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虹と七色と音楽と

すみません、ここしばらく体が本調子ではなく、記事を書くのに時間がかかっています💦

7月16日は「虹の日」
これは、虹が七色とされていることから、7(なな)1(い)6(ろ)で虹の日とされたそうです。

1、虹とはそもそも何か?

虹を自然現象として見ると…

光が大気中に浮遊する水滴の中を通過する際に屈折・反射することで様々な色が見られる現象。気象現象の中でも大気光学現象に含まれる。
虹は赤から紫までの光のスペクトルが並んだ円弧状の光である。一般には大気中の水滴がプリズムの役割をし、太陽の光が分解されて、複数色の帯に見える。
(Wikipediaより)

つまり、プリズムと同じ原理で、光が水滴の中を通過する際、それぞれの波長の屈折率の差でバラバラに分解されて見えるんですね。

詳しい原理はこちら

でも解説されていますので、ご参考に…。

電磁波の中には紫外線やX線のように私達には見えないものもありますが、いわゆる「可視光線(およそ400nm〜700nmの波長範囲)」は、私たちの目で見ることができます。
可視光線は、波長によって色が異なります。
およそ400nmが紫、そして藍→青→緑→黄→橙と変化し、およそ700nmで赤になります。
ちなみに、人間の目は555nm付近の光(緑色)を最も強く感るようにできています。

しかし、この光の変化は階層的にはっきり分かれているわけではなく、連続した変化です。
紫から青は区別がつきにくいこともあり、実際のところ虹は世界各地で見え方がバラバラ…。虹は文化的に「何色として認識するか」が問題で、文化が異なれば虹の色数は異なるのが実情です。

2、世界の虹の色数は?

世界各地の虹の色数を見てみると…

・8色:アル部族(アフリカ)
・7色:日本、オランダ、韓国
・6色:イギリス、アメリカ
・5色:ドイツ、フランス、メキシコ、中国
・4色:ロシア、東南アジア諸国
・3色:台湾のブヌン族、アフリカのショナ語族
・2色:沖縄、南アジアのバイガ族、アフリカのバサ語族

こう見ると、かなりバリエーション豊かですね。
もしかしたら、7色に並んでいる国名を見てピンときた方、いらっしゃるかも…。

3、日本の虹は、昔は…

実は、日本で虹の色の認識は、ずっと7色ではありませんでした。
古代の虹の色数は、中国と同じ5色。
こんな辺りにも中国文化とのつながりが見えますね。
そして、古代から近世(江戸時代)に至るまで、7色の虹というものは記録に登場しません。
ちなみに、琉球(沖縄)ではは2色(赤と黒、または赤と青)という認識でした。

4、では、7色の虹とは何なのか

現在、日本で認知されている「7色の虹」の概念を提唱したのは、万有引力の法則などで有名な科学者、アイザック・ニュートン

です。
彼の著書のひとつ、『光学(Optics)』に、虹が7色であるという記載があります。
これは、ニュートンが1660年代からおこなっていた光学研究の集大成として、1704年に刊行されたものです。

ニュートン以前、ヨーロッパでも虹は5色という認識が一般的でした。
しかし、ニュートンは、その5色に「藍」と「橙」を加えて7色としたのです。

ニュートンが7色としたのには、こんな事情がありました。
ニュートンが生きていた頃のヨーロッパでは、音楽や天文学は、神に通じる学問分野として権威を持っていました。
そして、ニュートン自身、自然科学者の一面と共に、神学者としての一面、さらに錬金術やオカルト研究にハマるなど、科学とは違う分野にも強い関心を持っていました。

そんなニュートンが虹と関連付けたのが、リュート

の音階(フレット)でした。
「レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ」と弾くと、その間には7つの階層が生まれます。
その階層に、虹の色「紫→(藍)→青→緑→黄→(橙)→赤」を当てはめたのです。
※足りない2色には、植物染料の藍、柑橘の色の橙を中間の色として加えました。
しかも、音階ではミとファの間、そしてシとドの間は半音で幅が狭いのですが、これが「藍」と「橙」の部分は虹の幅が狭い(く見える)というニュートンの観察結果とも一致。
ニュートンはこの説が正しいという確信を深めました。
そして、この説は当時のヨーロッパでは支持を集めました。

5、7色の虹が極東へ

7色の虹の概念が日本に伝わったのは江戸時代中期(1700年代)以降。
つまり、先述のニュートンの学説が、蘭学と共に日本にもたらされたと考えられます。
1700年代と言えば、8代将軍徳川吉宗

の治世。
吉宗は、徳川歴代将軍きっての「理系」の将軍でしたし、漢訳洋書の輸入解禁など、蘭学導入の先陣を切った人物でもありました。
7色の虹の概念がいつ伝わったのかは明確ではありませんが、吉宗の時代にもたらされた可能性も十分に考えられます。

そしてその後、日本は近代化・西洋化の道を歩む過程で、ヨーロッパから伝わった「虹は7色」という認識を学校教育にも導入。
日本では虹は7色という認識が一般的になったと言われています。

6、おまけ

おまけで、虹の色の順番の覚え方で一般的なものを挙げておきたいと思います。

①音読みをつなげて読む
これは7色を音読みにして覚える方法です。

赤 せき
橙 とう
黄 おう
緑 りょく
青 せき
藍 らん
紫 し

「せき・とう・おう・りょく・せき・らん・し」

何となく、「すい・きん・ちか・もく・どっ・てん・かい」などの、理系によるあるリズム的な覚え方に通じますね。

②訓読みの最初の文字だけつなげる

赤 あ
橙 お
黄 き
緑 み
青 あ
藍 い
紫 す
※「す」=すみれ色(紫)

「あ・お・き・み・あ・い・す」

これは、「なくようぐいす…」という日本史によくある暗記法に近い気がします。

③英語の頭文字をつなげる

赤 Red R
橙 Orange o
黄 Yellow y
緑 Green G
青 Blue B
藍 Indigo i
紫 Violet v

「R・O・Y・G・B・I・V(ロイ・ジー・ビヴ)」

英語が得意な人はこれでも良いかも…?


というわけで、今回は虹に関する色々を記事にしてみました。
タイムリーではなくてすみません…💦ご参考になれば幸いです!

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