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M-11自分の頭ん中の忘れ物って誰も思い出してくれない

何があってもケセラセラ 五分前の事は過去の事

 このお話しからもお分かりだとは思いますが、要するに 二人とも認知症診断の質問にうまく答えられなくて悔しいやら情けないやら 気恥ずかしいやらで 誰にともなく憤慨していたわけでございます。しまいにはとうとう陰謀論にまで発展しましたね。
『あれはな善良な老人達をみんな無理やり認知症にする為の陰謀や。あんなものに惑わされちゃいかん。』なんてね。
『若い時はさ 何があってもケセラセラ 五分前の事は過去の事なんて笑っていられたのに 今じゃ三十秒前のことも思い出せないことがあってな。』
『えっ ウメちゃんもそうなの。最近私もな 何かしようと思って立ち上がったその瞬間や えっと何をするつもりだったんやろか??って事が多くなったな。だからな ふと何かしようと思ったら その目的を果たすまでずっとつぶやきながら進むわけ。どんな事があっても途中で別の事に気を取られちゃあかんのよ。』
『忘れてしまったら仕方ないと思いながらもな それでも思い出そうとしているうちに何か別の物に気を取られて 結局何を忘れちゃったのかさえも思い出せないままよ。自分の頭ん中の忘れ物って誰も思い出してくれないじゃない。困るのはそこよ。』
『私は何かある度にメモを書くようにしてるんだけどね その辺の紙に書くもんだからその紙がすぐどこかに行っちゃって わからなくなっちゃうのよ。』

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