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第25回毎日俳句大賞読者賞

今更、かもしれませんが毎日俳句大賞に新設された読者賞に投票した結果と鑑賞文が掲載されてました。
私は以下の三句に投票。鑑賞文も載せておきます。

セーターを抜けて八十路の息を継ぐ 椋本望生
「抜けて」がよい。八十路の「路」があることでまるでセーターから首を出すのに八十年掛かったかのようなおかしみと、それまでの人生の歩みを想はされる。いや、年を取ればそれまで当り前のように難なくできていた事が覚束なくなるのは当然であろう。タートルネック、とっくりのセーターなどなら尚更だ。「息を継ぐ」という多少大げさにも思える措辞にセーターを着たぞ、着てやったぞ、という充実、高揚を感じる。きっとお気に入りのセーターなのだろう。

月青く沈めて柱状節理かな 野村生子

月の青い光が照らす柱状節理。美しい光景である。月は高い位置にある方が青く見えるので、この「沈めて」は逆説的に、青く見えたことから火山灰で月が青く見える現象、火山灰に沈む、噴火当時の様を幻視したのかも知れない。或いは柱状節理を見て当時月を青く沈めた様子を思ったか。句末の「かな」からすると後者か。

星流る生きとし生けるもの変異 鷲津誠次

一読読み飛ばしそうになる「生きとし生けるもの」というありふれた措辞の後に置かれてある「変異」に目を瞠った。なるほど、ではあるけれど「生きとし生けるもの」同様ありふれた、至極普通に存在している変異たち。作者も読者である私たちもそうなのである。また、名もなき流星も地球もまたひとつの変異であろう。自分とは違う者たちへの眼差しのあり方に共感する。

二句目、月青くの句は夏井いつきさんと選が被りましたね(だからといって)

他の句、鑑賞文も宜しければ。

それから大賞含む結果はコチラ。

その中では私は以下三句がよかったです。

こどもの部最優秀賞
片耳に音楽ともす夏の夜 清水谷愛花

こどもの部優秀賞
ブランコがうまくなるのも春でした 田所そうし


ハリボテの学校見える夏休み 日高こはる

皆さんお疲れさまでした。
愉しませて頂きありがとうございました。

目八拝

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