マガジンのカバー画像

(12)シバイヌモモの老人観察日記 ウメちゃんハナちゃん編

17
いくつになっても 何をするにも 何かこういつも胸をドキドキさせていたいじゃないか
運営しているクリエイター

記事一覧

No.6 訳アリ再投稿  ウメちゃんとハナちゃん その3 親にとっての子育ての記憶

ウメちゃんの母親の言葉 ”もう3人も子供がいたんだよ。これ以上子供を生むなんて無理に決まってるじゃないか。だからさ仕方なく ホント仕方なくだよ  ”月の水の早流し”をしたんだよ。 それなのにさあ そのすぐ後にだよ あんたがお腹に入っちまったんだよ。困ったねえ あの時は でもさ これはあんたがよっぽどこの世に生まれてきたがっているんだろうからって そう思ったからさ 無理してまでも生んでやることにしたんだよ。” 『なんて言いぐさだろうね。あんたの為に無理して生んでやったんだとさ

No.5 訳アリ再投稿  ウメちゃんとハナちゃん その2 月の水の早流し

『既に2人子持ちになってた親はさあ もう子供はいらないって思ってたはずやのに 3番目ができちまったから さあ大変。でもさ こうなったらからには生むしかないと思ったんやろな 生んださ3人目を。』 『その後ウメちゃんが4番目として生まれたわけやろ。それってどないなっとるんや。』 『そう思うやろ。あたしが聞きたい。何があったんや!4番目なんて想像すらできんかったやろに・・・ 』 『う~んと悩んだ末に生む事にしたんやな。親の決心が伝わってくるやないか。やっぱり感謝せなあかんな。』 『

No.4 訳アリ再投稿  ウメちゃんとハナちゃん その1 親の愛情

この間シバイヌモモの散歩中に 久々にご近所のウメちゃんとハナちゃんに遭遇したんです。それって誰? と思う方はこちらを是非読んで下さいね 二人のお話はこんな感じでした。 ------------------------------------------------------------------------------------ 『ハナちゃんは長女で下に弟がいるんだっけ。親はさあ 子供たちを分け隔てなく育てた・・・なんて言うけどさ あれは嘘やな。』 『そう? 親の愛情

01 シバイヌモモの老人観察日記  ウメちゃんハナちゃん編

いくつになっても何をするにも なんかこういつも胸をドキドキさせていたいじゃないか・・・  ※ ※ 落語風 玉手箱物語り  ※ ※    最近はどこに行ってもご老人ばかりが目につきます。超高齢化社会ですから当たり前と言えば当たり前でございますが 考えてみれば元気で長生きする事は昔から先人達の夢だったわけですから 私達は今まさにその夢のような世界で生きているわけでございますね。せっかくそういう時代に生きているんですから 年寄りと言えども生活の中にもう少し華やぎと言いますか色気

02町内のビッグイベント

出たいの? 出たくないの?  80歳以上ならば誰でも参加できるイベントとなりますと もうご老人だけの問題じゃありませんね 家族みんなを巻き込んだビッグイベントになるわけでございます。 『えっと何ですって、へえこんな企画があるんだね。これって老人対象の美人コンテストよね。違うかカラオケつきの仮装大会か。ばあちゃん ばあちゃん どうする参加してみる?』  『わたしゃ嫌だね。この歳でなんでそんな人前で恥ずかしい真似をしなくちゃならないんだい。  だけどあれだね 私はともかくとし

03 俄然張り切るのがご老人

人前では年寄り扱いなんぞされたくない  さていよいよビッグイベントに参加するとなりますと楽しい目的ができたわけですから俄然張り切るのがご老人ですよ。人前では年寄り扱いはされたくないですからね 老人の意地ですよ 当日の晴れやかな舞台では 背筋を伸ばして杖なんぞは持たずに歩きたくなります。その為には足腰をきたえる必要が出てきます。それじゃあ散歩でもしてみようかと言うことになるわけでございます。 『ちょっと出かけてくるよ。心配はいらないよ。そこいらをちょいと歩いて来るだけなんだか

04この人達には世の中に怖い物なんか何もないんじゃないですかねえ・・・

女性達の凄さをあらためて思い知らされる  いつも思うんですがね 女性の観察眼と言いますか 相手を観察しようとする意志の力と言いますか 女性達には凄い技がありますね。道でバッタリ出会った瞬間にさっと頭の上からつま先までその人の髪型から服装やら靴までチェックするわけですよ。もちろん年を取りますと若い時程の一瞥による情報量は多くありません。目も大分悪くなっていますから 目を細めてしばたたかせながらではありますが 女性の本能を機能させます。しかもですよ、これがまた凄い。どうして女性

05 皺は人生そのものと言うじゃありませんか

無残にも多数の皺が襲いかかろうとも・・・  ご老人だって変わる時は変わるんですよ。 今まで着ていた物と言ったら 色はグレーか からし色か いわゆる枯葉色ですね。先日近くの公民館から何やら怪しげな集団が出てきたのでビックリしましたよ。よく見たら殆ど同じ色のつまり枯葉を全身にまとったミノムシ状態のご老人の集団だったんでございます。色だけじゃないです 形だってそうですよ。地味です。下手をすると全身グダグダのナマコの寝間着みたいな物だって平気で着てますからね。  それがですよ そん

06 いくつになっても何をするにも なんかこう胸をドキドキさせていたいじゃないか

コンテスト当日は何を着ようか 『コンテスト当日なんだけどさ 私はちょっとかわいい感じの ドレスでも着ようかなあと思ってる。』 『それはいいなあウメちゃん せっかくだからいつもとは違う自分を演出するっていうのも憧れるわな。』 『そういうドレスを家族に買ってもらうわけさ。それで当日は思い切りおしゃれして幸せそうな顔して写真をいっぱい撮ってもらうの。』 『まあね確かにいい記念にはなるからね。』 『そうじゃないよ。はーい こっち向いて笑って笑ってなんて言われてさ 何枚も写真撮るわけ

07 ”お前はもう死んでいる”・・・のような症状って?

もうこの先怖い物なんか何もない! 『あっ ドキドキと言えばこの間受けた人間ドックの結果どうだった。』 『ハナちゃん あれはアカン 最近の異常気象のデータでも見せられたのかと思ったわ。あっちもこっちも赤字の異常値だらけの注意予報だらけやったわ。ハナちゃんも受けたんやろ。どうだった。』 『血圧が高かったわ。この年になって上がるものと言えば血圧と年齢 それにテレビの音量だけだわな。』 『いいじゃない血圧が高いってことは何か身体の中が燃えてる感じがするじゃない。私なんか心拍数の数値

08 今度は肺カメラを飲む?

胃カメラなら飲んだことはあるよ 『ウメちゃん 良かったじゃないか。長生きのお墨付きをもらっちゃったね。レントゲンの結果はどうだった。私は特に何もなかったけどさ。』 『ああ あれも問題あったわ。何か影が見えるから肺の精密検査を受けろって言われたのさ。』 『ウメちゃんの場合 心臓に影があったんならそりゃ間違いなく心臓に生えたハガネのような毛だと思うけど肺の検査ねえ。』 『ひどい言われようだね。今までに胃カメラなら飲んだことはあるよ。キレイな胃袋ですって言われて 写真ももらったか

09 いよいよ肺カメラを飲む

麻酔薬を噴霧しながらの 結構しんどい検査 『そんな例えはいらんから 何があったのか言ってみ。』 『カメラの付いた管を喉を通して肺に入れることになってるわけだわ。ところがさ・・・』  と言うわけでウメちゃんの説明はこういう物でございました。もともと肺は異物を寄せ付けない臓器でございます。ですからカメラなんかが入ってきたら当然除外しようとして咳き込むわけです。それを避けるために麻酔薬を噴霧しながらの作業になるんでございますね。 『だらさあ ビックリもするしガッカリもするじゃない

10 何ちゅうアホらしい質問するんじゃ

あれは卑怯な検査だと思うよ 『目隠しされてるから何も見えんかったんだね。しかも声を出しちゃいけなかったわけだし。フフフ 意地でもしっかり意識を保ってたわけだわな。それで検査の結果はどうだったん。やっぱり心臓に毛が生えてたんか?』 『何やその言い草は。結果はなあ よくわからん病気ではあるらしい。けど特に治療の必要はないって言うじゃないか。腹立つわ。何に腹が立つって結構しんどい思いをさせられたあげく 楽しみにしていた肺の中は見られんかったし、別に何の治療も必要なしってどういうこ

11 自分の頭ん中の忘れ物って誰も思い出してくれない

何があってもケセラセラ 五分前の事は過去の事  このお話しからもお分かりだとは思いますが、要するに 二人とも認知症診断の質問にうまく答えられなくて悔しいやら情けないやら 気恥ずかしいやらで 誰にともなく憤慨していたわけでございます。しまいにはとうとう陰謀論にまで発展しましたね。 『あれはな善良な老人達をみんな無理やり認知症にする為の陰謀や。あんなものに惑わされちゃいかん。』なんてね。 『若い時はさ 何があってもケセラセラ 五分前の事は過去の事なんて笑っていられたのに 今じゃ