これからの医療に求められるのは「つなげる能力」のある人材
これからの医療従事者に求められているのは、H型人材だよねーという話をいたるところでしているので、何度も聞かれている方が多いかと思いますが、ここは重要な話なので書き残しておこうかと思います。
H型人材というのは、「自分と他者、あるいは他者と他者をつなげる能力」がある人材のことです。
これまでの医療職はI型人材やT型人材が重宝されてきました。
I型人材とは、自身の専門性を深く突き詰めた人、T型人材とはその専門性に加えて、マネジメントや広い視野のある人とされています。
それで十分なような気もしますが、どうしてこれからの時代、H型人材が必要になるかというと…
手垢のたくさんついたお話ではありますがざっくりまとめると、医療を提供する側のリソースが、激減してくるであろうという話です。
少子高齢化によってそもそもの労働人口が減っていくに加えて、社会保障費の増大によって、収益は減っていくであろうということは目に見えています。
働き方改革によっても、一人の人間が費やすことのできる時間は、制御されつつあります。
しかし、高齢化によって医療介護を必要とされる方は増えていくことが目に見えているということは、これから少ないリソースでより大きなアウトプットを出していかなければなりません。
と、なった場合に、それぞれの医療職が自身の専門性だけを突き詰めているだけでは、既存のアウトプット量しか出すことはできません。
限られた時間で、限られた人員で、自身の職務範囲で手の広げられる範囲のみを行っていく…という動き方では、絶対的に足りないのです。
T型人材のように、そこにマネジメントや広い視野を持って動いていく人材が部署の所属長だったとしても、結局のところ自身の力が及ぶ範囲は、自身の専門性(つまりは資格や部署の範囲内)だけであれば、結果は同じです。
ということで、必要となってくるのが、他者へ影響を及ぼすことができるH型人材です。
一緒にやる、協働する、というムーブをとることができる人材です。
例えば、タスクシフトシェアを進めるにあたっては、タスクを移行する(もともとそのタスクを持っていた)側も移行される側も、お互いの仕事の内容と文化を理解していなければ、進めることができません。
いつ、どこで、どのようにその仕事がされていて、教育方法はどのようにやっていたのか、病院全体としてその業務をどのように許可をしてもらうのか。これからそれをどう業務として落とし込んで、同じ業務を複数の職種でどう棲み分けしていくのか、教育はどう進めていくのか…
そこで必要となってくるのが、他者をつなげることができるH型人材です。
専門性や業務の枠組みを越えなければならないのです。
また、DXを進めるときもH型人材が必要です。
現在の仕事や業務を洗い出して、課題を見つけて、どの部分をデジタルで置き換えて、組み換えて、新たな価値を生み出すことができるのかは、その仕事や業務への専門性と、デジタルに精通しているという専門性が必要です。
課題があることを伝えて終わり、デジタルを導入して終わり、では少ないリソースで最大限のアウトプットを出すことはできません。
他者と他者、あるいは他者と自らの相互理解を進めて、業務や専門性をつなげて、新たな価値を創造していく…
そんな人材こそこれからの医療業界に必要な人材であると考えています。
次回は、そのH型人材になるために必要な能力やスキルを考えていきたいと思います。
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