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ミヒャエル・エンデ「モモ」は今の大人が読むべき本だと思う

「時間がないから」

「時間が出来ればやるんだけど」

「最近バタバタしてて」

「また時間が出来たら会おうよ」

「モモ」に登場する大人達は全身灰色の時間泥棒に自分達の時間を盗まれて毎日バタバタバタバタ急いで生きています。
以前までは貧しくても自分達の大切なものを守りながら幸せに生きていたのに、時間泥棒達の「もっと効率を上げて成功するんだ」とか「将来の為にならないことは時間の無駄だ」などのささやきに負けて、毎日楽しくない生活を送っています。

以前の方が幸せなのはわかっているけど、今の生活を手放すのが怖くて時間泥棒達の言うなりになります。


モモは不思議な能力の持ち主です。
その能力というのは、相手人の話をじっと聞くことが出来ること。何も言わずに。
モモに話をしているうちにいつしか自分自身を取り戻すことができ、いつの間にかモモの周りには大人や子供たちが集まり幸せな気分で生活をしています。
そんな時にあらわれた灰色の時間泥棒。

大切な全ての人の盗まれた時間を取り返してくれた、自然のままに生きる少女「モモ」の物語


「モモ」はドイツの児童文学作家のミヒャエル・エンデの1973年の作品。

今から50年前の物語だけど、今、大人の私が読んで思ったことは、時間泥棒から時間を盗まれた大人は、私であり私の周りにいる人たちであり、特に先進国に暮らす大多数の大人の姿じゃないかという事。

「時間がないからまた今度ね」や「最近バタバタしていて」は私がよく友達や年老いた両親に言っていた言葉。。
特に両親には忙しくしているふりをした方が安心してもらえるんじゃないか、って思っていたけれど、両親の元を訪れてもバタバタ帰って行く私を寂しそうに見ていた。
そんな事気づいていたけれど気づかないふりをしていた。

父がいなくなって、どうしてもっと話を聞いてあげなかったのか、色々な場所に連れて行かなかったのか、と悔やんでいた矢先に何故か読んだ本。
またこれも父が導いてくれたんだと思う。
生前も私に何かを伝える時いつも父は本や映画を勧めてくれたから。

今からでも遅くない!私の大切な時間を取り戻したい!
と本当に思えた。


今日母と行ったランチは、近所の喫茶店のいつものサンドイッチとホットケーキ。
よく食べていた味なのに今日はなんだか美味しかったな。
久しぶりに2人で、今日は母の話をたくさん聞いて。

母は姉にいつもの喫茶店のランチがすごく美味しかった事をニコニコしながら話していたのだそう。


もっとゆっくり今食べているものを味わおう。
もっと大切な人と色んな話をしよう。
空を見上げて雲や星の形を眺めよう。
至る所で芽吹いてきた新芽の香りに注意しよう。
いつも大好きな音楽を聴きながらごきげんでいよう。

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