【読書感想】「天才を殺す凡人」北野唯我
天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ
あなたは凡人?秀才?それとも天才?公開瞬く間に30万PVを超えた、大人気ブログ「凡人が、天才を殺すことがある理由。」が物語となって書籍化!
「BOOK」データベースより
この本の概要
作者の北野さんのブログで反響があった記事をベースにした書籍。
前評判を知らず読み始めたら、物語風だったのでびっくりしました。
が、物語っていいもんですね。
ビジネスものでも割とすんなり入ってきますもん。
内容としては、人間をものすごくざっくり「天才」「秀才」「凡人」にわけたとき、それぞれのタイプにはコミュニケーションの断絶があって、交わることが難しいんだよね、どうしたらいいと思う?
という内容です。(ざっくりすぎるわ)
「天才」と「秀才」と「凡人」は何が違うかというと、なにかを判断するときの判断軸がちがいます。
天才:創造性
秀才:再現性≒論理性
凡人:共感性
軸が違うのでなかなか交わりません。
創造性やひらめきがあり、めぐまれたようにみえる「天才」が幸せかというとそうでもなくて、圧倒的多数派である「凡人」に共感されないと、その才能を殺されてしまうこともあるんだよ、と。
なんかわかる。
そういうこと、よくあるよね。
実際には、
天才と秀才の交わるところに「エリートスーパーマン」がいたり、
秀才と凡人の交わるところに「最強の実行者」がいたり、
天才と凡人のあいだに「病める天才」がいたりと、色々細かいのがまたあります。
そこらへんは、ブログのリンクに飛べばより詳細な説明があるので、そちらをごらんください。
さらに一人の人間にも「天才」「秀才」「凡人」の要素が入り混じっています。私のなかの「天才」が、私のなかの「秀才」に殺されてることもたくさんあるんだろうね。
作者は、あとがきのなかで、自分や他者の性質を理解して、それぞれのなかにある「天才」の芽を詰まぬように生きていきたいし、そういう世界にしたいよね、という熱い思いを語っています。
いや、まじほんと、共感。
共感しかない。
共感の神。
私がこの先やっていきたいと思うこととすごく重なったので、うれしくなっちゃったよ。
友達になりたい。(←なれなれしい)
さて、自分はどのタイプ?
これを読んだ人はもれなく
「はて、自分はどのタイプ?」
と考えたんじゃないでしょうか。
私はどれだろう?
ひとつわかるのは、「エリートスーパーマン」とか「最強の実行者」ではないなぁ、ということ。
再現性とか論理性とか求められる世の中だからまぁそこそこ従ってみてますけど、理屈とか正直どーでもいいもん。
「○○が○○でこうだからやる」
とかより
「やりたいんだもん。こうなんだもん!」
とかのほうが
「そっかー!じゃあやろっか!」
って思っちゃいます。
いや、たぶん、私も秀才の要素はあると思うんです。
今の社会は秀才重視の社会で、そういう思考をしていないとなかなか生きていきにくいと思うんですよね。
で、そんな社会で窮屈ながらもそこそこ生きてきてしまったので、秀才な要素ももちろんもってると思います、この私も。
ただ、そんな自分は、別に好きじゃないんだよなぁ…。
むしろ、できるだけその要素は消したい。
感情とひらめきを重視して生きていきたい自分がいるんです。あんま、ロジックにかっこよさ感じない。
だからまぁ共感性の「凡人」なのかなぁ。
個人的には「天才」の要素もあると思ってるけど。(←ずうずうしいww)金になるかどうかは別にして、創造することは好きだしワクワクする。
いや、むしろすべてを超越しているケンのポジションかもしれない…。(←何様か)
天才をはかるKPIはない
作者は、以下のようにのべています。
拡大は「事業KPI」で見れるし、金を生むフェーズは「財務上のKPI」ではかることができる。経営学の発展によって、プロセスが十分に科学されてきた功績だ。(詳細は上の表をご覧いただきたい)
問題は「創造性」である。
言い換えれば「天才か、どうか」を、指標で測る方法がないことである。
再現性や共感性ははかることができるけど、天才の創造性をはかる指標はないそうです。
それなのに、ひとつのKPI(多くの場合、秀才が考える)ではかろうとするから創造性はつぶされてしまう。
そもそも、ものさしが違うんすよ。
で、作者はこうも言っています。
「創造性は、直接観測できないが、凡人からの「反発の量」で間接的に測ることができる」
革新的なアイデアの多くは最初、激しい反発があるものなので、その反発具合である程度は創造性をはかれるとのことでした。
(本の中ではもうちょっと詳しく説明があります。単なるダメなアイデアとの違いも説明されてました)
すごくわかる。
全員が素直に「いいね」と言えたらそれは革新的でもなんでもないもんね。凡人が創造できるレベルってことでつまんないもんになってしまう。
これは自分的にはすごく勇気づけられました。
仕事してると
「こうしたらいいんじゃないかしら?」
「こういうの、面白くない?」
とか、新しいアイデアが出てくることが私はよくあって。
で、そういうアイデアを誰かに言うと、感触がいまひとつだったり、「それは難しいかな」という反応をされることも多いわけですね。
そういうちょっとした反発みたいなのがあっても、凹まなくていいじゃん、とこれを読んで思ったんですよ。(そもそも、そこではそんなに凹まないんだけどww)
反発はむしろ私の創造性を表してるわけで、この言葉を信じるならばむしろご褒美じゃないかと。
この点は読んですごくよかったなーと思ったし、なんか逆にいいじゃん、と思えました。
ま、ただのダメなアイデアの可能性もあるんですけど。
ストレングスファインダーと言ってることは似てる
自分の強みを知るギャラップ社のストレングスファインダーというツールがあります。
私はこれをやって自分の強みを理解したし、理解したうえで強みをいかして動いていこうと思えるようになりました。
この「天才を殺す凡人」で語られる内容とストレングスファインダーで得られるものって、ゴールというか目指してる世界観は近いな、と私には思えました。
天才を殺す凡人も、ストレングスファインダーも、まずは自分を知り、他者を知り、その違いを認識してコミュニケーションしたり、仕事に活かしていけるといいね、っていうものなんですよね。
ストレングスファインダーはお金もかかるし分類も複雑だけど、天才を殺す凡人は、ものすごくその分類をシンプルにしてくれてるもので。
結局、どっちもまずは己を知るってことなのよね。
意外とわかんないもん、自分の強みって。
そういうの、目先の仕事になんの役たつの?っても意見もあるんだろうけど、やっぱ巡り巡って仕事していくうえでは大事だなって私は思う。
強みをいかして仕事したほうが仕事も楽しいし。
そんなこんなで、自分を内省する機会を得られると思うし、学びも多いステキな本でした。
こないだ会社のイベントで作者の方の講演も聞きましたが、なんでも続編がでるんだそうで。
講演での話を聞く限り、とってもおもしろそうな内容だったので、次の本も読みたいなと思います。
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