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第1章「おやすみ」

初めてながら書いてみました。

今年、高校受験がある木目です。

受験生が何しとるんやあと、思いますが

よかったら読んでみてください


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「もうこんな時間か」仕事が遅くなり私はため息をつきながら周りを見渡した。人一人いない。     聞こえるのは虫の鳴き声だけだ  。                     「コオロギかな?」そんなことを考えながら1人   家へと足を動かせた。
夏なのに少し肌寒い。あたりは少し明るく霧がかっているようにみえた。
ひとつの高い建物が私の目に映る。
私が住んでいるマンションだ                              

「やっとついた。」

このマンションは20階建てで私は7階に住宅している。
疲れていたからだろうか、凄く長い時間を歩いていた気がする
硬いドアを押して入った。                                     たてつけがわるくなっている。                           「このマンションも古いからなぁ」そんなことを思いながらエレベーターがある方をみると張り紙がはってあった。         

                                                                            〔このエレベーターは故障しております〕     

  わたしは2度目のため息をついた。
こうなれば階段でのぼるしかない。
こんな日まで私は運がない
1階、2階と上がっていく。ヒールで階段を昇るのはきつい。                                                                    けれどこのマンションとも今日でおわかれだ。
仕事をして、仕事をして、やっとの思いで購入したマンション。おもえばわたしはいつも仕事しかしていなかった。「最後まで仕事か、」
私の人生に私はいなかった。
いつも、いつも自分をおしころしていた


 生きていない、ただしんでいないだけ

でも今日やっと解放される


そう考えると重かった足どりが羽がついたように軽く、まるで天国への階段をのぼっているようだった
1歩ずつ1歩ずつ登っていくと屋上へと辿り着いた
そこには広々とした光景が映し出された
朝の日の出が出ている。                                        霧がかかった日の出は凄く幻想的で不思議な光景だった。
人はこの光景を綺麗というのだろう。
だが私にはそれはいみのないものだ。
この世界は表面だけ。中身はからっぽだ。
そのことをわたしはしっている。


足元がおぼついている。まるで地震が来たように、いや違う揺れているのは私の方だ。
さっきまではすごく軽かった足が今は重りでもついているかのようだった。

『恐怖心』

私はフェンス越しの光景を目に焼き付け、決心をつけた
フェンスを乗り越えヒールを片方ずつ脱いでいく
ヒールを脱いだ途端すごく足が軽くなった。私にとってヒールは仕事に行くためのものだったからだろうか、
すごく開放された気分だ。
ヒールを揃え、私は空へと近づいて行く
遺書は書かない。かいてもいみがない。

遺書と聞いて私がやろうとしていることはお気づきだろう。


1歩ずつ、一歩ずつ、ちかずき、端までついたら足を止め、うえをみあげた。
もうわたしの心には恐怖心はなく、あるのはただ
解放されるという喜びの気持ちだけだ。


私はここでやっと自分が『生きた』心地がした

すごく爽やかな気持ちだ。もう私の耳には鳥の囀りも、虫の鳴き声も、何も聞こえなかった。
頭は真っ白、空の青さもわからない、
ただ、ただただ真っ白だ


私は1歩踏み出した。


シュワシュワとサイダーのように頭がはじけた
強い風が私の体を通っていく。

ゆっくりとゆっくりと落ちていく。爽やかな風につつまれてまるでベットの中で寝転んでいるような感覚だ。
もうすぐ地面だ。

「ドンッ」

一瞬体全体にいきわたる強い痛みがあった。
その後はフワフワ浮いているような感覚だ
シュワシュワふわふわとゆっくりと私の心臓は止まった。

これが「死」か


意識はある。すごくねむい。
私は眠ることにした。


「おやすみ」
と誰かが言う声がしたが私は眠くて、眠くて、
ゆっくりと瞼をおとした。

続く


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