしたのだが。

あれからウン十年。今になってまた吹いてみようと思い立って、埃を被った楽器を取り出して練習を始めたのだが。学生時代下手だったのは、当時からわかっていたけれども、アンブシュアといって、トランペットの吹き口、マウスピースに充てる唇のフォームがよろしくなかった。そのためにプレスといって、固い金属のマウスピースを唇に押し付けて吹いていた。これがよくないとわかって治そうとしたけれども、上手くいかなかった。
それで、今、再開するにあたっては、ぜひともこのアンブシュアを修正したい、これを目標に始めた。

アンブシュアの修正というのは、野球選手がバッティングフォームを変えるのと同じで、なかなか骨の折れる仕事。前のやり方なら、とりあえず音は出せるから、ついそっちに走ってしまう。でもそれでは進歩できない。新しく試すやり方は、決して唇にマウスピースを押し付けず、口笛を吹くようにラッパに息を流し込むやり方。音は、出ない。情けないほど出ない。誰でも普通に出せるBの音(上の)さえ辛い。ほんの十分でもいいから毎日音を出す努力を、ひと月ほど続けると、ようやくましな音が出せるようになってきた。しかし、F音中心で、B音はちょっとしんどい。それに十分くらいですぐにバテてしまう。これが2022年の10月頃の話。

それから年末にかけて2ヶ月間、毎日少しずつだけども練習を重ねていると、なんとなく上達してきた、上手くいってるような実感が湧いてきた。と言っても、上のFを出すのが精一杯で、それ以上の音は出せる時でも悲鳴のようにしか鳴らない。うん、いい感じという日と、こりゃダメだという日の繰り返し。そして問題が見えてきた。

私の唇はちょうど上唇の真ん中が少し出っ張って、いわゆるアヒル口状態。ここにマウスピースを充てて吹いていると、ノンプレスに気をつけているといえども少しはプレッシャーがかかるわけで、次第にこの出っ張りが腫れてくる。ここが腫れると完全に音は出にくくなる。しまいには出なくなってしまう。
年が明けて、正月から初吹奏をしている時に、ふと思った。この出っ張りからずらせばいいんじゃないの?これまで唇のほぼ中央に充てていたマウスピースを少しだけ、1mmほど右にずらして吹いてみた。音は、、、出る。出るどころか簡単に出る。なんだこれは?これまで苦労していた音が、口笛を吹くみたいにスッと出る。もちろんまだ不慣れなために、安定はしない。それでも、リコーダーを吹くみたいに少なくとも上のFまではスラスラ出せる。
なんだ、やっぱり唇の出っ張りが問題だったんじゃないか。これがあるがために、今まで不要な苦労をして吹いたいたのか!逆に言えば、世の上手なラッパ吹きは、こんな出っ張りがなく、いい形の唇の持ち主だからいとも簡単に吹いていたのか?きっとそう。

音出しに悩んでいるトランペット吹きの皆さん、朗報です。今音が出にくいなら、マウスピースの位置をほんの0.5〜1mm右か左にずらしてみて。びっくりすることが起きるから。そう、いま音が出にくいのは、マウスピースを充てる場所が違っていただけ。ちょうどいい場所を探すのです。そうすれば、あの上手な人と同じように、軽く音が出せるようになるから。

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