見出し画像

【読書感想】伸びる会社は「これ」をやらない! 安藤広大

この本の概要

「社員のモチベーションをアップさせる」
「教育は手取り足取り」
「若い社員はほめて育てる」
「経営者が進んで現場に入り、現場の意見を吸い上げる」
「結果だけではなく、プロセスも評価してあげる」 etc… 

いずれも、近年ではあたり前とされているマネジメント手法ですが、こうした手法で、実際に組織の生産性や効率が上がった事例は少ないのが実態では?
部下のモチベーションや技能がどんな状態にあろうと、企業は利益を上げ続けなければ潰れてしまいます。部下に媚びても、実際には大した成果は上がらないものです。
近年流行りの「部下に寄り添う」マネジメント手法とは一線を画し、企業内での「位置関係」を重視することで成果を上げるマネジメントノウハウを、企業経営者の間でじわじわと人気が高まっている「識学」の第一人者が解説する、待望の1冊です! 
Amazon 内容紹介より引用

感想

意識構造学という学問をベースに独自の組織コンサルティングを展開している株式会社識学の社長、安藤広大さんの書籍。
私の働いているサイボウズでも組織づくりや風土改革の研修・コンサルティングサービスなど展開しているので、事業内容は重なるところがあります。

広告で目にするキャッチコピーを見る限り、識学さんはサイボウズとは真逆に近いアプローチをしています。
「モチベーション」という言葉についても、サイボウズでは「社員がモチベーション高く働くためのポイント」を研修で扱うことが多くありますが、この本の帯には「部下のモチベーションなど気にしない」というコピーが前面に出ています。

そんな背景もあって、前からその理論の詳細に興味があったんですよね。

中身は完全に経営者ターゲット。
「経営者の考え方として、これはNGで、こう考えるべし!」というのがたくさん載ってます。

読む前から「実はそこまで真逆ってわけでもないんだろうな」って思ってたんですが、実際読んでみても想像してたとおりで、「このストーリーだったらたしかにそうだよね。」と、納得できるところが多かったです。

サイボウズと全然違うように感じるのは前提のところがそもそも違うからで、この書籍で紹介されてる文脈で読む限りは私も「そうだよねそうだよね」って思うところが多くありました。

たとえば「モチベーション」。
この本では「社員のモチベーションは気にしない」とあるんですが、この本で表現されているモチベーションは外発的動機に近いニュアンスで使われているように感じました。
それに対してサイボウズがよく言ってるモチベーションは、内発的なニュアンスが強く、この本で表現される「モチベーション」のことは我々「テンション」と表現したりします。
というふうにそもそもの言葉の定義がそれぞれで違ってるところも多いので、単純に比較できるもんでもないよね、という感じ。

あと、識学さんの考え方は、既存の組織構造をベースにしたマネジメント手法なのに対して、サイボウズが提唱していきたい世界観はまた別の組織構造(ヒエラルキー問わず情報がフラット)と、ベースにおいてる環境が違っています。
どういう世界観をベースに組織づくりをしていきたいか、どっちの組織づくりを良いと感じるかは経営者によって違うだろうな、と思いました。

正直、今の日本の多くの企業環境にばっちりフィットしてるのは識学さんの理論なんだろうなぁとも思います。ロジックもかなり整っているので、このコンサルティングによって組織が成長できるというのも納得感があります。

ただ、サイボウズをはじめとした最近流行りの組織論のほうが、従業員一人ひとりの成長への祈りと信頼が感じられる気がしました。(自分で書いておきながら表現がエモくて微妙だけど)
経営者が従業員との関係性をどう捉え、どう築いていきたいと思っているか、それによって違うんでしょうね。

色々勉強になりました!おもしろかった!!

ワタクシ的名言

何かを「知っている」だけでは何も価値がありません。価値がないどころか、この社長のように、ただ、何かを否定する材料にしか使えず、行動を阻害する要因となるのです。そのため動き出しが遅くなるのです。
p215  04 必要以上に勉強して頭でっかちになるのをやめる

ホントそうだ〜。
インプットした知識は活用してはじめて意味がある。勉強はいいけど動いてなんぼなところもあるし、私はたぶん体験しないとわからないので、知識を行動のエンジンとして使えるようにしたいものだ。

この記事が参加している募集

読書感想文

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?