見出し画像

「主食は牛肉の国」のこれから

今日のニュースは、AFPBBより、アルゼンチンの市場における慣習についてのお話。

アルゼンチンは世界有数の牛肉の生産国かつ輸出国で、「主食は牛肉」とも言われています。

そんなアルゼンチンの市場で日常的に見られる光景が様変わりするかもしれない、というお話です。

アルゼンチンは南米の大西洋岸に位置し、ラプラタ川の周辺には温帯草原の「パンパ(Pampas)」が広がっています。

アルゼンチンの農牧業を支える大草原地帯で、肥沃な土壌と温暖な気候に恵まれています。

年降水量500㎜を境に東部の湿潤パンパと、西部の乾燥パンパに分かれています。


その肥沃な土壌と人口の少なさから、この地域の農産物は世界中に輸出され、人口を支えてきました。
現在でもこの地域は世界の穀倉地帯として重要な役割を担っており、大豆やトウモロコシ、小麦の大産地であると同時に、牧牛が盛んです。

牛は湿潤な気候を好むため、主に湿潤パンパで飼育されています。
その飼料として有名なのが、中央アジア原産のアルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)という植物。

栄養価の高さで抜きんでており、土着のパンパグラスを置き換えて栽培されています。
ちなみにこの地域にはもともと牛や馬は存在しておらず、16世紀にスペイン人が家畜として導入したことが始まりです。
そして19世紀以降、ヨーロッパ移民の流入により牧畜業が栄えました。

さらに冷凍船の導入により、生肉を北半球に輸出できるようになったことが、牧畜の隆盛に拍車をかけました。
ちなみに、冷凍船は、1877年にアルゼンチンからフランス宛に冷凍肉の輸送に成功しています。
ただ、この輸送はトラブル続きで数か月もの日数を要し、機器の故障も重なったため経済的な成功とは言えませんでした。
経済的に初の成功と言えるのは、イギリス船Dunedin号で、1882年にニュージーランドからロンドンまでの航海に成功しています。

いずれにせよ、この成功により南半球の人口が希薄な地域から大量の食肉がヨーロッパに供給されるようになり、食糧事情の改善に貢献しました。
また、アルゼンチンは牛肉の消費も非常に多く、その消費量は記事中にある通り年間1人当たり48㎏。
これは日本の8倍ほどに当たり、「牛肉が主食」と言われる所以。
鳥や豚を合わせればその値は100㎏ほどにもなります(日本の3倍以上)。
アルゼンチンの食肉消費は非常に多いことがわかります。

ただ、消費量は地方ほど、年齢が上がるほど多くなる傾向があり、都市部の若者は昔ほど肉を食べなくなったと言われています。
実際、一人当たり食肉消費量はウルグアイなどに抜かれつつあり、徐々に食の嗜好も変わってくるかもしれません。

そんな中で出てきた、「巨大な肉の塊を担ぐことを禁ずる」ルール。
衛生面の話は勿論、このような食の嗜好の変化がルールに影響を及ぼしているのではないでしょうか。

「牛肉が主食の国」アルゼンチン、30年後にはまた違った食の嗜好が支配的になっているかもしれませんね。
今回はこれくらいで。

この記事が参加している募集

サポートは、資料収集や取材など、より良い記事を書くために大切に使わせていただきます。 また、スキやフォロー、コメントという形の応援もとても嬉しく、励みになります。ありがとうございます。