相変わらず渋谷の街は

最初に、わたしへ。

このnoteは見直さないほうが自分のためだと思います。

傷つきたくないのなら、嫌な思い出を思い出したくないのなら、見ないことをお勧めします。



そして、これを見ようとしているあなたへ。

あまり良くない表現が使われております。

ご注意ください。







渋谷。

日本の大都会の一つだとも言える。


田舎から上京したわたしは渋谷が好きだった。

いろんな人がいて、いろんな服を着た人がいて、自分をさらけ出せる場所だと思ったから。

どんな姿のわたしも認めてくれる。そんな、街だった。


昼に渋谷を歩けば、若い人たちがお喋りをしながら街を歩いている。

夜に渋谷を歩けば、暇を持て余した若い人たちが目的もなくさまよう。


渋谷は好きだけど、少し怖かった。

人とぶつかりそうになったり、よく知らない人に話しかけられたり。


友だちと歩く渋谷は楽しかった。

街に馴染めていると感じたし、渋谷にはタピオカも洋服もなんでもあったから。


いつの日か、一人でも渋谷を歩けるようになった。

ただただ、歩くだけ。

目的もない。




いや、一つだけあった。

わたしは、渋谷を自己肯定感を高める道具の一つとして利用していた。

わたしは少しずる賢いタイプなのかもしれない。ううん、ずるいだけかもしれないし、馬鹿なだけかも。


一人で渋谷を歩けば、知らない男の人が声をかけてくる。

「今ひとり?」

「どこ行ってきたの?」

「髪型かわいいね」

自己肯定感が全くないわたしは、その言葉を求めて意味もなく渋谷を歩いた。用事がなくても渋谷に寄った。

話しかけられても会釈だけして無言を貫くのだけど。

こうでもしないと、自己肯定感を持てなかった。


今考えるとほんとに腐っていると思う。


ある夜、渋谷を一人で歩いていた。

信号で止まると、声をかけられた。

「こんばんは」

あ、今日も話しかけられた。

釣れた、と思った。わたしはマスク越しで笑った。

そしたら男は言った。

「なに、急に笑顔になったじゃん笑

え、嬉しいの?普段声かけられない?

あ、渋谷には来るけどこういうのはない?笑」

カチンときた。

でも無言を貫くことが一番いいと知っていたから、なにも言わなかった。

悔しかったけど。

男は言った。

「え、この服どこで買ったの?

ニトリ??笑

俺このカーテンニトリで見たよ笑」

くだらない、と思った。

あきれた。

でも、それと同時に傷ついた。

お気に入りの服だったし、相手を下げるような言い方。すべてに怒りが沸いてきた。

それだけ言い残した男はどこかへ去った。




渋谷は、空っぽな街だ。

いろんな人がいるけれど、自分を肯定してはくれない。

誰もわたしを見ていない。

誰もがわたしを見て笑っている。



わたしは知っている。

渋谷はくだらない街であり、つまらない街であると。

行くあてもない若者がさまよう街だと。



渋谷は腐っている。

そこにいるわたしも腐っている。

腐っているわたしに声をかける人は

知らないわたしに声をかける人は

根っから腐っている。

もう、どうにもできないくらい。


だから、渋谷は相変わらず自己肯定感を高める道具である。

わたしより腐っている人がたくさんいる。そう思えた。

また、声をかけられたら笑ってしまうと思う。

わたしより腐った人間がいることを認識することができた嬉しさで。



あの日、わたしに話しかけたお兄さん、わたしを見下してくれたお兄さん、お気に入りの服を馬鹿にしたお兄さん、気づかせてくれてありがとう。

わたしが腐っているということ。

渋谷は腐っているということ。

お兄さんはもっと腐っているということ。

今まで気づかなかったことに気づかせてくれた。

けど、あなたはもっと有意義な人生を送りなさい。

つまらない女に声をかける時間があれば、もっと別のことができるのよ。

今ならやり直せる。

いや、腐ったわたしの言葉など信じることはできないか。

腐った果てになにがあるのか、いつか教えてね。









渋谷は、自分が腐っていることを教えてくれる。

わたしよりもっと腐っている人がいるということも教えてくれる。

わたしにとって渋谷は

そんな

街である。

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