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無料塾で成績が上がればそれでOKか。

今日は、高校生のインターンシップや高卒の就職をサポートされている、一般社団法人アスバシの毛受代表とお会いしてきました。

実は少し前に日刊ゲンダイのこの記事で取材をさせていただいたご縁で、つながったのでした。
進学率60%は過去最高 大卒は本当に高卒より稼げるのか?

この記事を書こうと思ったのも、無料塾をやっていく中で子どもたちと進路の話をするときに、もう少し大人も考え方を変えないとまずいんじゃないかという思いが湧いてきていたからです。
私も含め、無料塾でボランティアをする人たちというのは、たいてい四大学を出ています。私が代表を務める無料塾の場合は、特に高学歴の人が目立ちます。そして、大人たちはよくこう言います。
「とにかく大学に行けば選択肢が広がるから!」
なんだか、これって本当なのかなぁという気が、最近してきています。
もちろん、大卒資格がなければ入れない企業というのはたくさんあるのですけれど。でも、就職氷河期にぶち当たった私の経験上、有名大学を出ていたとしても望むような就職ができるわけではないということはわかっています。今は人手不足で就活は楽かもしれませんが、この先どうなるかはわかりません。
そもそも、選択肢が広がる!といっても、多くの学生は大学3年生の就活が始まる時期になって、ようやく「仕事、何がしたいかなぁ」とか具体的に考えるんじゃないかなぁと思います。私はそうでした、完全なるモラトリアムでした(笑)。で、そういうヤツは、就活ではそうそう望むようにはなりません。有名大学ならまだいいかもしれないですけど、大学もピンからキリまで。それに学閥みたいなものがある会社も、もう随分なくなってきています。

「とりあえず大学に行け!」というよりも、もしかしたら今やりたいことがある子はそれに特化したキャリア教育を受けるとか、大学ではなく専門学校を目指すことを考えるとか、高校生のうちからスキルを磨いていくほうが、この先は強いのではないか……。
ということは、これからやってくるAI時代とかグローバル社会といったことを考えてみても、なんだかぼんやりと思うのですよね(勉強足らずで、まだぼんやりですが)。
「四大行きました!どうですか?」よりも「高校生からこんなことをやってて、専門でさらに2年間技術を磨いてきました」みたいな子のほうがなんだかピンと来るし、さらにこの場合、前者は22歳で後者は20歳。後者が22歳になるときには、さらに2年の実務キャリアが足されているわけですから、同じ22歳で比べたら後者のほうが企業としては頼れるし、給料も上ということになるんではないでしょうか。
高卒と大卒とを完全に別人種と扱って、機会を均等に与えないような企業は知りませんけど、これからそういう会社って減っていくだろうし。

あと……実際、教え子が高卒で、大卒でも簡単に入れるワケじゃない大手企業にポンと入社してるんですよね……。あいつ、20代で私より稼ぐだろうなと思うわけです。

ということで、毛受さんに取材をさせていただいたのですが……。
取材の中では、「生涯年収が高卒と大卒とでは違う!」というデータのトリックの話も出てきました。
生涯年収の話でよく使われるデータでは、女性は対象にされていないとか、60歳まで同じ会社で勤めた人のみが対象になってるとか……。
で、同じデータをよーく見てみると大企業の高卒社員は、中小や零細企業の大卒社員よりも生涯年収は高いんですよね。
ただ、生涯年収が誰かと比べて高いから幸せになれるとか、安いから不幸という考え方そのものも、おかしいですよね。
経済的に困窮して、スタートラインから選べないという状態は何とかしなくてはなりませんが、選べる状態にあるのであれば、その人それぞれの「何がしたいか」によって選択をすればよくて、「年収が高いほうが幸せ」「大企業に行くのが幸せ」みたいな他人のモノサシで自分の幸せを決める必要はありません。

今日再び毛受さんと話していて、やっぱり「とりあえず大学に行くことを考えて」というふうな進路アドバイスのしかたは、間違っているなという思いが湧いてきました。
ただし、うちの子たちはそもそも「大学に行くなんてありえない」「考えたこともない」「お金がないからムリ!」と最初から選択肢に大学を入れていない子がほとんどです。
なので、そこは修正する必要があります。奨学金を借りるという手もあるし、頑張って国公立に行くなら何とかなるかもしれないし、「あなたたちの選択肢にも大学はある」ということと、行く手段は教えておくべき。
でも、その上で「自分はこう生きてみたい」と思って選ぶのが大学ではなかったときに、「大学に行けばよかったのに」「あーあもったいない、行けたのに」みたいな顔を、大人がしちゃいけないと思います。「やめなよ、大学に行きなよ」というのも全然違う。

彼ら彼女らには「自分で考えて選んで、行動をする」ことが必要だし、その行動の結果、また考え方を変えたり進む道を変えたり、あるいはそのまま突き進むということを選んでいけばいいと思うのです。
あの子たちが考えるために、大人たちは、いくつもいくつもの材料を与えるだけでいい。選択肢をたくさん示してあげられたらいい。

中学生を対象にした無料塾では、生徒を高校に入れたらそれで終わり、となってしまいがちなのですが、それは本当に彼らのためになっているのか? もう一度考えるべきだろうなと思います。たった1日のペーパーテストで測れる学力を上げただけで、本当にその子が幸せになれるのか。経済的に不利な状況から抜け出すことができるのか。
まだまだ、考えることは山積みです。

毛受さん、またお会いしましょう!ありがとうございました!


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