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J:COMのネットは遅い・・・とは限らない

「J:COMのネットは遅い」なんて話をネットでよく見ます。かくいう私もその言葉を60%くらいは信じており、前の前にJ:COM導入物件に住んでいた際は、フレッツ光(マンションタイプ)を引いていました。その次の物件はインターネット未導入の物件だったので、同じくフレッツ光(ホームタイプ)を引いて使っていました。

そして今回、新たに引っ越した物件はJ:COM導入物件かつ無料回線付きの物件でした。本当は(ネット契約の関係もあり)フレッツ光を継続しようと思っていたのですが、NTTとプロバイダからのイジメ(と感じるような事態)に遭い工事が出来なかった為、泣く泣くJ:COMを契約しました。

ですが、実際に使って4ヶ月ほど経ちましたが、思っていたほど悪くはないぞ?という事が分かってきたので、今回はJ:COMの回線速度についてお話したいと思います。(というかJCOMって、J:COMって書くんですね 笑)


1. そもそも何故J:COMは遅いと言われるのか(私見)

識者の方に笑われてしまうかもしれませんが、私なりの見解を書きたいと思いますので、鵜呑みにはしないで下さい。

正式なサービス名はJ:COM NETと言いますが、ご存じの通りJ:COMという会社はケーブルテレビの会社です。その為ケーブルを通してテレビの電波を各家庭に届けている訳ですが、そのケーブルを使ってインターネットの通信も一緒に流してしまおう、というのがJ:COM NETというサービスです。

今は昔、ADSLという一般電話回線を使ったブロードバンド契約(これも死語?)が主流だった時代、JCOMは12Mコースや40Mコースを提供しており、だいたい1Mbps~50Mbpsと速度に幅のあったADSL回線と比べると、比較的安定した速さを誇っていました。

ところがその少し後にフレッツ光が誕生すると、NTTが力を入れた事もあり爆発的に広がり、ネットの速度は100Mbpsが当たり前になりました。NTT関連のネット回線が急速にフレッツ光に置き換わる中、一方のJ:COMはこれまでの設備をアップデートするのに出遅れてしまいました。

電線網の更新もそうですが、恐らく各物件の設備をアップデート出来なかったからではないでしょうか。当時はまだスマホもNetflixのような動画配信サービスもなかった時代。部屋にテレビは必要でも、ネットは要らないという家庭はたくさんあったでしょう。そんな中、テレビがまだまだ観られる設備を、わざわざお金を払ってまで更新する大家さんが少なかったのかもしれません。

時は流れ、2023年現在。多くの物件は120Mコースがスタートになっているようですが、昔からの契約を続けている人は、40Mコースのままという事もあるようです。という事は、スマホの4G回線が実測で40Mbpsを超えるようなこの時代に、ベストエフォートで40Mbps(実質数Mbps程度)の契約が存在したと言う事です。ネットに詳しくない人が、そんなアパートでスマホやテレビでNetflixやYouTubeを観たら思うでしょう。「何かネット遅いな」と思われるのは仕方がないかもしれません。まあ単なる妄想ですが。

2. とりあえず契約した無料プラン(120Mコース)

という訳で話は変わり、自宅の契約のお話です。

引っ越し当初はフレッツ光を契約する気満々だったのですが、この物件にフレッツ光の契約実績がまったくなかった為、ひとまずは急ぎ、繋ぎとしてJ:COMを契約しました。というのも、120Mコースであれば無料で使えるという触れ込みだったので、タダなら良いかという感じでお願いしました。

そこから4ヶ月、NTTが工事をしてくれなかったため120Mコースで過ごしていましたが、正直、大きく気になるほどの不都合はありませんでした。

私は日常的にAbema TVやYouTube、dアニメなどを観るほか、ネットに繋がる端末が10以上あり(過去記事参照)、時々テレワークもあります。NASのバックアップ先はOneDrive for Businessを使っているので、毎日数10MB~GB単位のアップロードも発生します。ですが、大きなストレスになるような事はほとんどありませんでした。

というのも、下に示す通り、スピードテストを掛けてもダウンロードが110Mbpsと、ほぼ契約値MAXの通信速度を叩き出していました。個人的にFast.comは信用していない(IPv6通信優先でスピードが高めに出ているのではないかと邪推)ので、Googleの速度テストも実施。ところがこちらの方が1.6Mbpsも速いという信じられない結果に。もしかするとリミッタが掛かっているだけで、ポテンシャルはもっとあるのかもしれません。このようにスピードテストの結果は充分過ぎるものでした。

夜23時頃の通信。Fast.comなので速度は
高めに出ていると考えても、充分速い。
ほぼ同時刻のGoogle速度テスト。
なんとFast.com並に速い。

強いて問題点を挙げるのであれば、アップロードが10Mbpsを下回っている事でしょうか。さすがにこれは遅いと言わざるを得ず、クラウドへのアップロードやWeb会議でカメラを多用する方は、少し辛いかもしれません。

また、動画配信をずっと観ていると、読み込み状態(いわゆるグルってる)が数秒続く事があったり、YouTubeの画質が720pから途中で勝手に下がったりするケースはたまにあるので、速度が低下するケースはままあるようです。

ですが、無料でここまで平均して高い性能を出してくれるのであれば、一般ユーザには充分過ぎるのではないでしょうか。

3. 思っていたのと違う有料プラン(1Gコース)

という訳で、これでめでたしめでたし。と終われば良かったのですが、NTTとゴタゴタありフレッツ光を引く事が出来なくなってしまったので、さすがに120Mコースでは心許ないと、先月から1Gコースへ変更を行いました。

ここで「あれ?うちは320Mコースしか契約出来ないよ?」と思うJ:COMユーザの方がたくさんいるかもしれません。と言うのも1Gコースは比較的新しいプランらしく320Mコースまでしか契約出来ない物件も数多くあるようです。恐らく冒頭で書いた、設備の問題だと思います。正直私も今回の物件に入るまで1Gコースがある事を知りませんでした。因みにまだまだ限定的ではありますが、都市部では5Gコースと10Gコースも出始めているようです。J:COMも頑張っているんですね。

因みに、先ほどまで賞賛しておきながら何故乗り換えたのかについてですが、やはり動画配信が時々止まるのと、YouTubeの画質低下は気になってしまいました。これはヘビーユーザであればある程、気になるかもしれませんね。

それからアップロードが遅いのも、個人的には辛いです。クラウドを多用しているので、たかが数ファイルアップロードするのに時間が掛かるのは、時間が勿体ない気がしてしまいます。

そして何より、やっぱり速い速度に憧れるというのが一番あります。数100MBのファイルが一瞬で落ちてくるのってカッコよくないですか!?

・・・とまあ、これはただのスピードマニアの視点なので無視してもらうとして、やはりアップロードについては、クラウドを多用するテレワークユーザには影響大ですので、そのあたりの違いをきちんとお伝えしておいて方が良いでしょう。

という訳で、スピードテストの結果はこちら。

21時頃のFast.comの速度。
ヘタするとフレッツよりも速いかも。
ほぼ同時刻のGoogle速度テスト。
さすがにFast.comよりは遅いですが、充分速いです。
アップロードは90Mbps前後が上限のようです。


はっえーー!!


正直ビックリしました。フレッツ光の時よりも、しかもホーム契約の時よりも速いので、正直信じられません。

J:COM公式にも書いてあるとおり、やはりアップロードはダウンロードよりは低くなってしまいますが、それでも90Mbps程度出ていますので、これならば充分過ぎるスピードです。このアパートが比較的新しいからかもしれませんが、これだけ速ければフレッツよりもJ:COMの方がオススメかもしれません。もちろん1G対応物件の場合は、ですが。

4. J:COMの罠

J:COM最高!以上、解散!

と終われば良かったのですが、やはりここで終わらないのがJ:COMです。最後に、J:COMにすると困る事に触れてから終わろうと思います。

まず始めに断っておくと、99%のユーザには何も影響しません!3章まで読んで、良い気持ちのままお帰り下さい(笑)

では、誰に影響するのか。

私みたいなマニアの方々です。具体的には出先から自宅に外部アクセスしたい変態の皆さまです(笑) マニアの方であれば噂は耳にした事あると思います。J:COMは外部アクセスが出来ないと。

結論を言うと、その通りです。ですが、今現在この話には2つの出来ない理由がある事が分かりました。

まず1つ目は従来から上がっている、J:COMのネットワーク構成に因るものです。

J:COMがいわゆるNAT越えのような事を必要とするネットワーク構成になっている為インターネットからのアクセスが自宅のルータまで届かないというのが、理由のようです。

実際、DDNSのアドレスを使ってスマホからNASへのアクセスを試してみたのですが、ルータにパケットが届いていませんでした。そもそもDDNSで取れているグローバルアドレスとJ:COMルータに表示されているWANポート側のアドレスがまったく別のものとなっているので、恐らく上記の仮説は正しいのだと思います。

続いてもう一つの理由。これは最近のユーザ限定なのですが、J:COMの最新ルータはポート開放が出来ない場合がある、です。

最近のJ:COMは、高速コース契約者向けに高機能ルータの配布を行って要るようですが、このルータが曲者です。つい最近まで使われていたKAON製KCM3100という機種は、ブラウザからの設定画面にポート転送(ポートフォワーディング)やDMZ設定が存在していたようです。ところが最新のKCM3101(この1つ違いが重要!!)では、その設定がキレイさっぱりなくなっています。より正確には、ブラウザで設定出来る項目はほとんどないに等しいです!

KCM3101のコンフィグ画面。
ビックリするほどシンプルなUI。
因みにコンフィグレーションには再起動くらいしかないです。

実は、スマホアプリでポート開放自体は出来るようです。メッシュWi-Fiというアプリなのですが、クライアントのMACアドレスを指定した上でIPアドレスを固定すれば、本当はポート開放が出来るようです。ですが実際は下の図のように、ポート割り当ての追加というボタンが非活性になっていて押す事が出来ません。

調べたところ1件だけ詳しいサイトが見つかりました。(『KCM3101 HGJ310V4 JCOMメッシュWi-Fiルーターの特徴と「100.69.~」割当でポート開放できない件について』)拝見したところ、どうもシェアードアドレス(=J:COMのプライベートアドレスみたいなもの?)をルータが取得している場合、このルータではポート開放が出来なくなってしまうようです。つまり、先に述べた1つ目の罠がここでも悪さをするようです。(では、シェアードアドレスを持っていてもKCM3100まら開放出来るか?については調べ切れませんでした)

なお、これの対処法は、シェアードアドレスじゃなくなるまで、WAN側アドレスを再発行してもらう(ルータの電源を抜いて30分以上待つを繰り返す)以外に方法はないようです。

J:COMのメッシュWi-Fiというアプリ。
ポート割り当ての追加ボタンが非活性になっていて押せない。

いずれにせよ、私の様にNASやサーバ公開を目論んでいる方には、J:COMは絶対オススメしません!(※一般の方に誤解のないように書くと、自宅から会社へのVPNは問題なく繋がります。外出先から自宅へのVPNが繋がらないというお話です)

因みに例外中の例外。回避策を2つだけ書くと、VPNに関してはTailscaleというサービスであれば、繋がりました。恐らくUPnPをうまく使っているのだと思います。怖いほど簡単にNAT越え出来ます。注意点はE2Eの通信なので、LANへのトンネルが出来ません。また、すべてのデバイスで、定期的な認証情報の更新が必要なので、忘れるとアクセス出来ません。先月やらかしました。

そしてNASについては、Synologyユーザであれば、QuickConnectの"http://quickconnect.to/"から始まるアドレスであれば、NASに繋がります。DDNSでは繋がりませんでしたが、こちらではうまく繋がりました。これもTailscaleと同じような理由でしょう。ただし、WEB画面のログインを有効にしておく必要があるので、注意です。

5. まとめ

長くなりましたが、J:COMに関するこの手の情報が驚くほど少ないので、じっくりまとめてみました。

内容をまとめると、以下の通りです。

  1. J:COM NETは遅いとは限らない。

  2. 無料の120Mコースでも普段使いには充分速い。ただしアップロード速度には注意。

  3. 最近の物件であれば、1Gコースを契約出来るかもしれない。1Gコースはフレッツ光よりも速い。

  4. サーバ公開・NAS公開・ポート開放は絶望的なので、J:COMはやめておこう。ただし、Tailscaleなど特殊な方法のみ例外的に繋がる。

自分の持っている知識が如何に古いかを痛感させられるのと同時に、技術の進歩、インフラの進歩はどんどん加速しているのだと気付かされました。

この内容も2年後には古新聞になっているかもしれませんが、少しでも今まさにネット契約に悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。


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