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日の始まりが眠り込んだ小道


時々失いませんか?
安心や希望、心地良い夜、
どこへでも歩進める力を。

私はよく、失くしています。

もう、丁寧な朝を待ち望む夜は来ない
優しい文を書くこともできない
明日の眼差しを愛せない

私はそうして、深淵の縁に
途方に暮れて座り込むのです。

哀しんだり、不安にくたびれて
心地の悪い夜を過ごします。

そうして、彷徨っていると
何度も巡ったはずの場所に
暖かな日の差す小道を見つけるのです。

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こんな所に、日の始まりが
眠り込んでいたなんて。
あぁ助かった、ずっと探していた。

私は心地良く日の伸びる小道を
ようやく見つけ出して
やっと深淵を抜け出します。

すぐに見つかることもあれば
なかなか見つからず
もう二度と抜け出せない様な
気分になる事もあります。

不幸なことに、この小道は
決まった場所にいてくれないのです。

私は希望や健やかさを失い
途方に暮れるたびに、その小道を
懸命に探してくたびれてしまいます。

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ようやく見つけて歩を進めても
途中で、日がすっかり逃げ出したり
大雨が降ったりと、油断はできません。

私はまた奈落の底の様な
暗い深淵に立ち尽くすのです。

幸福が私の側に越して来てくれる
なんて事は起こらないのです。

どれほど深いかわからない様な
恐ろしい海の真ん中に
投げ出された様にもがきます。

永遠の様に広い空間の
どこにも空気がないかの様に
呼吸の方法を忘れる事もあります。

そうして必死に何かに縋り
怯えてもがく事を繰り返し
爪先までくたびれた時、
私は終に、もがく事を止めたのです。

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瞬く間に沈み、おしまいかと
悲観に身を任せれば、そこには
穏やかな水面がありました。

私は海の底に沈みもせず
ただ気持ち良く浮かんで
体はどこかへ向かって
緩やかに流されているだけ。

私はただ、その流れに身を任せ
そのうちに見慣れた日常に
流れ着いたのです。

私は急いで、私に文を書きました。

いつかの私へ
なんでも無い時に、
心は哀しくなったり見失ったりする。
あなたに忘れて欲しく無いものを、
きちんと宝箱に入れておきます。
大丈夫だから気にしないで夢を見続けて。
きっと変わることができる、
もちろん変わらなくたっても良い。
それはあなたの望み通りに。
私はちょっと大変な旅に出かけていました。
そして途方に暮れて、
どうにでもなってしまえば良いと、
運命から手を離してみのです。
そうしたら、思いがけず上手くいった!
今度溺れそうになったら、きっと思い出して。
運命から手を離す事も時には必要、
今まで知らなかった。
深い水に落ちても、体の力を抜けば大丈夫。
ここに鍵を置いておきます。
必要になったら、いつでも何度でも使って。
ちょっと恐ろしいけど、
のんびり浮かんでいるうちに
新しい世界にたどり着きます。
時々、思うよりも時間は歩くのが遅いようです。

私はきっとまたすぐに、深淵の縁に
立ち尽くすだろうと思ったので
私への手紙を書いたのです。

いつかの悲しみにくれた私のため、
行き詰った扉を開ける鍵を同封しました。

この手紙は私を数え切れないほど
助けてくれたのです。
(くたびれ過ぎてしまう事も
もちろん今でもありますが。)

運命から手を離す

一見恐ろしい事なのですが
溺れてしまいそうなら
試してみてください。

どうか、あなたが心地良く呼吸できる
選択をしてくださいね。

この鍵をここへ置いていきます。




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