なぜ走り続けるのか。 春
私は『早く死にたい』
と言っている人が大っ嫌いだ。
春
あれは私が18歳の時。
故郷の岡山県から専門学校へ行くため、岐阜県で一人暮らしをしていた。
親元を離れ初めて自由を満喫できると羽を広げるつもりだった。
だが行った先は故郷と同等、いやそれ以上かもしれないほど田舎だった。
遊ぶ場所もさほどなく、学生の私は車ももっておらず遠出も原付で行ける範囲に限られていた。
そもそもその前に、遊ぶ友達がいなかった。
専門学校ではすぐに友達ができるタイプでもなく、学校に行かない日々が多々あった。
余計友達ができる訳もなく、初めて不登校になりかけていた。
学校にはそんな不登校者をなくすためか、オリエンテーション合宿が用意されていた。
学校から少し離れたところで宿泊し、お題を出されながら何人かのグループでディベートしそれを発表する場だ。
そんな強制的に人と絡むシステムの中に埋もれ、私は何人かと仲良くなれた。
何人かと仲良くなれば自然とグループにもなり、オリエンテーション合宿が終わったあともよく遊ぶメンバーができていた。
その中でも特に心許した友人ができた。
その友人(Kくん)は少し大柄で短髪、色黒、男らしい見た目だが、高校時代は吹奏楽をやっていて家には楽器が置いてあるようなギャップが多いやつだった。
マキシマムザホルモンというパンクなアーティストが好きでカラオケでは破天荒は素振り。
だが人に優しく学校は休んだりしない真面目さもあり、よく電話などかかってきて相談にのったりしていた。
そんな彼に私も心を許し家によく遊びにいき、ギターを教えてもらったり、ご飯を一緒に食べたりしていた。
寂しい不登校学生が正気を取り戻せたように感じていた。
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