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NZを襲った「ガブリエル」

今日のニュースはロイター通信社より、ニュージーランドを襲ったサイクロンについて。

ニュージーランド北島を中心に豪雨と強風をもたらし、甚大な被害をもたらしたサイクロン「ガブリエル」
サイクロンは台風、ハリケーンと同類ですが、それぞれ基準などが少々異なります。
今回はそれらについて見てみましょう。

台風やハリケーン、サイクロンは元々全て「熱帯低気圧」です。
気温と水温が高い地域では、大量の水蒸気を含んだ空気が上昇気流となり、積乱雲が発生。
上昇気流の発生によりその部分の気圧が低下し、周囲から空気が流れ込んできます。
流れ込む空気(風)は、上昇気流が強くなるとさらにその強さを増し、ついには地球の自転の力の影響で渦を巻き始めます。
この風の強さが一定値以上になると、台風やサイクロン、ハリケーンと呼ばれるようになります。

ちなみに、赤道付近(南北5度以内)ではこの回転が発生しないため、熱帯低気圧がほとんど発生しません。
この回転方向は北半球が反時計回り、南半球は時計回りです。

これは、コリオリの力により北半球なら東(右)側にずらされた風が、中心に戻ろうとして西(左)側に向かって吹き、回転するため。

結果として、力とは逆方向に回転することになるからです。

また、位置関係については、一般的に経度180度で分かれ、そこより東(アメリカ側)はハリケーン、西(アジア側)は台風とサイクロン。
そして北側(北西太平洋や東シナ海など)が台風、南側(ベンガル湾や北インド洋)がサイクロンです。


また、それぞれ基準となる風速が微妙に異なり、台風は平均風速の最大値が約17.2 m/s以上、ハリケーンは約33 m/s以上です。

これは純粋に強い、というわけではなく、台風は10分平均、ハリケーンは1分平均で算出しているため、ハリケーンの方が数字が高く出やすいのです。
強風は常に最大風速で吹き荒れているわけではなく、強弱を繰り返しているので、平均を取る時間が長くなるほど数値は下がっていきます。

というわけで、今回のニュージーランドを襲ったのは、東経側の南側ですのでサイクロンということになります。

また、ニュージーランドはサイクロン来襲以前に豪雨に見舞われたばかり
そもそもこの時期は降水量が少ない時期で、月降水量が100㎜に満たない地域が多く、そこに1月末と今回の2回の豪雨に見舞われたのです。

ニュージーランドの気候帯は穏やかな海洋性気候、Cfbなどの地域が多く、年降水量も600~1000㎜ほどです。
そこに連続して300mmや400mmの雨が降ったわけですから、洪水が発生することは想像に難くありません。

地盤が緩んでいた所に再度大雨が降ったことで、大規模な地滑りが発生、被害がさらに拡大したものと思われます。
今回は、新期造山帯に属する山がちなニュージーランドの地形が仇となった格好です。

というわけで、サイクロン被害に見舞われたニュージーランド。
3回目の国家非常事態宣言を出すほどの事態に陥っているようです。

トルコ・シリア地震も心配ですが、こちらも気になりますね。
被災者の方の無事を願ってやみません。
今回はこれくらいで。

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