MITで学ぶブロックチェーン
ゲンスラー教授はオバマ政権でCFTC長官(日本で言えば金融庁長官のようなもの)、ヒラリー・クリントンの大統領選挙CFOとして活躍、その前はゴールドマンサックスでパートナーも務めた米規制当局及び金融界の大物だ。MITの凄いところは、そんな大物がブロックチェーンの基本をレクチャーし、世の中への技術適用について学生と議論してくれるというのだ。
https://www.nytimes.com/2018/04/22/technology/gensler-mit-blockchain.html
(New York Timesより)
ブロックチェーンとは、「2つの当事者間の取引を効率的かつ検証可能で恒久的な方法で記録することができるオープンな分散型台帳」である(Wikipediaより)。具体的な例で言うと、仮想通貨のビットコインはこの技術に支えられている。お金の台帳といえば銀行通帳で、極めてコストの高い銀行の巨大なシステムがお金のやりとりを記帳している。ビットコインの台帳は銀行の巨大システムではなく、誰のものでもないブロックチェーンという技術が「効率的」に支えているのだ。
ビットコインはひとつの適用事例に過ぎない。ブロックチェーンの技術は、社会的コスト(上記の例だと銀行システム)を削減することから、金融を含む様々な世の中の構造を大きく変えていく可能性が高い。例えば銀行の振込手数料や外国送金手数料。多数の銀行の巨大システムから、超効率的なテクノロジーに切り替わったらどうなるだろうか。医療の世界では、電子カルテをブロックチェーンで統合することで、患者のベネフィット向上と医療事務コストの削減が追求できるのではないか。
授業では、起業家と既存勢力によるブロックチェーン技術活用事例に焦点をあてる。そして最終課題はチームを組成して具体的な適用事例を論じる必要がある。これからのリーダーに求められる要件のひとつは、こうした技術も有効活用し、社会にインパクトを与えうるイノベーション活用力ではないだろうか。
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