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旅芝居・大衆演劇/皆で作っていけたらなあ、の話

コロナ禍は終わる気配がない。
旅芝居・大衆演劇界にも、他人事ではない。
本当に他人事ではないレベルで、続々と。
でもネット上には楽しい観劇レポと、
「責めないで」の人情論と、
劇団がSNSで発表するたびに仲間内友人同士での「感染したの誰?」探しばかり。
いや、あかんことないねん。
でも、私はなんだかすごく考えてしまうのです。
なんとかならへんのやろか? 
もう2年目になるのに、ほんまにもうこれ以上?  ほんまに?

この記事に辿り着いてきて下さった大衆演劇初心者や初めて観た方、興味を持ってこれから観てみようとしている方、すみません。

今日はちょっと「どっぷり」な皆と一緒に考えたいことというか、そんな話をしようと思います。

例えば……。
先日お風呂に入りながら、
ふと考えたというか、「あれ?」って思ったことがあります。
ほんのいくつか頭に浮かんだことであり、一部の「例え」です。正しいかどうかもわからないし、まだまだ、考えたいなあ、なことなのですが。

◆旅役者とお酒@コロナ禍◆
緊急事態などで飲食店や酒の提供が禁止される前に、
口上挨拶で言っていた座長がいました。
「外には呑みに行っていません! 皆で楽屋呑みだけです!」
例えば数名が集まって呑む。その際に気を配ったりはしているんかなあ?
マスク会食という言葉は好きじゃないし使いたくないねんけど、そういったことなどとか。
旅芝居の劇団や一座は家族だったり、家族以上の絆や結びつきのある集団。
でも、だからこそ、寄って皆で呑むときは、外でなくとも、気を付けたりはしてるんやろか?

あと、お客さんの接待、御礼、打ち合わせ(着物など)を含めての
お酒の場(今は無理やが)や、またはお茶の席、
この御時世では、少ない、かな、よね?!
でも行う場合、配慮や気遣いはしているんやろか? (お互いが)

◆化粧前etc◆
化粧をする際の場所やスペース、いわゆる「化粧前」。
狭い楽屋、並ぶもしくはひしめき合う距離の近い座員同士の個々の間に、
考えて距離をあけたり、例えば、いわゆる長いスペースで隣り合う場合はアクリル板などを設置したり、などなど、しているんやろか?
大衆演劇つながりの友人にLineでこの疑問をぶつけたら即答が来ました。
「してないだろ!!」 
してたらごめんやで。
興行師や劇場・センターが気にしたり、または用意したりもしているのかな。 どうなのかな。

化粧前や楽屋だけじゃない。
寝る場所だとか、生活する場所に関しても、気になったりします。
茶箱で区切って狭いスペースで、ってところも劇場(の楽屋)によってはあるやん?
そのあたり、気を付けたり、いや、気をつけられたり出来ているんかなあ?
それこそ、ひとりずつ宿や部屋をとるとか。
金銭的に厳しいならば、その劇団を支えるお客さんが、
または場所を提供する人や、劇団をその場所に入れるひとが。
どうなんやろ? してるんかな。

◆芝居
極論を言いますとまず言います。
「すみません! うちの劇団は、お芝居中は、
マスク(もしくは(あまり効果ないかもやが)フェイスシールド)付けてやります!」って劇団。
もしかしたらそんな劇団がひとつくらいは出てくるかな、とも思ったりもしていたのです。例えばちいさな劇場に乗るような劇団とかね。
それこそ最前列のお客さんと舞台上の役者の距離が近すぎるような。
そんな劇場によく乗るような劇団とかで。または「俺、意識高い系」な座長の劇団で。
極論ですが。
……出ないものですね。まあ、そりゃそうかとも思うけれど。
マスクはやはり呼吸がしんどいというのもあるもんね。
いや、私が知らないだけでもうあるのかな。
フェイスシールドはありそう。ない?
え、見た目?  うん、そりゃ見た目的におかしいですよね。
侍やヤクザがマスクしていたら、絶対に。
でも、でもでも、それでも、この時期、
熟考を重ねた結果、そんな劇団も出てくる?! とも思ったりしたんやけどなあ。

関係ないけれど……。
先月、とある客席と舞台の距離が近すぎる劇場にて。
その「近さ」は前から2列目の端に座っていても
正面に飾ってるスタンド花倒れてきたらぶち当たる&
袖から出てくる役者と近すぎて毎回目が合うほど、勿論手をのばすと触れられる距離。
芝居が下ネタと身内イジリのオンパレードでした。
「今月の●●劇団は下ネタでいくんだよ!」
逆にもう感心するほどずっと下ネタをその距離でわぁわぁやって、
最前列の劇団ファンはぎゃあぎゃあ笑ってた。友人と私「……」。
そんな悪ノリの延長戦で突然、座長がマスクをして出てきた。
座員「なんでマスクなんですか!」「ほら、コロナだから!感染したから(笑)」
ギャグとしてのコロナ、ネタとしてのマスク、そしてまた皆でわぁぎゃあ下ネタ身内ネタ。
申し訳ありませんが、一幕で帰りました。

下ネタや身内ネタ。確かに「気取らない」「身近さ」を感じさせるための笑いとして一番てっとり早いのかもしれません、「人間」にとって共通認識なところあるしね。でも、でも、それ、面白いんかなあ。かつ、それじゃないと笑いとれへんのかなあ……しかも、この時期に。 それって、いろいろ含めてのもはや媚びじゃない?  

ちなみに、私は「下ネタは誰も傷つけない」という言葉が嫌いです。

というのはともかく。

これらはあくまで私がふと考えたこと、いくつかの、「例」です、しかもThe極論。
なんだか流行りの「●●警察」みたいで嫌だなーなんて自分でも思うのですが……..。
勿論他にもあるやろう。
劇団と親しい近しいお客のハンチョ(掛け声)野放し状態とか、流行りの(仕方無しの)合同公演あれこれとか、ゲスト行き来などなど、などなど……。

なんだかね、あまりに次々と、まるで「順番」みたいに……
そのたびに心がざわざわとしてしまうのです。見知った劇団や役者でも、そうでなくても。
私が「気にしぃ」なだけかもしれません、いや、たぶんそうですが。

うーん。

旅芝居・大衆演劇でコロナ前とコロナ後で変わったことって、なんでしょうか。
マスクや距離をとることや席の感覚をあけるとか検温消毒、劇場の空調や消毒。
劇場さんによっては本当に目に見えるカタチで丁寧に気を付けておられるところもありますね。
そして、「送り出し」のある・なし。
これは旅芝居的にも劇団的にもとても大きなことかもしれません。
楽だけど、でも愛想による集客や稼ぎの点においてちょっと辛いやろう。
役者が客に連絡先を渡したり教えたり出来なくなるのもデカいやろう。
客的にも「おしゃべりや2ショット撮影などの楽しいふれあいタイムがない」っておっきいみたい。
なおかつ、私が思うに、
この送り出しがなくなったことによって
役者と個人的に連絡をとれるような「お客さん」以外は
お芝居をはじめとする舞台のことやそれ以外のことを、
直接役者や劇団に伝えられなくなったのも大きいですね。(あ、今はSNSで簡単に繋がれるのか……)
とはともかく、そんな送り出しをやめたこと以外に
「これ!」という大きなことをやっている劇団や劇場はそんなにないんじゃないかなあ、と思ったりもします。
あ、ポコチャをはじめとした配信サービス?!
あれもええようで身近なようで「ムムム」もいっぱいあるよねえ。

感染者や「誰?!」探しが起こることについては
「そりゃそうよな。心配やもん」と思います。「もー」と思いつつも。
だからこそ劇団側も公表するもしないも悩むところですよね、で、伏せるのですよね?
嗚呼、本当にこの世界の客席は噂が好き、おしゃべり好き。
でも、それがTHE「人間」で、「世界」やなあ、とも思いもする。
だからこそそんな自身の内面を否定するようにでしょうか?
いや、自分以外の者を否定する気持ちでしょうか?こんな気持ちはないやろか?
「私の好きな劇団(役者)はちゃんとしてる(からorのに)」
「(なのに)あの劇団はもぉ~」

この世界のお客さんは、
なんだかとても、
自分の好きな劇団や役者以外に興味がなかったり、
ライバル視や嫌ったり、下に見たりする人も多い気がします。
いや、違うな。
自分の好きな劇団や役者以外は「他人事」(なのに、だから、噂のまと)、これや。
舞台と客席、つまり役者・劇団と客の距離が近く、
距離感を見失うことが多くなりがちな“沼”な世界だからこそ、なのかもしれません。

そうして、旅芝居・大衆演劇の世界のいろんな「ムムム」なことは
みてみぬふりをされ続けてきた結果、
「おいおいおい」になってきたような気がしてなりません。
コロナ関係以外でも。が、今、コロナによってより明るみに出てきたような気がしています。

「役者さんたちはがんばってるんだから」「こんなときだから応援しよう」
そうして悩みながらも足を運ぶことは本当に大事なことで、一番大事で、すごく尊い。足を運ぶことすら命がけやし、すごい葛藤の中、応援しよう観ようと足を運んでいるのだから。これはほんまにほんまです。

でもでも……。(その上で……?)

「楽しい」「大好き」
「きれいなものだけを」「この文化をSNSで発信を」
うん。でも、みんなで作っていく舞台やん、世界やん。
特に、旅芝居・大衆演劇をはじめとする大衆文化・大衆芸能たちは。
あとやっぱり「舞台が生きることそのもの、舞台が毎日であり舞台が人生」の世界やん。
だからこそなくなってはいけないしなくしてはいけない。
普段来ていたお客さんも減っている。
さらにこの状況が続くと新規のお客さんだってあまり寄り付かない。
今後のためを思うと大きな損害だと思います。
以前から言っていますが、「一部のコアな人だけのもの」となると、きっと絶対、その文化は滅びると思うのです。
客席の我々にも出来ることはないのかなあ? 
みてみぬふりじゃなく、役者や劇団の責任じゃなく。
ましてや、関係者や入れ方やプロを名乗る人たちは、美辞麗句や媚びだけじゃなく。
殊に旅芝居の場合、関係者やプロを名乗る者たちが、
公私混同が激しかったり、いろんな線引きが出来ていなかったりなど
あまりに「ファン気分」なことが以前からずっと気になっているのですが、
これも、「こんな業界だから仕方ない」なんやろうか? それでええんやろか?

このままでは新しいお客さんも増えなくなってしまうかもやし、例えばこれまで旅芝居・大衆演劇を入れていた(公演を行っていた)温泉センターなども、これ(コロナやその他)をきっかけに、入れなくなってしまうかもしれない、そういう状況には、来ているのだと思います。 

と、人気だった劇団がしんどくなって小さな劇場に乗るようになって、ほな、小さな劇場に乗っていたような小さな劇団は乗るところがなくなってしまったりとか、もっともっと、皆がしんどい状況になってしまうと思います。てか、もう、なりかけているような……。

うーん。

役者や劇団が好きすぎるから、客席の我々は何か思うことがあっても
「嫌われたくない」から言わない。
もしくは「言っても仕方ない」という思い込みや言い訳で
思うことはあるのに何も言えなくなる(人が多い)のも大きいかもしれません。
「私たちは楽しみにきている、嫌なことや嫌われることは嫌」
「(そんなこと役者に)言ってもしょうがない(聞き入れない)から」
という声もききました。この考えの人、多いかもしれない。これ、コロナ前からやけども……。

ちょうど1年前の夏、私にとって大事な旅芝居の役者さんが引退をしました。
引退の理由はコロナとコロナ禍によるものだけではありません。
あれからもう1年。やっぱり、くやしいです。いろいろなことが。
いまだに思います。「(最後の2か月以外に)(もっと)なにも出来なかったんやろか」過去形じゃないな。「なにも出来ないんやろか」、
この混沌としたカオスだからこそ厄介で、でも人間そのものな舞台と人間の世界に。
が、結果として、この業界にはどんどん足が向きにくくなくなってしまっているのですが……。
うん、でもでも、それもあかんことやな、と思っています。

が、まあ当然のことながら別に私がぴーぎゃー言うたところで何とかなる訳でも勿論ない。

わかってはいますが、ちょっと置いておきたいと思いました。

「どっぷりな人」(己を含む)や中に向けてのまたこんな文……と、悩みましたが、昨年のこの記事と合わせて、置いておきます。

ちょうど、あの夏から1年。なので。ああ、もう1年経ったのですねえ。

ひとつ。ああ、伝わるんだな、と思ったことがあります。
ちゃんと伝わるんだな、って。コロナ前の話ですが。
今はなき、ちいさな劇場での、忘れられない思い出。
当時ちょっとよく通い出していた劇団の公演でした。
身内ネタからのへんな笑いで劇団ファンたちがげらげら笑っていた。
どんどん腹が立ってきた。「もうこの劇団に行くのはやめよう」と思いました。顔に出てたと思う、怒りが。
途中で席を立ちたかったが狭い劇場で立てなかった。芝居が好きすぎる血の気の多い私(それも大人げないが)は悲しみと怒りで静かにMAXでした。
すると口上挨拶で座長の父(元座長)が謝りました,、深々と頭を下げて。
「芝居を大事にすると言いながら」って。
さらに、その後の送り出しで私は捕まりました。
よく観に行っていたけれどその役者とは話したことがなく、初めて言葉をかけられました。
すごくすごく謝られました。それがきっかけでその大御所役者氏と言葉を交わすようになりました。
後にも劇団ファンたちの前で何度も言われました。
「この人だけ笑わなかった」「役者として大事なことを教えてもらった」
「ちゃんと観てくれてありがとう」そっからもよぉ喧嘩というかわあわあ言い合うたけどな。
(決着ついたものもつかなかったもの含め。忠治事件、瞼の母事件などなど。それだけ、ぶつかれるだけの信頼関係を築かせていただいたこともものすごく感謝です)

きっと伝わるのだと思います。「しょうがない」とか「この業界だから……」じゃあ、なくて……。

読んでも面白くない文でした。大変失礼をいたしました。
悩みましたがアップしました。読んで下さりありがとうm(__)m

みんなみんなが、舞台と、人間を、楽しめ、生きることが出来ますように。

いや、舞台関係だけじゃないな。

みんなみんなが体心無事健やかにいられますように、そんな世界と時代に少しでも近づけますように。

◆◆◆

次はきっと、楽しい読み物を。いろんな読み物、文、書いてゆきます。

以下、各種SNSなど。
遊びに来ていただいたり、ご縁がつながったりしたら嬉しいです!

【ブログ】 「桃花舞台」
【Twitter】【Instagram】【読書感想用Instagram】

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大阪の物書き、
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中。
演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化も好きです。
現在、女2人の酒場巡りを連載中。
現在第9回まで書かせていただいています。今は呑みに行けないけどね。


そして、あたらしい連載「Home」。皆の大事な場所についての文章です。



ラジオ番組の構成などにも関わっています。
現在の主なものは、AMの懐メロリクエスト番組。(昭和1桁〜50年代歌謡)

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、
各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)。
担当していたDVD付マガジンは休刊中。
が、アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中です。

仲良くしてくれたら、とても嬉しく思います。
改めて今後ともどうぞよろしくお願いします。ありがとう。ラブ。

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