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MITで学ぶイノベーションドリブン経営

イノベーションはどのように生み出すべきか。イノベーションプロセスを担う人材をどのようにmanageすべきか。イノベーションのベストプラクティスとはなんだろうか。

フランス系のアゾウリー教授による”Innovation-Driven Advantage”では、そうした問いへの答えを探求する。Google、Netflix、Disney/Pixarなどの事例や、著名起業家によるゲストレクチャーを通じた具体的且つ実践的な授業である。

例えば、Google(アルファベット社)のイノベーションへの取り組みは有名である。セグメント情報を見ると、本業とOther Betsの2つで構成されており、Google XのMoonshotと言われるイノベーションの取組みは後者に該当する(Google Xは無人自動車やGoogle Glassなどの本業以外の革新的プロジェクトを取扱う研究開発機関)。Other Betsは2018年第4Qで1,300億円超の経費を計上。売上は400億円なので900億円の大赤字。年ベースで3,600億円の大損失ということになる。それでもGoogleは次世代ビジネスのシード探し/「賭け」をやめることはない。社員は卓球台のあるカリフォルニアのオフィスで、時にはバスケに興じながら、月に届くかどうかもわからないMoonshotを撃ち続けるのだ。

授業で言及されたハーバード大アマビール教授によれば、イノベーションを起こしている成功企業の特徴は次の5つだ。失敗を許容する価値観、奇抜な意見を言えるカルチャー、人材の多様性、「問い」への執着、本社機能からの独立である。

日本企業はこれらの特徴を備えうるだろうか。「出る杭はうたれる」カルチャーや、終身雇用を背景とした画一的な人材ポートフォリオは、日本文化・社会としての共通課題。更には、会社によっては、「石橋を叩いて渡らない」ことを良しとする極めて保守的な価値観もあるだろう。

一方で、日本の研究開発費総額は米中に次いで3位であり、対GDP比率でも韓国に次ぐ2位と、世界を見渡しても遜色ない。ただ、累積利益と累積研究開発費を比較すると、利益に結びつける力に課題がある。日本経済の持続的成長の鍵は「研究開発から価値創造へ」のパラダイム転換の成否にかかっている。

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