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【創作小説】シュール・ブルー〈♦エピローグ〉


旅先から戻る飛行機の小さな窓から、私は白く輝く雲海を眺めていました。
機内アナウンスは、親切にも到着地の天気を伝えてくれ、私は雨に濡れる心配をしなくていいことに安堵しました。

不安定な空路での旅は面白くはありますが、やはり慣れることができないのです。

更地に残っていた黒い影はまだそこにありましたので、私はそれに、存続の意志を確かめてみました。
あなたはまだ通っているのか、それとも朽ちているのかと。
するとそれは、ぞわぞわと形を変えていき、徐々に線のようにつながって、宙に形容しがたい模様を描き出し始めました。

そして、そのおかしな模様を眺めながら、不覚にも私は笑ってしまったのです。

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419字

非現実的なイメージを繋げて、見えてきたひとつのメッセージ。 過去との決別と再起を描いた幻想小説。

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