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Pixel Watch2のウォレット機能が最悪だった話

2023年10月に発売したPixel Watch2ですが、Google謹製のスマートウォッチという事で、Googleウォレットが使える数少ない機種となります。その為、タッチ決済の為にPixel Watch2が欲しいと思っている方も少なからずいるのではないでしょうか。

ですが実際に触ってみると、Pixel Watch版(Wear OS版)のGoogleウォレットの出来が非常に悪く、そもそも初回設定すら出来ないという事態に見まわれました。

なので今回は、ウォレット機能を目的にPixel Watch2を買おうと思っている方に対する注意喚起として、この記事を書きたいと思います。

※記事中Pixel Watchという表記がありますが、今回検証を行ったのはPixel Watch2となります。ですが、ウォレットについては初代・2世代目も同じ挙動を取るはずなので、ここでは初代・2代目どちらも含めた内容だとご理解下さい。


1. Pixel Watchで使える電子マネーの種類が微妙

Pixel Watchの電子マネーはGoogleウォレットアプリを使って登録・利用を行います。Googleウォレットというと、スマホ本体で動くアプリもあり、そちらだとVISAタッチ決済やMasterCardタッチ決済、SuicaにQUICPay、iDだけでなく、nanacoやWAONなど、多数の電子マネーを登録する事が出来ます。

その為、スマートウォッチ版でも同様に使えるのではないかと勘違いしている方もいるかと思います。ですが、2023年12月現在、スマートウォッチ版のGoogleウォレットでは以下の電子マネーのみ対応しているようです。(リンク)

Google Pixel Watch ヘルプより

ここで注意が必要なのが、VISAタッチ決済とMasterCardタッチ決済です。一見すべてのカードに対応しているような書き方をしていますが、実際は対応していないカードもあるようです。

対応しているカードを確認するには、Googleウォレットのヘルプを見る必要があるのですが、そこへ辿り付くのが難しいくらい、奥まった所に書かれています。また、スマホ版とスマートウォッチ版が混在して表に書かれている為、パッと見て対応しているのかどうか分かりにくく、大変不親切な仕様となっています。ひとまず最新の詳細な表は下記リンクからご確認下さい。

サポートされているお支払い方法を確認する - 日本 - Googleウォレット ヘルプ

私がPixel Watchに登録したいクレジットは、三井住友銀行のOliveというクレジットカードです。最近CMをよくやっているので、名前くらいは聞いたことがあるとは思います。

このカードですが、スマホ版のGoogle Payでは、iDとVISAタッチのどちらも登録する事が出来ます。ですが、Google PayやApple Payに登録したVISAタッチで決済を行うと、付与されるポイントがたくさん増えるというキャンペーンをやっているので、VISAタッチの方だけを登録して使っています。ですが、リンク先の表の通り、スマートウォッチ版では何故かiDしか登録出来ず、VISAタッチの登録が出来ません。

同じく、ポイ活でよく名前の挙がるANA PayやLINE Payカードについては、なんとVISAタッチもiDも追加が出来ません。ポイ活潰しなのかもしれませんが、需要の高そうなところが対応していないというのは、非常によろしくありません。

因みにこの表には書かれていませんが、ドコモが発行するdカードでiDを発行しようと思いましたが、こちらもPixel Watchへ登録出来ませんでした。いろいろしがらみがあるのだとは思いますが、何とも残念な仕組みです。

Googleウォレットヘルプより一部を抜粋。
ポイ活で有名な3カードが、軒並み対象外となっている。

このように、スマートウォッチ版で一部制限を掛けており、この時点で利用価値は大きく下がります。今後のアップデートに期待したいですが、お金の絡む話なので、正直あまり期待はしていません。

2. 仕方がないのでリクルートカード(JCB)を登録するも

という訳で、この表で使えると書いてあったJCBのカードである、リクルートカードを泣く泣く登録してみる事にしました。

カード登録の画面から順番に登録していくと、あっさり登録が完了。ただ私の場合は、カードが登録された後に有効化して欲しいというメッセージが書かれており、有効化には電話認証が必要という事で、操作をいくつか行いました。

このように、場合によってはカード会社による電話認証が入ったり、パスワードを入れたりみたいな作業が入りますが、エラーで止まるような事はありませんでした。

さあ、登録出来たので実際に使ってみよう!とリュウズをダブルクリックしてQUICPayを呼び出してみると・・・

何故かそこには『無効』の文字と色の薄くなったカードの絵が。カードをタップすると『支払うにはカードを有効にしてください』とも書かれていました。

Pixel Watch2のウォレットアプリを開くと、
何故かカードが無効になっている。写真だと分からないが、
カード面がうっすらグレーアウトして表示される

何かの拍子で戻ってしまったのかな?と思って有効にするというボタンを押すと、無事元に戻りました。

ところが、画面を閉じて同じ画面に行くと、また『無効』の文字が復活していました。

???

実験した上での結論ですが、この2回目以降の無効は無視しても良さそうです。この表示のまま、自販機とコンビニ決済を試してみましたが、どちらも問題なく利用する事が出来ました。もしかすると表示のバグかもしれませんが、あまり気持ちの良くないバグです。

因みに、リュウズをダブルクリックすると、スマートウォッチ側のGoogleウォレットを呼び出すことが出来るのですが、パターンかパスコードによる認証が求められます。正直面倒ですが、これはApple Watchも同じなので、仕方がないのかなと思います。

そもそも、Googleのヘルプページによると、特にカードを選択しなくても決済は出来るようなので、ログインの必要もないのかもしれませんが、複数カードを登録する場合は、事故防止の為に、自分で選びたいですよね。この部分の使い勝手は正直残念かもしれません。

3. Suicaの登録が最悪

タッチ決済といったらSuicaと言っても過言ではないくらい、日本では歴史と実績のあるSuicaですが、Pixel WatchではSuicaにも対応しています。スマートウォッチを買うにあたり、Suicaを使う事を目的としている方も少なくないと思います。

ですが、このSuicaの登録が鬼門中の鬼門。恐らく登録出来ずに挫折する人が多数出るのでは?というくらい、トラブルの起こりやすいカードです。ネット上のレビューでも、失敗している人がたくさんいました。

Watchアプリの設定項目にある『Google』から『Googleウォレット』に行くと、ウォレットに追加するカードを選択する画面に行きますが、『Suica』の項目を選ぶと、プライバシーポリシーの承認を求められ、その後このような画面に飛びます。この間、何故か『処理しています…』の画面がずっとグルグルしており、この時点で動いているか心配になりますが、しばらく待っていると次の画面にちゃんと遷移します。

Suicaを選ぶと、新規登録かデータ移行かを訊いてくる

選択画面では、『新しいカードを追加する』か『既存のカードを使う』か質問をされますが、既存のカードはモバイルSuicaなどおサイフケータイだけが想定されており、カードタイプのSuicaを移行させる事は出来ません。 (Apple Payはそれが出来るので、残念なポイントですね)
私はスマホのSuicaを残しておきたかったので、『新しいカードを追加する』を選択しました。

するとSuicaにチャージという画面が出てきて、チャージに使うクレジットカードとチャージ金額を訊かれます。カードはGoogle Payに登録してあるクレジットカードが候補として出てくるようですが、新規に追加も可能です。

で、クレジットカードを選択して、とりあえず1000円を選んでチャージするを押すと、スマートウォッチに1000円がチャージされる・・・はずなのですが、こんな警告が出てきました。

カードを選んで1000円をチャージするも、エラーで先に進めない

『セキュリティ保護のため、この取引を完了できません』

このエラーをネットで調べてみると数日待てば大丈夫であるとか、現金チャージは出来るとか書いてあったりしますが、このクレジットカードは以前から登録してある物なので、クレジットカードの認証問題ではない気がします。分かりませんが・・・。

では、とりあえずエラーに従い、現金チャージすればいいのでは?と思うかもしれませんが、この画面、Suicaの発行を行う為のページなので、もちろんまだSuicaが発行されていません。その為、駅でチャージ機にかざしても、Suicaとして認識すらされません。つまり現金チャージも不可能なのです。

さて困ったという事で、改めてネットの海をさまよっていると、ケータイWatchさんでこんな記事を見つけました。

[グーグル「Pixel Watch」の決済機能を徹底的に試してみる(中)] 【Suica編】 - ケータイ Watch (impress.co.jp)

どうも、既にモバイルSuicaを使っている人だと、新規登録がうまく行かないようです。その対策として、スマホのモバイルSuicaアプリで新たにカードを発行して、それを移行処理するという方法がある(記事曰く、その後もいろいろトラブるようですが・・・)との事なので、とりあえず試してみることに。

モバイルSuicaアプリから新規Suica発行をタップ

新規Suica発行を押し、先に進んでみると、クレジットカードの登録が必須らしく、とりあえず今使っているカードを選択し、1000円でチャージを試してみました。すると・・・

モバイルSuicaに登録済のクレカが表示されているが、新規登録も可能

なぜ!?1000円なのになぜ!?

チャージを実行すると謎のエラーが。
登録しないと処理が中止されるので、
登録する以外の選択肢がない

『指定金額を引き下げて再度操作をしてください ~ (2321) (MNAKAENE00068)』云々。

このエラーの内容を見ると、謎の上限設定に引っかかっており、チャージが出来ないようです。昨日何度かトライしたのはWatch版だったので、そのせいで不正アクセスと勘違いされているとは思えないのですが、実質的にはロックされている状態のようです。

因みにこのクレカのSuicaチャージ上限に行ってしまったのかと思って、メインのモバイルSuicaにチャージをしてみたら、問題なくチャージ出来ました。なので、完全に新規登録絡みのエラーのようです。

これはどちらかというとモバイルSuica側の作りが悪いのだと思いますが、こんなややこしい仕組みだと、Suica使う気失せますよね。カード型の方がよっぽど使いやすい・・・。

エラーメッセージで検索をかけると、こんな回答が。
対処法を書いて欲しいのに・・・。

という訳で現状、Pixel WatchにSuicaを登録するに至っていません。今週来週と状況を注視したいと思いますが、ダメだった場合は、モバイルSuicaのサポートに連絡するしかないかもしれません。うん、面倒くさい。

4. まとめ

以上、Pixel Watchでのクレジットカード登録とSuica登録の問題についてまとめました。

正直、ユーザ体験的には最悪であり、Pixel Watchを返品してやろうかと思うレベルでした。そういう意味ではApple Watchの方が、(こちらもクセはありますが) Suicaカードから登録が出来たりと汎用性が高く、使える電子マネーの種類もたくさんあるので、出来が良いと感じました。そういう所だぞ?Google。 (本気でAndroidでApple PayとApple Watch使える様にならないかなぁ・・・)

という状況ですので、電子マネーを目的としてPixel Watchシリーズを買うのは、2023年12月現在、時期尚早かもしれません。因みにGalaxy Watchも同じくWear OSなので、問題は同じなのではないかと思います。

なので、スマートウォッチで電子マネーを使いたい方は、迷わずiPhoneとApple Watchを買いましょう!

という身も蓋もない結論となりますが、本心ですので、Pixel Watchをお買い求めの方は、今一度冷静になって、最新状況をよく調べてから購入する事をオススメします。

2024/01/13追記
文字通り苦難の末、Suica登録が出来たので記事にまとめました。よろしければこちらもどうぞ。

苦難の末Pixel Watch2のSuica登録が出来たのでそのまとめ|もくくも (note.com)


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