見出し画像

9月27日上場!オカムラ食品工業

みなさま
こんにちは
そして初めましての方も
いらっしゃるかと思います

Twitterでは「モコルフォ」(mokorpho3653)
という名前で株式投資に関する
情報発信をさせて頂いております。

オカムラ食品工業(青森市)が
9月27日に東証スタンダード市場へ上場します。

実は・・
オカムラ食品工業㈱は
昔から良く知っている会社でして
このたびめでたく上場ということで
今回はオカムラ食品工業に
ついてまとめようと思います

と思ったのですが、

すでに私のフォロワーさんで
堅実な会社の投資家でもある
まるのんさんが
素晴らしくまとめてくださったので

概要はそちらを見て頂くとして

私からは業界の話と関連付けて
どちらかというと
株主にとっては
あまり聞きたくはない耳障りな内容を
敢えてとりあげたいと思います

① 不人気セクターと不確定要素(水物)

オカムラ食品工業の主要事業は
水産品の加工・販売です。
類似企業はどこか?と言われると
水産品の専業メーカーの
上場企業はありませんが
広義でみると
マルハニチロや極洋などの大手水産や
一正蒲鉾や紀文食品などの
練製品メーカーになるでしょうか

食品業界はディフェンシブ銘柄と言われ
半導体銘柄などと違い
イメージできる成長性に限界があるため
不人気なセクターです
大手水産はPBR1倍割れ、低いPERです

大手水産株の評価がいまいちなのは
配当など株主還元が
他業種と比べると低めという
側面もあるのですが

水産業界で扱うものは
「水物」=つまり市況動向が大きく影響するのも
一因といえます。

普段みなさん召し上がっている魚の製品は
そこまで大きくは市況に左右されませんが
メーカーの立場でいえば
原料となる水産物は市況に左右されやすく
市況動向が大きく業績に関係してきます

他の業種や企業でも、あるかもしれませんが
市況動向で業績が左右されやすいということは
株式市場にとっては
業績推測を難しくする要素であり
その分
リスク負担=割安に評価せざるを得ません

大手水産企業は業績を安定させるために
「オカ」の業態
例えば缶詰や冷凍食品の製造だったり
冷蔵倉庫保管業務をやったり
水産だけでなく肉や野菜も扱ったり
食品卸をやったり
不動産賃貸業をやったりするわけです

オカムラ食品に関して言えば
取り扱っている商材は
魚の惣菜の製造もおこなっていますが
メインは「鮭・魚卵」です
みなさん大好きな
鮭やイクラなどの魚卵は
需要は安定しているものの
市況に左右されやすく
さらに世界のインフレの影響もあり
現在の魚価は高止まりしており
魚卵についていえば
需要動向により
1キロ千円(1トン=100万円)
以上相場が動く場合もあります。

② 鮭・魚卵の市況は??

ついこの前
処理水問題などでホタテの業界で動きがあり
それに関しての話題を取り上げました

https://note.com/mokodayoyoyo/n/nacefceda775e

魚卵といえば主に鮭子のイクラを指すのですが
北海道・三陸で水揚げされる秋鮭の動向が
イクラの市況を左右します

ここで平成27年~令和4年までの
イクラの需給動向と
そして輸入イクラの価格データを取り上げます
※データソースは大手漁業団体より頂いたものです

左から供給量t:消費量t 輸入イクラのキロ単価@
27年 12000t:11000t @2600円
28年 10150t: 9350t @3120円
29年   8500t: 7500t @4300円 
30年 11600t:10600t  @4700円 ※豊漁年
R1年  9700t:  8700t  @3100円
R2年    8700t:8000t @3550円
R3年  9200t:8500t @4100円
R4年  10400t:9400t @5050円 

供給量は1万トン内外
消費量は8000-9000トン
越年在庫として約1000トン
このような形で毎年回っています

基本的には
国産イクラは輸入イクラより
価格が2~3割高い傾向にあります

このデータをみると
平成30年に秋鮭が豊漁となり
イクラの生産量も増加
輸入イクラの相場が
4700⇒3100円に暴落しています
R4は秋鮭の豊漁により
生産量が増えていますが
円安の影響もあり
いまのところ
輸入イクラの相場は5000円超
国産イクラの相場は
7000円前後とみられています

では、ここで問題

今年の秋鮭の水揚げは
昨年並みに豊漁の予想となっています

もちろんこれからどのくらいの
水揚げがあるのかわかりませんが
もし仮にR4年並みに
イクラの供給量が1万トンを超えた場合

そして先日
私のnoteでも言及しましたが
世界経済の景気減速等
インフレにピーク感が出てきた場合

イクラの市況価格はここから
上がるでしょうか?
下がるでしょうか?

そしてオカムラ食品の業績にとって
このデータは
プラスになるのか
マイナスになるのか
どう思いますか?

※2023.11.08 追記補足
北海道の秋鮭水揚げ動向がほぼ固まりました。
当初昨年並みの8万トンの予定でしたが
結局5万トン程度に留まるようです
これからは三陸での秋鮭の水揚げが始まりますが
おそらく微々たる程度で
昨年の豊漁を期待した漁師さんはガッカリしているみたいです
一方昨年の高値のイクラを在庫している業者は安堵
オカムラ食品の主力商品の魚卵はマスコであり
マスコはロシア産が比較的潤沢にありますが
(オカムラ食品のマスコはアラスカ産)
価格は比較的堅調に推移するのでは?との見通しです

③ 水産業界でホットな話題のサーモン養殖

コロナ禍によるインフレで
食品の値段は高くなりました
水産物も例外ではなく
例えば国産イカは不漁により
キロ200円前後だったのが今では1000円
サンマも
とんでもない値段になっています
日本ではチリ産の銀鮭が
スーパーで多く販売されていますが
原料市況は
一時の2倍以上の価格になってたりします

日本でもサーモン養殖は
宮城県で行われており
三陸養銀(鮭)として
主に生食向け中心で販売されています。
冷凍でなく生食でないと
「採算が合わない」からです。

オカムラ食品のみならず
日本各地で大手企業・ベンチャー企業
プレイヤー総出で
サーモンの養殖ビジネスが
ここにきてホットな話題になっています。

養殖は基本的に
「需要があるもの=値段が高いもの」で
行われる傾向にあり
そのバランスが良いのがサーモンで
そのため
サーモンの養殖ビジネスが活況なのですが
当然ながら
プレイヤー・競合も多い状態です。

以前と比べ切身用途の冷凍鮭は
高くはなってきているものの
現時点で採算が取れるのは
主に生食向けであり
採算ベースとしては
まだまだ未成熟なビジネスです

オカムラ食品は
デンマークの養殖業者を子会社化し
「青森サーモン」ブランドで展開
他社と比べると先行組の1社として
評価はできますが
残念ながら

スーパーで販売されているサーモンが
チリや北欧産ではなく
国産の養殖サーモンとなるのは
まだまだ先になりそうです

また2022年に
子会社である
日本サーモンファームが
産業廃棄物の処理に関して
不祥事を起こしました。
この点について目論見書には
記載されておらず

もちろん会社側も
反省していると思いますが
このような事があった事実や
企業体質(昔からの魚屋)という点は
一応留意しておかなければなりません

④ 企業評価額は?


公募価格1680円に対しPERは6倍
PBRは1.5倍
時価総額は130億円

この業績(利益)が減らずに
年々増益となっていくのであれば
この評価は割安と言えますが

①市況に左右されやすいビジネス
②養殖事業はまだマネタイズ途上
③魚卵市況に不透明感

これを考えると
もちろんIPO直後の
いわゆる需給相場は置いておいて
公募価格は不人気な
水産企業であるという業種から考えても
概ねフェアバリューかなという感じです

業績に安定感が出てくれば
紀文食品やSTIフードHD並みの
時価総額200億円台の評価は
なされてもおかしくはないと思います

養殖サーモンビジネスが
どこまで評価されるのか
クラダシのIPOの時にも感じましたが
儲からないビジネスは
バイオ企業はともかく
意外とマーケットは評価してくれないものだと
感じています。

以上
ちょっと辛口なコメントが多かったのですが
個人的に良く知っている会社であり
オカムラの筋子製品は
昔から食べており大好きです

食品会社ですので
ひょっとすると株主優待で
製品がもらえるかもしれません

値上がり益というよりも
毎年の優待の楽しみで
ホルダーになっても良い会社であると思います。

読んでいただき ありがとうございます みなさまの応援サポート とても励みになります いただいたサポートは 子供の笑顔になるために使いたいと思います がんばります!