見出し画像

【読書感想】スノーデン 日本への警告

この本の概要

世界を震撼させた元情報局員がわかりやすく解説する超監視社会の脅威。本書では、日本人に向け、今起きている深刻な事態や権力を監視するための方途をスノーデンが明快に解説。後半はスノーデンの顧問弁護士やムスリム違法捜査を追及する弁護士、公安事件に詳しいジャーナリストら、日米の精鋭が、議論を多角的に深める。
「BOOK」データベースより

スノーデン事件、2013年だったんですね…。ちょい前だと思ってたのに7年前…。
時の早さはなんていうか…もうコトバにならないレベルですわ。

スノーデン事件、ご存知ですか?
アメリカのNSAという情報局に勤めていたエドワード・スノーデン氏が、アメリカ国家の不正な情報傍受や監視を暴露しちゃったっていう事件。
なんにも悪さしてないイスラム教の人たちが不当に監視されたり、他国の要人の通話をウォッチしてたり、一般人の通信のメタデータ(どこに接続したかとか何を見てたかとか誰と電話したかとか)を集めてるとか、そんなことをしてたわけ。
で、スノーデン氏がそれを暴露してしまったんです。
国が罪人でもない普通の人々を監視してるってことで、当時、めちゃくちゃ話題になりました。
物語のような話。
ジャックバウアーの世界。

アメリカ国的には当然「国の秘密を暴露するとは何事か?!逮捕じゃ〜」となりましたが、スノーデン氏は逃げて逃げて、今はロシアに逃亡中。

で、この本はロシアにいるスノーデン氏との対談イベントを書籍化したものです。

ロシアはこの件については関与しない、というスタンスらしく、スノーデンを引き渡すことなどもなく、彼は今、ロシアで自由に暮らすことができているそうです。 
ただ、ロシアの居住許可もどうやら2020年4月までらしく、その後どうなるのかは今のところわからない様子。

どうなるんでしょう?

ロシアが居住許可を延長するのか、アメリカに引き渡され処罰されるのか。。
今、トランプ政権だし、アメリカ戻るのは超ヤバそう…。

国の情報公開

企業はもう間違いなく情報公開せざるを得ない波はきてるんですよね。

悪いことして記者会見する企業はたくさんありますけど、そこでウソついたり隠し事をして、さらにバッシングが起きて初回の騒動以上の炎上が起きる。これはもう最近の企業トラブルの型と言ってもいいくらいで。

じゃあどうすればいいのかっていうと、
・嘘はつかない
・隠さなきゃいけないような悪いことはしない
がいちばん確実。

で、それは結局、そこにいる一人ひとりが嘘つかず悪いことしないってことになるし、ウソついてるヤツがいたら「え、ウソですよね?それ。」と言ってかないといけない世界なんだと思う。
そういう環境じゃないと、たぶん長く続けられなくなってきてるんじゃないかな、と思います。

とても清くて美しい社会。

ただ、残念ながら人は清くて美しいばかりではない。
この理想的な美しい世界は非常に難しく、多くの人間にとっては、弱さを許さない、とてもしんどい社会なんだろうな、と思う。

とはいえ、それでも企業は、情報公開の波に抗えない気がするから、オープンになっていかざるを得ないと思う。存続のために。

ただ、国はどうなんだろう?

私は、その情報公開の波が国家にまで及ぶのか、そしてそれは国家として持続可能なかたちで実現できるのか、正直わからない。
なんか、正直難しいような気がする。
できるイメージがまったく見えない。

もちろん、国が勝手に個人情報を集めまくってるのはよくないことだと思う。なので、スノーデンさんがアメリカに戻って牢屋に入れられるのは違うと思う。

でも、なんか、理想形が見えないんだよなぁ。

理解したこと

世界の情勢に疎いので色々わからないことばかりですが、読んで理解できたこともありました。

たとえば。
EU諸国は情報の管理についてとても厳しいことは知っていました。でも、その理由が、昔のナチスドイツのユダヤ人生迫害とか、過去の出来事がベースにあって個人情報の取り扱いに厳密になってる、というのは知らなかった。

あと、私もだけど、日本ってこういう情報についての考え方がかなり平和ボケしてるんだなぁ、ということもわかりました。
EUとかヨーロッパは情報の取り扱いがすごくセンシティブだし、アメリカも日本よりはちゃんと機能させようとする勢力があって、もちろんまだまだ課題はありまくりだろうけど、それでも監視システムを見直したりしてるらしい。
それに対して、日本は基本的に国が好きなようにしちゃってて、監視機能も形骸化してしまってるそうです。
今の安倍首相とかはたぶんそれをどんどん都合よく変えて国の力を集めたいんだろうな。

じゃあ私は明日からどうすればいいの?


正直、「監視されてるとしても、悪いことしなけりゃ大丈夫っしょ」
と思っていたし(今もちょっと思ってる)、私が考えるには、スケールがでかすぎて、全然自分ごととして考えられない。

これが平和ボケなんだろうな…。

たとえば、今こうして書いている私の蓄積されたnoteの情報や、Twitter、Facebook、検索したワード、LINEの友達、通話記録なども日本の公安は情報収集しているかもしれないし、TwitterやFacebookの登録情報は本社があるアメリカに渡っていることになる(と思う)。
私本体を知らなくても、私という人間の輪郭はこういうメタデータを集めていくとぼんやり出来上がってくるんだろう。
それを使って実際になにかされたらイヤだな、とは思うんだけども、今そうじゃない状況で、どうしてもじぶんごと化できないんだよな…。
空想の世界を抜け出せない。
なんか、アホだな、と思うけど、やっぱりこれを読んでも危機感を感じることはできなかった。


最近思うんです。
私のこういう平和ボケした考え方や、長いものに巻かれる国民性とか、空気読むとか、指示やルールにには疑問をもたずに従うとか、そういうのってやっぱり小さい頃からの風土とか考え方とか教育の蓄積で。
私たちは国家にとって扱いやすいように教育・洗脳されてきてしまったのかもしれないなぁ、と。
私、たぶんめっちゃ洗脳されてんだよな…。国にとって都合いいように。

とはいえ、このままってのはおもしろくない。

ネットワークや通信を監視されているとして、私たちになにができるのか。
これだけの通信サービスが普及してるなか、傍受の危険性があるから全員がネットワークサービスの利用をやめる、というのはもう無理だと思っている。
パンドラの箱はもうフルオープンで開いてしまってると思うの。
私だって、国の監視が怖いという理由でこのnoteを書くのをやめるつもりもないし、Twitterも続けたい。

じゃあどうするか、というとちゃんとしてそうな人に政治や仕組みを作ってもらえるよう選挙にいったり、偉い人がおかしなこといったら「違うでしょー!」っていうことしかないんだろうな。
めちゃくちゃ遠くてうんざりするけど。。

庶民ができることってのは、ちいさいね。

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?