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根暗と根明のタイマンラジオ 【第2回】


 ”皆さん、元気ですかぁ?”
 ”今日は楽しんでますか!”
 頼まれてもいないのに、つい仕切ってしまうの。

 あ、どうも。大黒摩季です。

 そんな私は、まだあんまり元気じゃありません。
 倦怠感。疲れやすい。
 引き続きガッチリ養生の日々を送らせていただいております(夫に向かって合掌)。

 それでは今日も、根暗でKing Gnu好きのエイコさんと、根明で髭男好きの私による、読むラジオはじめまーす!(その他の回はコチラから)

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 あなたは、創作物を楽しむとき、カタルシスを求めるタイプですか?それとも、深く潜って浸るタイプですか?


(※このラジオは、エイコさんのnoteにも同じテキストがアップされていて、導入と編集後記がそれぞれ異なっております。Please don't miss it !)


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遠山エイコ:1984年生まれ。note歴もうすぐ2年。noteではコンテンツレビューやエッセイや小説を。note【紅茶のある風景】コンテスト入選。筋金入りの根暗。KingGnu推し。

坂るいす:1988年生まれ。note歴9ヶ月。1歳児育成中の主婦。普段は下ネタ要素多めのショートショートやエッセイを書く。どうやら根明。Official髭男dism推し。

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るいす:沼の底からお送りします!

エイコ:根暗と根明のタイマンラジオー!

るいす:やったー!ねえ、ちょっと!逃げないで!ステイチューン!

エイコ:るいすさん落ち着いて。

るいす:はい。ごめんなさい。さっそく今日のやつ、エイコさんから語ってください。

エイコ:はい、はい。前回が確か、それぞれの推しの、好きなポイントを挙げて。で、話してるうちに、常田さん(KingGnuギター&ボーカル)の「陰に入っていく」感じがちょっと、これは触れないわけにいかないぞ、という。ただごとじゃないぞ、と感じていますよ、という話をしたところで終わったんだけど。

るいす:大げさだな。笑 

エイコ:でね、そこを入り口にして、今日は、いま最も注目されている旬のアーティスト2トップと言っても過言ではない(!)我らの推し2組の、「ものを創る」うえでの、なんというか精神性の?違いについて掘り下げてみようかなと、思うわけです。

るいす:壮大なテーマや。まあでも、私たちも「ものを創る」ことについてはよく考えるからね。

エイコ:そうなんだよね。いろいろエンタメ楽しんでても、どうしても考えちゃう、noteの街の端っこに創作物置き逃げしてる身としては。
 で、「常田さんの陰」の話に戻るんだけど、わたしずっと、何で、あんなになんでも出来て完璧に見える、まあ例えばだけど、間違いなくモテてきただろうし欲しいものも多くを手に入れてきたんじゃないかなっていう常田さんがああいう、想いが届かない系の、孤独が自分の中で渦巻く系の歌詞書くんだろうなぁと思ってたんだよね、ヌーにハマり始めた時の素朴な疑問として。

るいす:渦巻いてるね。私でも感じるくらい渦巻いてる。

エイコ:もちろん、人から見たら何でも出来ても自分のなかでは欲しいものが手に入ってないとかね、あるんだろうけど。でもそう思いつつも腑に落ちなかったんだけど、先日ですね、舞城王太郎の「ほにゃららサラダ」(※)っていう作品読んでてなんかちょっと気付いちゃったんだよ、天才の苦悩について…

※ 美大を舞台に、圧倒的に才能のある男の子と、自分はそこまでの才能はないだろうと思いながらも自分に諦めきれない女の子が恋愛関係になって…という、創作を志す人なら一度読んで損はない短編小説。『私はあなたの瞳の林檎』に収録。


るいす:お、おう、何か考察始まりそうだぞ。

エイコ:ごめんねちょっと長くなるけど、説明させてね。愛ゆえにね。適当に語れないから。

るいす:愛がすごいな。茶でもしばいて聞いてる。

エイコ:ありがとう。常田さん個人の話っていうよりは、「ほにゃららサラダ」を読んだ結果の、圧倒的な才能がある人についての考察として言うんだけど。才能がありすぎる人の横にいると、同種の志がある人なら特にだけど、やっぱり自分との圧倒的な差に耐えきれなくなるんだなと思うのね。嫉妬に始まり、比較、劣等感、苛立ち。 そうなるとどんなに好きでも一緒にいられなくて、その人の元を去っていくという結末になる。 これ、天才くんの立場からしたら、自分としてはやりたいことを追い求めてるだけなのに何故か好きな人を傷つけていて、何故か自分のもとから去っていくっていう、どうしようもない虚無感じゃん、と。

るいす:そういう話ね。

エイコ:常田さんみたいな、ものを創らずにいられない、追求せずにいられないストイックな天才くんは、まあ恋愛に限らず、いつも気付いたらひとりじゃん、みたいな孤独と隣り合わせなんじゃないかなーってね、なんか読んでて腑に落ちたんだよね。

るいす:なるほどねえ。まあ、私は、ちゃぶ台を返すようだけど、どれだけ才能があっても、どれだけ人気者でも、どれだけ見た目が良くても、孤独は皆に平等だと思うな。人間、孤独なんて解消されるもんじゃないと思うし。

エイコ:おお、来たな、異文化め。でもまあ、そりゃあ、そうだわ。

るいす:そんで、圧倒的な才能のせいで人が離れていく、ていうのも、「人が離れていく」の中の一つのパターンでしかない気がするわけ。元も子もないこというと、才能に心折れて離れていく人間とは、所詮それまでの関係でしかなかった、と。

エイコ:真理。いや、真理なんだよ?なんだけどなぁーー何でそんな割り切れんの?笑

るいす:いやもちろん、いったんは落ち込むけどね。ドライなのかなあ。笑 才能込み込みでまるっと受け止めてくれる女の子、探しゃあいいんでない?どっかにいるでしょ。いるよきっと!いるいる!!と思うんだけど。そのへんが根明なのかね。

エイコ:スコーンだね。根明がスコーンだよ。突き抜け。根暗陣営はそうはいかない。

るいす:根暗陣営…なんか凄そうだな。笑 でも、さとっちゃん(髭男Vo/Pf)はそういう感じで、まるっと受け止めてくれる人と結婚したんちゃうかな。知らんけど。いやほんま知らんけど。笑 まあでも、常田さんの孤独がアートな感じは分かる。生き方ごとアートというか。

エイコ:こないだ公開されたビールのCM、大人エレベーターでの常田さんの発言がさ、わかりやすくて。妻夫木くんの「人生が1本の映画なら、今どのあたりですか?」っていう質問に、「ちょっとまだ構想段階…」って答えてて。「そういうとこな!」って思った。笑 たぶん、見えているものがあまりに大きいんだろうね。

るいす:凄いな。そんなに自分に厳しくなくても…。めっちゃ疲れそう。

エイコ:常田さんはさ、「音楽なんてね、形のないものでね、ちょっとアタマおかしいよね…」って言ってて。

るいす:何というか、諦観が強いよね。

エイコ:諦観に抗ってクリエイトしてまた虚無が襲ってきて諦観、そしてまた…の繰り返しな気がする。

るいす:分かる分かるそのイメージ。

エイコ:ここまで売れる前にラジオで言ってたんだけど、洋楽の、リスペクトしてるアーティストが自分と同世代と知ってショック受けてて。「俺たちは何やってんだ、一回死んどけ」と。笑ってたけど、結構本気の感じで。思い描くものがでかいから、いつも不足感、渇望感があるんだろうなって。

るいす:えぇ…ストレスやばそう…。いいじゃない…自分は自分で…。まあでも、そんな中でも、構想中とか言いながらも、ごっつい作品生み出してるのが、常田さんが天才たる所以だよね。普通はさ、そんな焦りがあったり、構想中だったりって、手が動かなかったりするじゃない。笑

エイコ:それだよ…なんだかんだ言って出来上がったもの傑作ばっかじゃん…暗い部屋でひとり泣いてた根暗じゃなかったのあなたは…?って。

るいす:いやまあ、イメージね。笑 でもそのメンタルで作るのって、ものすごくしんどいことよね。凄すぎる。さとっちゃんはさ、どっかのインタビューで、「迷ったらDoだよね」みたいなことを言ってて。多分、迷うのは迷うけど、そこからの切り替えを積極的にしていくタイプなんだと思う。

エイコ:あー、めちゃポジティブ。

るいす:「迷ったらDo」って、言うのは簡単だけど、するのはめちゃムズいじゃない?そういう難しさを引き受けて、切り替えようとしてるさとっちゃんが好きだし、かっこいいなと思うのよ。そんで、自分自身、迷ってないでDoしないとだなって思える。まだまだ出来てないけど。笑

エイコ:さとっちゃんのその感じ、頭ではわかるんだよね、理屈で。迷ってる暇があったら進め、っていうのは正論だし。でも出来ない、そんな簡単には。

るいす:理屈でね。孤独だけど、やれることやって生きていたいじゃない?っていうのはまあ、理想論でもあるからね。

エイコ:理想論。そうなんだよ。そんなのわかってるよ!わかってるけどさぁ…っていうのが根暗陣営のリアクション。笑 なんだろう、理屈抜きでね、常田さんの感情が、あくまでもこっちが勝手に、歌詞とかインタビューから感じ取る勝手なものだけど、その感情が、グワァーーーッと流れ込んできてしまうの。過共感、みたいな。いや、そんな言葉ねえわ。

るいす:感情は私もグワーッとくるけど、ずっとそれだとしんどくなってくる。ずっと水の中に頭押さえつけられてる感じ。そしたら、いやこんな気分でばっかいても、人生楽しくないやん、ハッピーにいこうぜ、みたいな感じに切り替わって、そしてさとっちゃんにハマる。

エイコ:いやもう、つまるところ根暗根明に戻ってくるなこれ。潜ってから浮上して、笑おうぜっていうさとっちゃんと、潜ってから浮上して、笑ってるんだけど諦めてて、心の中は土砂降りなのが常田さん。『傘』やん。

るいす:『傘』は私も好き。音が軽めだからかな?良いよねえ。

エイコ:すごくポップソングだよね、『傘』。わたしも好き。同時代に二人とも名曲を生み出してて成功もしてるわけで、提出された事実だけ見たらそんな違わないじゃん、て感じなんだけど、精神性がまるで違う、真逆。

るいす:うん。だから、どこに身を置きたいかでヌーを聴くか髭男聴くか変わってくると思う。

エイコ:うんうん、受け取り手のスタンスとかメンタルはかなり関係あるよね。そーだ、『異端なスター』が頭から離れない最近。

るいす:あらやだ嬉しい。リズム感がいいし気持ちいい音楽だから、そういうのが好きな人はハマると抜けられないの。気持ちよくて脳があっぱっぱになっちゃうの。

エイコ:頭パーンだな。笑  曲、耳に残るしからだも動くよね。歌詞もよかった。

るいす:歌詞いいでしょ。ワンオク(ONE OK ROCK)の『完全感覚Dreamer』とかに近い感じで、「誰がなんと言おうがさ、自分らしくいようぜ!」「戦ってこうぜ!」っていう、ちょっとロック魂が見え隠れするというか。ああいうので高まっちゃうのよねえ。たまらん。

エイコ:あー、なるほど。受け止め方めっちゃポジティブだな。笑 『異端なスター』の歌詞はさ、銀行員からのミュージシャン、ていう出自も感じさせるし、それは同時に、note書いてる人には多い気がするんだけど、今やっていることと、本当にやりたいことの狭間で…みたいなこととか。

るいす:だね。葛藤を越えて、「愛を持って声を言葉で聞かせてよ」って、え、もしや私たちに言ってる?っていう。うん…!愛を持って言葉を綴るね…!って私、さとっちゃんに誓ったもん。

エイコ:誓っちゃった。笑 いや、でもほんと、『異端なスター』の歌詞はグッとくるところ多かった、うん。

るいす:ちなみに、「悲しくて一人泣いていた そんな夜から逃げないで」っていう部分は、割と根明マインドつうかロック魂出てる気がするんだけど、そのへんはどうなの?笑

エイコ:あー。さっきからなんとなく思ってたんだけど。あのね、あれだわ。この曲の歌詞の、どこにグッとくるのかが根暗と根明じゃたぶん、全然違うんだわ。

るいす:やっぱり。笑

エイコ:これ、「照らすライトのひとつとなって悔し涙流してた」過去からの脱却、「怖がらずに歌って変えていこう」っていう未来への希望、決意の歌じゃない?逃げなかったその先に何か見えるでしょ?っていう。で、るいすさんは、泣いたとしても「その先」を見据えるさとっちゃんのマインドに、「うっきゃあ…!」ってなるってことでしょ?根明は。笑

るいす:間違いない。最高の解説ありがとう。興奮する。してきた。

エイコ:根暗陣営はさ、その「照らすライト」時代のことを延々と見ちゃうわけ。心のなか鬼の形相でね、まあ顔は能面で。時に能面が涙流して。「醜いリアル」のことばっかり考えちゃうんだよね。そのあとのことは、正直うまくいこうがいくまいが関係ない。笑
 いや、まあ、いろいろ経て、結局は前進しようって思えてたりもするんだけど、創作するときは特に、その一瞬の、禍々しさにフォーカスしちゃうの。切り取る場所の問題というか。それを作品に昇華せずにいられない性分というか。

るいす:ああ、そういうことね。そういう意味では、私は「カタルシス」を求めるタイプだからね。ブレイクスルーに快感を覚えるんだと思う。だからフォーカスが禍々しいとこで終わちゃうと、不完全燃焼感が溜まっていっちゃう。笑 作品としては好きなものもけっこう多いんだけどね。なんせ興奮しないから、依存性がないんだと思う。逆にエイコさんたちは、その「辛さ」に浸るのが気持ちいい、てことなのかな?

エイコ:え…!?そうなのかな…だとしたら真性のドМだな…。笑 うーん、でも作品としては、カタルシスのあるものも好きなんだよ。読んだり観たりしてるそのときは夢中になるんだけど、結局、後々までなんか心のどっかにひっかかってんな…って思うのは、その「禍々しさ」に相対してるときの感情とか描写とか台詞だったりするの。結果より過程、というか。

るいす:なるほどね。仕組みは完全に理解できる。ちなみにそれって、気分が沈みすぎて日常生活に支障をきたしたりしないの?

エイコ:あー…引きずられることはあるかな。あ、だからよく幸薄いって言われるのかな、わたし。笑 

るいす:常田さんも幸薄いっていうか、儚い感じだもんね。あ、一緒だ。おめでとう。

エイコ:え!?突然!笑 ありがとう…あー、一緒?嬉しい。笑 そう、儚いんだよ常田さん…もう、大事なのは「今」しかない…いや、そう思おうとしてるというか…何度も「未来なんて不確かで」みたいなこと歌ってるし。過去への後悔…いや、思慕…?それからぼやけた未来への微かな希望…

るいす:いやまあそうなんだけどねえ。考えたら疲れるよ、過去や未来のことなんてさ。でもそこが、儚い魅力なんだろうね。
 
エイコ:うん、それだね。間違いない。

るいす:やっぱ生き方からアートだな。常田さんも、そしてエイコさんも。笑

エイコ:ふぁ!?また来た!?!めっちゃ光栄なんですけど!?!?(果てる)

るいす:あっ…起きて?エイコさん起きて?果てるのは後で存分にしてもらったら良いから、今日のところはとりあえず締めちゃって?笑

エイコ:ハッ。(起きた) はいはい。えー、というわけで、今回はそろそろ、お時間が来てしまいました。この時点ですごい長さ…なんだけど、実はまだまだ話し足りない。このテーマ、盛り上がりすぎて終わらない。笑 今回はここまでにして、次回、第3回も、引き続き同じテーマでお喋りしていきたいと思います。

るいす:髭男メンもヌーメンも、またお会いしましょう〜!ばいばい!


【本日の沼への招待状】

Official髭男dism
『犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!』『 異端なスター』

 私が彼らの動画を検索して一番最初に見て、「ときめかされ続けてはや3年?えぇ…ピュア…」と戸惑いながらも、あっっっっという間に恋に落ちた動画が、これ。
 ライブだよ?気持ちよすぎる。歌うますぎる。音きれいすぎる。楽曲良すぎる。レベル高すぎる。紫の光が似合いすぎる。
後半3:38から、会話に出てきた「異端なスター」です。


KingGnu 『Flash!!!』
(NTTドコモ「5G」CMソング)

 常田さん自身が思い入れのある曲として挙げている一曲。映像のなかで、フラッシュさせ過ぎてMVが広告一切NGになったってエピソードも尖ってますが、歌詞もかなり攻めてる。「くだらねぇぜ真実なんて」ってあの声で歌われた日にはもう…果てる(本日二度目)。
 常田さんは自分のことを「二面性がある」と言っていて、その「攻めてる」側がモロに出た作品じゃないかと。とはいえ「一瞬でいい、今だけでいい」とも歌っているし、やっぱり儚いお方なんですよね…。

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 さて、いかがでしたでしょうか。

 あなたは、カタルシスを求めるタイプでしたか?それとも、深く潜って浸りたいタイプでしたか?

 まあ、時と場合にもよりますよね。

 でも、少なくとも私は、人生で一度も「幸薄そう」と言われたことはありません
 顔は薄いのに。

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 毎度のことながら、興奮の抑えが効かない根暗と根明の戯れにお付き合いいただきありがとうございます。

 このラジオ、いつも話が渋滞していて、記事がアップされるころには次の記事がもうほぼ出来上がっています。話したいネタのストックもいっぱい。

 怖いでしょ?

 私だって怖いですよ。

 そんな怖い次回まで、バイバイまたね!



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