見出し画像

せんとうとまちと木賃文化・公開ミーティング~銭湯のあるまちのこれからを考える~ 企画レポート

上池袋のお隣、滝野川の稲荷湯長屋で活動する「一般社団せんとうとまち」。そして、私たち上池袋で木賃アパートを起点に活動する「かみいけ木賃文化ネットワーク」。この二つのチームで、これから銭湯のあるまちの未来と暮らしの可能性を一緒に考えたいね、何か作戦会議ができないだろうか、ということで公開ミーティングを開催しました。
そのレポートです。

日時:2024年5月25日 場所:稲荷湯長屋
主催:一般社団法人せんとうとまち&かみいけ木賃文化ネットワーク
内容:「せんとうとまち」滝野川稲荷湯とまちのこと
   「かみいけ木賃文化ネットワーク」木賃アパート山田荘とその暮らし
   みんなでディスカッション


せんとうとまちからは、栗生はるかさん、サム・ホールデンさん、福井あやかさんが参加。かみいけ木賃文化ネットワークからは、山本、山田、立脇あゆみさん、橋本誠さん、安田恵輔さんが参加。
そしてご一緒いただいたのは、上池袋や板橋のご近所さんや、銭湯大好き!な皆さん。総勢15名ほどで、あーだこーだ井戸端会議的な時間を過ごしました。

■せんとうとまちについて

せんとうとまち、代表の栗生さん

もともと、代表の栗生さんは、「文京建築会ユース」のチームで、建築物としても価値ある都内の銭湯調査などを行っていました。銭湯がなくなった後のまちの変化の著しさに危機感を覚えたことから、保全活用の取り組みに着手。滝野川稲荷湯の文化財化や隣接する長屋の再生をきっかけに2020年に法人化しました。建物の保存のみならず、建物のつくり手の技や、銭湯のあるまちの生活文化を含めて大切する、そんなコンセプトを持ちながらプロジェクトを進めています。

◎滝野川稲荷湯
https://www.1010.or.jp/map/item/item-cnt-560
投稿の下書きを編集和5年に建築されました。2019年には、都内二軒目の国の登録有形文化財に認定。周辺の建物と共に戦災を免れ、戦前から残る数少ない「東京型銭湯」。
せんとうとまちでは、国の登録有形文化財への申請のサポートを行い、2020年版『ワールド・モニュメント・ウォッチ』リストの選定にも尽力しました。

■かみいけ木賃文化ネットワークについて
上池袋にある木造賃貸(通称:もくちん)アパート・山田荘に端を発するプロジェクトです。風呂無し、トイレ共同の住まいは機能面でも色々”足りない!”。だからこそ、木賃アパートでの暮らしは、銭湯や食堂など、まちにあるものを上手く組み合わせて使ってきたし、まちもその生活に応えていたと思います。
そんな事を考えながら、「山田荘」「くすのき荘」「北村荘」という、3つの木賃拠点を軸に、何かしら“足りない”を抱えた人たちと愉しく活動しています。


互いの活動を紹介した後は、各プロジェクトについて深掘り。
その中から、いくつか面白いキーワードが出てきたので紹介します。

■心の公衆衛生
銭湯は、元来、公衆衛生を目的としているけれど、今それはある程度クリアできている。なんでわざわざ銭湯に行くかと言ったら、心を洗う、心の公衆衛生を保ちに行っているという人も。

■目的ではなく中心を据える
目的や用途が決まっているところはあまり面白くない。そこには井戸端会議とか、ゆとりは生まれないし、クリエイティブな感じはしない。でも、人が集うには、フックみたいなものが必要ではないか。
誰もがイメージできるものを中心に置くことで、入りやすさ、集まりやすさが生まれるのでは? その観点からも銭湯は分かりやすい。他にも好きなものやコトが中心に置かれても良いかも。

■無駄や足りなさを肯定する
今や自宅にお風呂がついているのは当たり前、木賃アパートも、わざわざ不便を感じながら住まなくてもよい。効率的な暮らしとは真逆をいっている。つまりどっちも無駄と言えば無駄かもしれない。銭湯は、だから、無くなったとしても、大してまちは変わらない。けれど人とまちとの接点が減り、物語が無くなり、ボディーブローのように、何かが変わってくる。。。

もしかしたら我々は、そんな危機感みたいなものを察知して!?わざと無駄を作っているのでは?という話に展開しました。
(因みに、サムさんは、わざと自宅の冷蔵庫を小さくして、まちに繰り出しているそう。)


そんなこんな、共感できるキーワードが見つかってきたところでタイムアップ。
今後は、それを見える形にすべく、度々ミーティングをして長屋と木賃の行き来を増やして行こう!という事になりました。

最後に参加者の皆さんに銭湯券を配って解散しました。

無駄を愉しみ、なんとなく居られて、心も洗える。そんな場所や空間をいかに日常に潜ませるか。。。無駄にまちを歩きながら、これからも考え続けたいと思います。
(かみいけ木賃文化ネットワーク 山田絵美)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?