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続きのお話 心と身体㉔

(2020年以前の宣告前症状)

2020年に私が癌を患ってから、入院、手術、約6か月療養期間を経て仕事に復帰した。(※ここまでの流れにご興味のある方は2話からお読みください)

療養期間中はたくさんの不安や葛藤がありながら、初めての体験だらけで、右も左もわからなかったので、身体や精神の為に良いといわれる事をとにかく一つ一つ試しながら、身体に合うものだけを残して、それを地道に自宅で続けていた。

手術後の弱った身体には、近距離から始めた散歩はかなり体力回復、気分転換に役立った。
最初は家の周りから始めて、だんだん距離を伸ばす。 初日は家の周り一周が精一杯。でも地道に歩けばだんだんと体力がついてきて、最後は徒歩20分の海まで難なく行けるようになっていた。

そして術後は体温がかなり低くなっていたので、足湯や腰湯をこまめにしたり、早寝、早起きして、食事にも材料や食べるものに気を遣ったりしていた。とにかくこの時は身体を温めて免疫力を高める事を主に意識をして生活していた。

精神的なケアとしては
○感謝のワーク
○好きな音楽を聴く
○瞑想
○病気になったストレスの原因を探る事
○何もしていない自分を受け入れる事
○心の葛藤や病との付き合い方を学ぶ
○親子の関係などに意識を向けてワークを続けてみた。

そして、とにかく焦らない事。身体も頭も休ませる事。

風が吹いたら吹き飛ばされそうなくらい心身共に安定してなくて、ふわふわしていたから…。

それでも時間が経つにつれ徐々に感覚が戻って、気持ちも落ち着いてくると地に足がついてくる。精神にゆとりができると、身体も同じように反応して、回復が早い気がしていた。

精神と身体は繋がっている。
バランスがすごく大切。

数ヶ月はあっと言う間にすぎていき、手術の傷も癒えてきたので、いよいよ仕事に復帰する時期になった。

このころの私はまだすべてがて探りで、ひとまず手術完了、止血完治だけの状況で、癌と言われた事実は変わらず、正直この先どうなるのかわからない状態だった。とにかく再発、転移だけは避けたいので、現状維持だけは慎重にしてかなきゃダメだなんて事を考えていた。

それでも仕事はしてかなきゃならず、来たる初出勤の日はドキドキだった。幸い病や休暇には理解のある職場環境だったのと、ちょうど世間のコロナ自粛も明ける時期だったので、それに便乗する感じで自然に復帰ができたので気分的には楽に戻れた。

こんな事にほっとする私は、その時はまだ仕事をしていなかった自分に罪悪感が残っていたのだろう。

復帰できてよかった!とはいえ現実的に気持ちも身体もかなり繊細な状況だったので、少し動いては休み、動いては休みを繰り返し、調整しながら毎日を過ごした。
なので何をするにも倍の時間がかかってしまう。頭は焦る気持ちと毎日戦ってはいたけど、身体は着実に応えてはくれていて、動く範囲が広がるほどに体力がついてきていた。

検査は1ヶ月に1回だったのが、特に変わりなく過ぎていき、徐々に3か月に1回と期間が伸びていく。
腫瘍マーカー、細胞診、内診とこの三点セットで検査が行われる。

検診結果は、毎回発表を待つ受験生のような心境で、気を失いそうなくらいドキドキしていた。
後から聞くと何故だか先生も同じくらい緊張していたそうだ。

そんな状況でも、日々続けていたワークのおかげか、気持ちだけは落とさないように意識していた。それと同じように、身体も元気になってきていた。

術後は血液数値も正常に戻ったので貧血もほぼなくなった。電車で出かけたり活動する時も以前と比べたら驚くほどに平気になっていた。

そう思うと、血が足りないというのは、本当に深刻な影響を及ぼす事がかわる。心身共にかなりの痛手を追うのだと、身をもって実感した。

血が足りないと…。
○身体が冷える
○常にだるくて疲れやすくなる。
○精神もかなり不安定になる。
○落ち込んでも立ち上がれないくらい、どうやってもポジティブな気持ちになれない。
○常に頭痛がしたり肩が凝ってだるい。
○顔色が悪い。

何かあったら沈むことが多かった。
全身何も巡っていない状況だから、代謝も悪くて毒の排出もできない。免疫もおそらくかなり下がる。どうでもいいやって気持ちから這い上がってこれない。

だから、もしそんな気持ちになったりすることが多い人がいれば、単純に精神が病んでるとか、性格が暗いとか、ネガティブだという言葉だけでは片付けないでほしいし、落ち込んでるなら尚更、絶対に自分を責めないでほしい。

もちろん実際に精神だけが原因で病んでしまう事もあるだろうけど、やはり原因は一つではなく、身体にも変化が起こっていて、それが原因になっている事が大いにあるんだという事が今となってはわかる。

原因が発覚する前の私は、体調不良やどうしようもなく落ち込む原因を、ただ単純に自分の精神が病んでいるんだと、普通に他の人ができることが自分にはできなくて、怠け者なんだ。そして、どうしようもなくネガティブな人間だ!なんて事を思っていた。気持ちの問題、ストレスや忙しさで疲れてるだけと騙し騙しやってきた。

どうしようもなく辛い時はセラピーを受けたり、自分できるワークをしたりしていたけど限界があった。
もちろんこういったワークのおかげで、心底落ちても自滅せずに済んだのかもしれない。
でも、そこには落とし穴もあって、セラピーを受けたり気分転換にどこかに出かけたりしても、いつのまにかまた元の鞘にもどり、身体も現実生活についていけなくなって、もう何をやってもどこに行ってもダメなんだ…と逆に絶望したりしていた。
逃げ場を失った気分になったり、自分をダメな人間だ!なんてことを考えるところまで追い詰めたり、しまいには自分ばかりを責め続けるようになってしまっていた。

話が逸れてしまったけど、血が正常値に戻ってからは、徐々にこういった精神的な症状は治っていった。時間と気持ちに充分なゆとりができてきたので、身体も癒されていった。

自分のリズムに合わせられる休暇中だったので、この感じを維持するはとても簡単だった事が後になってわかる。

そう、仕事が始まるとこのような感覚もだんだん遠ざかっていく。

疲れやすくホルモンバランスが悪い事を除けば、劇的に変わった変化がなかったので、また身体の事を忘れてしまう結果に陥り始める事になる。

動けるようになると、やる事が増える。家事や仕事に追われ始める。ストレスで暴食してしまう。それをまた言い訳をしながら自己処理し始めていたので、何かと麻痺してずれていく。

心のどこかでは『まただよ。このまま突き進まないで』って言ってる。でもその声は小さい。『いや、現実生活が伴わないから仕方ないんだって』って声をかき消している私も存在している。

下腹部にも違和感を感じるけど、疲れたんだな。動きすぎたかな?
日々ホームケアはしながらも、だんだんそこにかける時間が少なくなっていく。

身体はいったん壊れると、取り戻すのに時間がかかるから、本来ならばそうなる前にケアしていく事がとても大切。
なのに、また誤魔化し始めた。

動きが出るとやる事が瞬く間に増えていく。できるようになった事がまたできなくなると焦ってしまい、社会生活優先の時間軸ができあがる。そうすると気持ちと身体が分離していく。

『このままでいいのか?』と自問自答の日々。出来るだけ元気に活動をと意気込むとまた不安定な状況。
これの繰り返し…。

自分とのバランスをとっていく方法をうまく探していかねばと、かなり苦戦していた。

とはいえ、気持ちだけは落ちないようにといい意味で自分を甘やかし、元気に活動している自分というイメージは忘れずに生活していたので、実際にはかなり元気に見えた。

腫瘍マーカーは上がったり下がったりで、心配しながらも現状維持で行けば大丈夫という状況だった。

一年目を迎える前のマーカー検査では、驚くほどにマーカーが下がったので先生がびっくりして喜んでいた。私も良かった良かったって……。

色々あるけど、やってる事は効いているるんだな?なんて事を思いながら。

この後に奈落の底に落ちる事も知らず喜んでいた。

そんなこんなで一年が過ぎて…
一年目だから精密検査をせねばならぬということになり、MRIやCTの検査をする事が決まった。

血液検査もよかったし、患部再発もなくだったので、何の違和感もなく検査の日を迎える事になる。

…続く


※最後までお読み頂いてありがとうございました。この記事がよかった方は『スキ』又は『サポート』よろしくお願いします。✨





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