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その成果は素直に自慢してほしい - 作家の収支 - ReadLog

概要

タイトル:作家の収支
著者:森博嗣
ジャンル:エッセイ
備考:2015年頃に書かれた本なので、今の作家事情とは違うかも?

ここは本の紹介と記録を目的としたマガジンです。
時間がない人や面白い本を探している人向けです。
本の一部を引用しながら、少しでも興味を持ってもらうことを目指してます。

その成果はむしろ自慢してほしい

さて、蛇足ではあるが、自慢という行為についてここで言及しておきたい。
(中略)
僕は、自分で成し遂げたことを情報として正直に伝えることは自慢だとは認識していない。

pp.8~9 まえがき 自慢とは何か?

この本は、「すべてがFになる」の作者である森博嗣が、自身の収入と支出についてあけすけに書いた本です。

なお断っておきますが、私自身は森博嗣作品を読んだことはないし、今のところ差し迫って読もうという気もあまりないです。ごめんなさい。
読む前のイメージは、めっちゃ本出してる人で、なんか名前が読みにくいなぁって思ってたぐらいです。


この本の面白いところは、かなり具体的な数字がズバズバ出てくるところです。

  • 原稿用紙1枚分の原稿は、4000~6000円になる

  • 長編1冊で200万~300万円の収入になる

  • 1時間で6000字は書ける

  • 印税は、書下ろしなら本の価格の12%、そうでなければ10%

  • 「すべてがFになる」で6000万円以上稼いだ

    • だいたい60時間ぐらいで書き上げたので、時給は100万円だ

    • 連続ドラマの影響で+10%売れた、これは視聴率の値に近い

とまあこんな調子に。
(かなり紹介したが、こんな話がまだまだ出てくるので安心してね)

このnoteで私が文章をいくら打ったところで金にはなりません。
せいぜい(私が)寝不足になってコーヒーが美味しくなるぐらいで、たまに"スキ"がついたらちょっと嬉しくなる程度です。

ここでまえがきのフリが効いてきます。
もう、自慢してくれよ!!!すごいことなんだから!!!


とまらない呟き

サイン会は、出版社の広報部(営業)と書店が企画するものだが、いったい誰が得をするのかよくわからないイベントである。

p.101 第2章 その他の雑所得

サイン会についての一言です。
別の場所で「(出した本について)読者に対してはさほど責任を感じない」と述べているなど、読み手のことはあまり考えていない物言いをしている。読者に対する関心はとことん薄い感じである。(ファンクラブに対しては厚意があるのが救い)

森さん自身は特に小説を読んでこなかったそうなので、その感覚はむしろ妥当なんでしょう。読者なんて本を買ってくれる赤の他人か…

ここまでぶっちゃけられると、正直者というか腹黒いというか、なんか人間として不安にもなってきます。


そして終わり

最後のほうまで読み進めて、この森博嗣という変わった小説家が面白くて仕方なくなってきたころ、小説を書くことについての私見がついに述べられる。

どのようなスタンスで文章を書くか、それ以上にどう創作するかを語るその言葉は、私にとって無視できないものでした。
それを引用するのは罪悪感があるので、気になった方は読んでみてください。


とりあえず私は創作を続けたくなりました。少なくとも、いまのところは。


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