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カーニバルは町それぞれ

本日のニュースは、AFPBBより、ベルギーで先月行われたカーニバルについて。

カーニバルというとブラジルを想像しがちですが、元々カーニバルはキリスト教の祭典、「謝肉祭」のこと。
四旬節の前、2月下旬~3月上旬にかけて行われます。
語源はラテン語のcarne levare(肉を取り除く)に由来すると言われており、イースターを迎える準備期間にあたる四旬節に行われる断食の前に、「肉に別れを告げる」ことを意味するという説が有力。

ちなみにブラジルのサンバ・カーニバルは、この謝肉祭の風習に、黒人音楽のサンバが融合したものです。


カーニバルは宗教行事であると同時に地域の祭典という要素もあり、各地域でかなり様相が異なります。
中には宗教的な要素が薄れ、お祭り要素が殆どを占めるカーニバルも存在します(例えば日本の浅草サンバカーニバル等は、宗教要素を含まないと思われます)。

そもそも起源としてギリシャ時代の行事(市民も奴隷も関係なく楽しむことができた祭り)に由来するという説もあり、それがキリスト教世界に継承されたとも言われています。

仮面をかぶって素性を隠し、奇抜で豪華な衣装を身にまとい、皆が無礼講的に楽しむという要素はここから生まれているとも。
また、中には人形を燃やす風習がある地域もあり、罪の浄化、再生と豊穣を願う儀式だとか(シャーマニズムの世界観にも見えます)。
どうも、どこが発祥!というよりは、ヨーロッパ各地の地元の要素を備えた、宗教的背景のある祭典としてもう少し緩い目で見た方が良さそうに思えます。

さて、今回の記事で取り上げられたバンシュのカーニバルはかなり古い歴史を持ち、1394年まで遡ります。
その歴史的な経緯については諸説ありますが、その主役である「ジル」というキャラクター(地元の男性のみがなることができる)が生まれたのは1549年。
当時ベルギーを含むネーデルラント17州

の総督だったマリア・フォン・エスターライヒ

が、弟のカール 5 世と甥のフェリペ 2 世を歓迎する祝典を開き、その際にアメリカ大陸のインカ族を模した衣装を身に着けた踊り手が登場したのが始まりと言われています。

そしてその後、「オレンジを投げ与える」要素も追加されたようです。
こちらはコロナ前(2018年)のバンシュのカーニバル。

つまりこの衣装や行動はかなりローカルネタで、各地のカーニバルが全く違う内容なのも頷けます。

書いているうちに地理とは少し離れたお話のような気がしてきましたが、こういった文化面も知っておくと何かの役に立つかもしれませんね。
ちなみに、オレンジは「与えられたもの」なので、投げ返してはいけません。ありがたくいただきましょう。

今回はこれくらいで。


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