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#37 『本屋、はじめました 増補版』 を読んで


先日、ついにこの本を読むべき時がきたと思い、本棚の中から手に取りました。


いや特に今読むべき深い理由があるというわけでもないけど、文庫版が出た当初に購入していたのにその時すぐに読むよりも、もう少し店づくりが現実味を帯びてきてから読む方がよいような気がして積ん読の山で温めていました。


本屋好きだったらご存知の方が多いかと思いますが、この本をご存知ない方にむけて少し説明しておくと、こちらは東京の荻窪に2016年にオープンした「本屋Title(タイトル)」の店主辻山良雄さんが、お店をオープンした時の経歴を丁寧に綴った一冊です。

昨年文庫化されてその後の様子なども書き足された増補版としてちくま文庫から発売されました。


これから本屋をやるんだったらまず読んでおいた方がいい一冊です。


最初の2章では辻山さんの経歴が紹介されていて、あの有名な池袋リブロが閉店した時にそこで働いていた方であるということ、その当時の様子も簡単にですが書かれています。その章を読むだけで、わたしみたいな職員でもなく常連でもないいわゆる部外者のような人間でも胸が熱くなります。

最後の瞬間まで全員が店を良くするために走っていた、そういう印象を受けて、そんな店の最後をぜひ見てみたかったという気持ちになりました。

当時わたしは子供を産んだばかりで、外出もままならなかったので閉店のニュースは知っていましたが、行くことはできなかったことを覚えています。

でも無理してでも行くんだったなぁ〜

そして一度でいいからそんな風に仕事してみたい。そういう憧れを持ったのでした。


第3章以降は個人で本屋をはじめるにあたって、どんなやり方でどういうことをやっていったのか、非常に丁寧に順を追って説明されているので同じように個人で本屋をやろうとしているものにとっては本当に勉強になります。

物件との出会い(この物件ありきで「本屋Title」が生まれたと辻山さんも書かれているし、後日わたしが実際にお店に足を運んだときに本当にそうだなと感じたところでもありました。この件に関してはまた来週詳しく書きます。)、名前を決めた経路や、内装を頼んだ人のこと、取り次ぎを決めた経路、カフェのこと、ギャラリーのこと、それぞれとても詳しく書かれていて本当に勉強になりました。


ある箇所では、ブログで店が出来るまでをリアルタイムで書くことにしたとありますが、そこにあまり早くから書いていると見ている方も飽きてきて読まれなくなるとあって、ぎゃ、それってわたしのこのnoteのことでは!!

とかなり焦ったりもしたのでした。

みなさま「もくめ書店」ができるまでまだ先は長いですが、飽きずに見届けてもらえると嬉しいです(切実)


そして最後のページにはなんと事業計画書ものせてあって、まさにこれから作ろうとしていた自分にはこういう見本がほしかった!というものでありました。

まぁ辻山さんの事業計画書はかなりきちんと作られていて、真似しようと思ってもわたしのような感覚人間にはなかなか難しいものがあるとは思いますが、それでもどういうことを書けば良いのかかなり参考になりそうです。


増補版ということで、店がオープンしてすぐの盛り上がりがすぎ、かなり売り上げも落ち着いてきたと書かれていて、お客さんもいろんな人が来るそうで、店の売り上げももちろんですが続けていく気持ちを維持していくのもかなり大変なことであるんだなというのもわかりました。


最初は店ができた嬉しさで誰でも突っ走れると思いますが、その後も走れるかどうか。持久戦ができるかどうかはかなり気持ちの面も大切だと思います。

そこで躓かないように、店の体幹をきっちり鍛えていかないといけない。そのためにどうしたらよいのかは、これは店が始まってみないと見えてこないことかもしれませんが、しっかり胸に留めておこうと思いました。


来週はこの「本屋Title」さんに行きたくて、実際に西荻窪〜荻窪の本屋さんぽをしてきた話を書こうと思っているので、ぜひともお楽しみに!


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