「文脈メシ」で妄想が止まらない4
こちらの記事から始まった、私による、私のための、文脈メシ妄想大会。ついに今回最終回(のはず)です。
今回は割と真面目に書いたので、先に謝ることはないと思うんですが、ただ、真面目にやりすぎて途中疲れて休憩します。皆さんも、ドーナツでも食べて、コーヒーでも飲んで、休憩しながら妄想してくださいね。
それではいってみよー!
*
今日のトップバッターは、たねさん。
うめがき たねさん:
・体育祭のクラス対抗大縄練習のあとのアイス
アイス…?アイス食べてるってことはこの子たち、放課後に練習してない?大縄練習に命かけてない?私が放課後の人狼ゲームに命かけてたみたいなこと?え、なに?違う?違うか。
「うちら勝てるかな」
「いや絶対勝つっしょ。アイスうんま」
「でも2組は、80回くらい跳んだらしいよ」
「えっ、やば。アイスうんま」
「でも、うちらもだいぶ頑張ってるよね」
「頑張りすぎてアイスがうんまい」
アイスを食べると、砂まみれの身体がシーブリーズを感じますよね。不思議。砂まみれのままなのに。
さて、お次はどなたかし…
四宮麻衣さん:
・日曜の午後父親が作ってくれたラーメン
・親に内緒で食べた初めてのマック
・ドタキャンされて泣きながら食べた手作り弁当
・夏の昼寝から覚めて飲む濃いめのカルピス
・歩きながら食べるフランクフルト
・執筆明け、ベッドの中で食べるショートケーキ
・風邪を引いた時のりんごのすりおろし(氷入り)
・お手伝いしながらなめたピザソース
・病み上がりの鍋焼きうどん
ヒエッ。
…えっ?まって?まってまって?
まってまってまって??
文脈メシが??洪水起こしてる???
え???四宮さん??ちょっ、待っ、え??
…ウッソォ…
…とりあえず気合い入れて、いけるとこまでいきます。
「日曜の午後父親が作ってくれたラーメン」
風通しの良いリビング。父親と2人で、ずずずとラーメンを啜る。
「なあ父ちゃん、父ちゃんはラーメンしか作られへんの?」
「そうやなあ、父ちゃん料理は下手やからなあ。麻衣は何か作ってほしいもん、ある?麻衣が言うんやったら、父ちゃん作ってみるで」
「いや、いい。麻衣、このラーメンがいい」
「ナポリタンとかどや」
「いい」
「オムレツは?」
「いいねん。麻衣、父ちゃんのラーメン好きやから。これがいいねん」
「…ほか」
えっなに?いきなりエモいぞ?
家族との思い出系エモいぞ?完走できるんかコレ…
「親に内緒で食べた初めてのマック」
学校の友だちと初めて食べた、マック。親には禁止されているマック。
「おかえり」
「ただいまー」
「麻衣、今日はどこで勉強会してたの」
「あーあの、友だちの家」
「ふうん」
努めて、マックなんか食べていませんよという顔をする。でももう私は知ってしまった。マックのジャンキーな美味しさを。背徳の味を。お母さんごめんなさい。私は今日、お母さんの知らないところで、またひとつ大人になりました。
「ドタキャンされて泣きながら食べた手作り弁当」
いってきまーす、と言って家を出たけど、行くあてはない。だって彼は今日、待ち合わせにはこない。
「ごめん!友だちと釣り行くことになった」
そんなメッセージだけ、約束の1時間前に私によこした。母に教わりながらウキウキで弁当を作った手前、出かけないわけには行かない。含み笑いで、嬉しそうに私を見送る母の顔をなるだけ見ないようにして、少し遠くの公園へ向かう。一人ベンチに座り、食べられたかったはずのお弁当を泣きながら食べた。全部で、二人分。
「夏の昼寝から覚めて飲む濃いめのカルピス」
ミーンミンミンミンと煩いセミの大合唱に、日当たりと風通しの良い和室の、い草の香り。暑くて煩いはずなのに、畳にほっぺをくっつけてたら、いつのまにか眠っていた。
だるいんだか、すっきりしたんだかわからない寝起き。カルピスを濃い目に作る。あんまり濃いのばっかり飲むともったいないけれど、寝起きだけは濃いやつがいい。甘さが身体に染み渡るのを、ぼんやりしながら噛み締めたい。
「歩きながら食べるフランクフルト」
「お祭りなんか行って、どうするの?なにをするわけでもなく、ただブラブラするだけでしょう」
お母さんはそうこぼしながら、私に浴衣を着付けてくれた。
ついさっき制服で別れた友だちと、お互い浴衣で合流する。「かわいー、髪アップにしたんだ」なんていいながら、屋台の前をウロウロする。あの子はりんご飴、あの子は箸焼き、そして私はフランクフルト。
ぶらぶらと、なにをするわけでもなく、私達は食べながら歩く。ほんとうに、なにをするわけでもなく。
…ひい!まだ折り返し!恐るべし四宮マラソン!
ちょっとここらで休憩します。
*
信じられないことに、なんと文脈メシが、選手権になりました。
うせやろ…
文脈メシ、あなたはいつの間にそんなに大きく育って…
企画力の鬼、マリナ油森さんとあきらとさんが取りまとめてくださっています。みなさんの文脈メシを、ここで作品に結晶させてみてはいかがでしょうか。締め切りは5月8日、金曜日いっぱいまで。
note登録したての方も、デビュー戦「文脈メシ」でいっちょかましちゃえ!!
(あきらとさんバージョンはコチラ。「いいじゃん。買い物なんてさ、行かなくても。ずっと俺といよ?」つって彼女と初夜する男の話が読めます)
*
告知を挟んだところで、続きに参ります。
そうだな。いったん四宮さんマラソンを抜けて、別の方のネタいってみよう。べべべ別に、マラソンを諦めたわけじゃないんだもん!ちょっと寄り道するだけだもん!
タダノヒトミさん:
・部活の試合帰り、まだメジャーになる前のサイゼリヤで毎回頼んだ、エビのリゾットカプリ風とオレンジの皮に入ったオレンジシャーベット
おふ。細かい。細かい上にナニソレ。サイゼといえば「ミラノ風ドリア」じゃないんですか。エビのリゾットカプリ風、めちゃ美味そうじゃないですか。ていうかミラノ風とかカプリ風とか、そこは絶対に外せないんですねサイゼリアさん。
「…ご注文は?」
「エビのリゾットカプリ風ひとつ」
「私も…」
「私もー!」
「えーと、1,2,3…」
「僕、2つ」
「オレも2つ!」
「えーっ!ちょっとまって?!手挙げて!2つの人は両手挙げて!」
…そんなやつおらんか。
siv@xxxxさん:
・朝まで飲んでぐたぐだしたあとの吉野家の朝定食
明け方、飲み屋からほっぽりだされた私達は、明るくなりつつある世界と、酒とつまみに飽きた胃袋の不満の声を感じて、吸い寄せられるように定食屋へと入っていった。
「ねっむ」
「むり。おやすみ」
「メシ美味いな」
「メシ美味いわ。寝ながらでも美味いわ」
「あー…、ねむ」
ただただ「眠い」と言い合うだけなのに、誰も、「もう帰ろう」とは言わない。ギリギリまで。朝ごはんまで。一緒に食べて、帰ったらすぐ寝る。ずっと一緒にいる夢を見る。
人生イチの、ぐだぐだ感。ぐだぐだするのって、なぜああも楽しいんでしょうね。なーんの生産性もない。でもそれが、一生忘れられない思い出だったりするから、人生って不思議。
ルミさん:
・深夜の喫茶店で食べるパフェ(カップル
ほほう。カップルとの指定が入ってますね。
そりゃ多分、こじれたな。
「もういいよ!あたしのことなんて、どうでもいいんでしょ!」そう言って、家を飛び出した。真っ暗な夜道。とはいえ、同棲しているあの家しか私の居場所はないのだから、行くあてもない。とぼとぼと、一人で真っ直ぐな夜道を歩く。ブウン、と1台のトラックが通り過ぎていった。分かってる。こういうの、「試し行為」って言うんでしょ?彼の愛情を試したくて、家を飛び出したりなんかして。ずっとそう。元カレも、元元彼も、その前の時も。いつも私は「試し行為」をしてきた。そしてそのたんびに、「情緒不安定で付き合ってられない」と突き放されてきた。分かってる。今回も、だからきっと振られる。試さなきゃいいのに、「どうせ私を見捨てるんでしょ」って、不安が拭えない。誰か、私を見捨てないでいてほしい。誰か、私じゃなきゃだめだって言って欲しい。ブウン、とまた1台、車が後ろからきて、そして私の横に停まった。「ルミ。危ないでしょ、こんな夜中に。家が嫌なら、送るから。あの喫茶店まで送るから。そしたら僕は帰るから。だから乗って」怒ったような、不安なような、彼の表情。「帰らないでいいから」私は声を絞り出した。「パフェ、奢ってくれたら、いいから。来てくれてありがとう」
…いや何で?????
なんでこんなに入り込んじゃったの私???
しっかりして???
女の試し行為心理書くの楽しいとか言ってないで戻ってきて???
…疲れたので、もっかい休憩挟みます…
*
#文脈メシ妄想選手権 、コラボ企画まであるそうな。
うせやん。どうなってるん。
難しいこと書いてはるんですけど、どうも、「ドーナツとコーヒーこっちで手配したから、買うてくれる人は画面越しに一緒に食べて、ただでさえ美味いドーナツを、文脈でさらに美味く食べる会しよや」みたいなことっぽいです。いや知らんけど。
*
さあーーーて!!!
復帰しますか!四宮さんマラソンへ!!
GO!!
「風邪を引いた時のりんごのすりおろし(氷入り)」
お、氷入りですか!うちはむしろ温めていたような…?
「麻衣、入るでー。はいこれ、りんご。具合どや?」
「うーん分からん」
「ほなちょっと体温測り」
そう言われて、体温計を脇に挟みながら、すりおろしりんごを食べる。
「すりおろしりんごって、なんでこんなに茶色いん」
ピピピ、と脇から音がする。
「なんでやろ。腐ってんのとちゃう」
「えっ、ウソ?」
「ウソに決まってるやろ。できたてホヤホヤや。何度?」
「7度4分。腐ってる割に美味しいな」
「せやろ。お母さんの愛情たっぷりや」
「それで茶色いんか」
「せや。茶色さは愛情の証や」
その茶色いすりおろしりんごを食べると、風邪が治る気がしたのだから不思議なものだ。
「執筆明け、ベッドの中で食べるショートケーキ」
あー、執筆明けにね!!集中して疲れたなーって思いながら、自分へのご褒美としてね、ベッドの上でショートケーキを…
ショートケーキ?!?!
えっ、ショートケーキ???
そんなホイホイ出てくる?ショートケーキ?
これはさすがに、お嬢様設定じゃないとうまくいかない気がする。
「爺や。ようやく執筆が終わったわ。ケーキを持ってきてちょうだい。ベッドでいただくことにするわ」
「ケーキはいつものでよろしいでしょうか、お嬢様」
「そう、いつものよ」
ほらね?
「病み上がりの鍋焼きうどん」
こちらも体調不良バージョン。
他の家族が普通の夕食を食べている中、自分だけ、自分用にと母が作ってくれた鍋焼きうどん。小さな鍋に、美味しいが全部詰まっている。久々に食べる濃い味。風邪が治ったなと実感する。兄弟のアジフライも美味しそうだけど、僕の鍋焼きも負けないくらいに美味しい。なんてったって、今日だけは、僕だけの特別メニュー。
「お手伝いしながらなめたピザソース」
ママに「好きなように具材を並べて」と頼まれたので、ソースの塗られた生地にピザの具を盛り付ける。シーフードもいいな…でも肉もいっぱい乗せたいな。あっ、チーズもたくさん乗っけなきゃ!
「もー、麻衣。そんなにたくさん乗せちゃったら、焼けるもんも焼けないわよ」
だって、お腹がすいたんだもん。ママがよそ見をしている間に、ソースを舐める。だめだ。もっとお腹がすいちゃった。
*
ってなわけで。走りきりました。
文脈メシマラソン。
もし、見落として拾えてない方がいたら申し訳ありません。
少しでも皆さまの妄想が掻き立てられていたら幸いです。
妄想が止まらなくなったら、私に報告するか、#文脈メシ妄想選手権 に思いの丈をぶつけてください。
*
【Special Thanks…siv@xxxxさん、うめがき たねさん、タダノヒトミさん、四宮麻衣さん、ルミさん】
あなたが今読みたいのは…
1.ほんまダメ男の短編小説
2.「子どもの没頭」育児エッセイ
3.「強いのは黒でも白でもない」育児エッセイ
4.四宮さんのマジ文脈メシ
5.いやむしろお腹すいた何か食べたい
1.
2.
3.
4.
5.
重ねて、皆さまありがとうございました〜!