無題

100年実り続けるコーヒーノキ

GWも後半に差し掛かってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
来週の火曜日から学校も仕事も再開!…となると、ちょっと憂鬱なような。
世の中には「五月病」という言葉がある通り、GWのお休みからのリカバリーはなかなか大変ですよね。

今回からはそんな憂鬱な気分に活を入れてくれそうな、力あふれるコーヒー豆をいくつかご紹介したいと思います。

さて、今回ご紹介するのは…

「百年樹」と呼ばれる、古木から収穫できる希少なコーヒー豆です…。

1、百年樹とは

その名の通り、樹齢100年を超えるコーヒーノキの古木のこと。
コーヒーノキの寿命(農業的な)は、長くて30年程度と言われています。
それを超えると収量が落ちてくるため、一般的には切り倒して木を更新するのです。

逆に言えば、生物としてのコーヒーノキの寿命は30年よりはるかに長いことになります。
多くの木は更新時に切り倒されたり、自然災害で倒れたり、あるいは「コーヒーさび病」で枯れ果ててしまいました。
しかし、ごく一部の木は、数々の自然災害や病害(さび病など)も乗り越え、農園による丁寧な管理のもと、今なお生き続けています。それが「百年樹」なのです。

古木であることから、その収量は若木に比べれば少なく、出荷はごく限られた少量です。

2、今、手に入る百年樹は?

現在、国内で購入することができる百年樹は2種類あるようです。
私が普段飲んでいるのはブラジル最古の歴史を誇る「セルトン農園」のもの。

こちらが、セルトン農園の紹介動画。かなりの高地に農園があることがわかりますね。
ちなみに、動画に登場する女性はこの農園のオーナー、ナザレス・ディアス・ペレイラ女史。
ブラジルを代表するコーヒー農園、「セルトン・グループ」創始者、イシードロ・ペレイラ氏の妻で、ブラジルコーヒー界のゴッドマザー的な方です。

そして、グループ名を見てピンときた方もいらっしゃるかも。
この「セルトン農園」は、セルトングループ発祥の地です。

ブラジル有数のコーヒー産地であるミナスジェライス州

南東部カルモ・デ・ミナス。
この地で最初にコーヒーの栽培を始めたのがセルトン農園。
そしてそれは、およそ100年前のお話でした。

つまりこの百年樹、ブラジルのコーヒー栽培の歴史そのものなのです。

このセルトン農園、日本風に言えば「ホワイト企業」としても名高く、「サスティナビリティ(持続可能性)重視」の経営を展開しています。
例えば…

・水源の保全(森林保全も含む)活動
・水のリサイクル使用、排水の浄化
・従業員の雇用の安定化や福利厚生の充実

などに非常に力を入れていて、百年樹のような古木が実をつけられる環境を維持するだけではなく、従業員のモチベーションも非常に高く保たれ、高度な栽培技術の安定した継承にもつながっています。

ちなみに、トップ画像の「百年寿」は、2018年出荷の際のデザイン。
漢字デザイン、しかも「寿」とは何とも素敵です。


そして、もう一つが同じくブラジル最古の歴史を誇る「サンタアリーナ農園」のもの。

すみません、実は私はもっぱらセルトン農園のものを飲んでいるのですが、こちらはカルディコーヒーファームさん

など、大手でも販売されているので比較的入手しやすいようですね。
値段は100gあたり750円とややお高め。

ちなみに、サンタアリーナ農園の注目すべき取り組みは「ネイバーズプロジェクト」
生産設備が貧弱な近隣農家のコーヒーチェリーを自社設備に受け入れ、生産処理のサポートを行うことにしました。
それにより豆の品質を向上させ、中小農家の収入増と生産の持続につなげようというプロジェクトです。
こちらも素晴らしい取り組みだと思います。


3、さて、そのお味は?

勿論焙煎度や淹れ方にもよりますが、やや浅煎り・ペーパードリップで見られる特徴は

・古木ならではのほのかなオールド感(丸く深い甘み)
・ブラッドオレンジのような芳醇な酸味
・後に残る心地よいビター感

ブラジルの一般的な特徴にもみられる非常にバランスが良い味わいなのですが、エイジング(豆を長期間寝かせ(熟成させる)こと)をしていないのに、オールドのような深みがあるのは面白いです。
全体として、爽やかで丸い味わい。甘み・柑橘のような酸味が勝ります。
気持ち、いつもよりゆっくり目にドリップすると、豊潤さをより味わうことができると思います。


というわけで、今回は百年樹について紹介させていただきました。
また折を見て、その他の豆も紹介させていただきたいと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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