【絵本野山草】(5) 車軸草/をだまき草/紅黄草/高麗菊/沢ゑびね草/沢桔梗/丁子草/かたくり/眉はき草/くがい草
車軸草
半辺蓮
葉、矢筈のごとく、うす紅のはなだん/\さく。蔓と同くひろがりて立のびず。又、あみだがさともいふ。五六月花さく。
※ 「矢筈」は、弓の弦を受ける矢の端の部分のこと。
※ 「あみだがさ」は、阿弥陀笠。
参考:『大日本国語辞典 巻1』(国立国会図書館デジタルコレクション)
をだまき草
三四月花有。
花のいろ柿紅、花のうち黄にして、そと黄のうつりあり。かたち、いとまきのごとし。葉はとんぼう草に似て、大葉なり。莖むらさきいろ、はなの四方つのなきを 八重のをだまきといふ。また、放下僧ともいふ。
※ 「いとまき」は、糸巻。
紅黄草
漢名、藤菊。
葉、蜀椒のはのごとく、花のうち こい柿紅 そと黄、はなびら五辨、花のふちにそとの黄色少しまはり。又、千重有。
※ 「蜀椒」は、山椒のこと。蜀椒。
かうらい菊
一名、春菊。蒿菜花。
花のかたち、はま菊に似たり。色黄にして、葩さきより白し。葉のかたち、まつむし草に似たり。いろあさく、又、花の色、惣黄なるもあり。また、惣白も有。じくたちのび、はなさく。たかさ一二尺ばかり。葉、ふゆよりあり。葉つきしなやかなるものなり。葉しけくつく。はなすくなく、又、をらんだぎくともいふ。
※ 「葉しけく」は、葉 繁く。
時斗蘭
又、沢ゑびね草ともいふ。
葉、ゑびねのごとくにてみじかし。はなのかたち、ゑびねに似てちいさし。いろ、くろべに、葉のうへにほしさま/\いる。白のほしいるもあり。むらさきのほし入もあり。水間えびねとも、小ゑびねとも、沢ゑびねともいふなり。四五月はなあり。
沢桔梗
花、ききやうに似て、きれふかく葩長し。色も桔梗に同。葉も同じ。高二三尺斗のび、水より生ず。六七八月に花さく。
丁子草
山梗菜。
葉、柳葉に似て、花こんいろ、かたち丁子のごとく、小りん也。葉の間にさく。三月はなあり。
※ 「小りん」は、小輪。
かたこ草
かたこゆり、旱藕。
葉、さゝ葉に似て、花のかたちゆりのごとく、色うす紅なり。万葉集のかたくり、これなり。もちあつかふこと久し。藝花家にて、初ゆりといふ。二月はなあり。
眉はき草
秋あざみ、田むら草。二八月花さく。
花葉ともにあざみに似て、葉うすく、はりなし、花しの立のび、小枝別れ、卓散にはなさく。秋あざみといふ。眉はきといふは、秋あざみにかぎらず、春あざみをいふ。はなのかたち、眉はきに似たり。一種、葉あつく、きれふかく、はなも又つねの秋あざみより大輪也。
くがい草
花のかたち虎乃尾のごとく、色うす黄なり。葉、くるまばにつき、だん/\に葉出る。五月はなさく。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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