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【昭和の話】「かぶったろ?」

2011年8月某日、横浜駅西口にて高校時代の友達二人と飲む。
アルコールが回りきったところで、一人がこんな話を始める。

「お前らさ、あの頃って彼女いたよな?」
「ああ」
「ってか、今更そこ?」
「お前らさ、当然やってたよな?」
「あ、・・・まぁ、な」
「更にそこ?」
「・・・あのだな」
「?」
「?」
「えーっと、だなぁ」
「??」
「??」
「そのぉ・・・」
「・・・?」
「・・・?」
「・・・かぶったか?」
「は?」
「は?」
「かぶったよな?」
「何を?」
「へ?」
「かぶってただろ?」
「だから」
「何を?」
「・・・パンツ」
「!」
「!」
「かぶったよな?かぶったんだよな?かぶってたんだろ?白状しろよ!」
「いや、お前、パンツって・・・」
「・・・誰の?」
「誰って決まってんだろ?てめぇのかぶったってしょーがねーじゃんか!」
「あー・・・、ってことは」
「つまり相手の、・・・ってこと?」
「そうだよ!それだよ!なぁ、正直に言ってくれ、お前らもかぶったよな?」
「・・・そりゃ、お前・・・、かぶらないとは・・・」
「・・・言わないけどさぁ」
「ああ・・・、よかった、俺だけじゃなかったんだ、いやさ、うちの嫁、お前らも知ってんだろ?」
「知ってるよ、そりゃ」
「おいら、確か席が隣だったことあるぞ」
「あれがだなぁ、今でも俺を変態だ!とか言うわけだよ。もう三十年とか経ってんのにだぜ?あんなことする人はいないとかさ、マジでそれ言われるたんびに離婚を考えたりするんだよ、もういい加減にしろ!ってさぁ!」
「ふーん」
「ふーん」
「お前らもかぶってたってわかればさ、俺だけじゃなかったと言えるからな、本当によかった・・・」
「・・・まぁ、あえておたくら夫婦の因縁決着に俺の名前出す必要はないと思うが(笑)」
「でも、 やったかどうかは別にして、多分みんな知ってはいたんじゃんないかなぁ」
「だよな?オレもよく覚えてないけど、とにかく頭の片隅にあったんだよ、かぶりたいって衝動が!」
「・・・ハレンチ学園とかがネタになってたのか?」
「わっかんないなぁ。でも、・・・相手も笑ってた気がするし。やっぱりかぶるんだ、みたいな(笑)」
「だろ?そういうもんだよ、あれはさ」
「うーん、強いて言うなら男のロマンっていうか・・・」
「なぜかぶるのか?そこにパンツがあるからだ、みたいな・・・」
「(笑)」
「(笑)」

とまぁ、こんな感じでお開きになったのだが、一つだけ気になることがあったのだ。
それは「なぜ、奴の嫁はそんな長い間に渡って奴を変態呼ばわりし続けているのか?」という疑問だ。
そして翌日、おいらははたと気がついてしまった。
続けておいらは、奴の携帯にこんなメールを送ってみた。

「もしかしてお前、隠れてこっそりかぶってるところを高校時代の嫁に見つかってたんじゃないのか?」

あれから10年、返事はまだない。
しかし、この沈黙の長さが確信を深めている。
カミングアウト、結局したんだな?とw

#ほろ酔い文学

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