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ホタテの話とか、バブル崩壊とか

みなさま
こんにちは
そして初めましての方も
いらっしゃるかと思います

Twitterでは「モコルフォ」(mokorpho3653)
という名前で株式投資に関する
情報発信をさせて頂いております。

今回のお話は
株式投資にはあまり関係ないかもしれませんので
儲かる株をお探しの方は
ゴメンナサイ
読み物としてお楽しみいただきたい方は
よろしくお願いします

私は仕事柄
食品に関する情報が数多く入ってきます

先日東京電力が
アルプス処理水の海洋放出を開始しました
これを受けて
中国が水産物全面禁輸
ニュースではホタテの価格が暴落・・
常磐物の水産物消費を応援!
など
いろいろ報じられています

Twitterでホタテの件について
つぶやいたところ
予想以上に反応があったのと
一部ご質問をいただいていたりしたので

ホタテ業界の話と

営業担当から聞いた鮭鱒の話と

この2つに関係する
「バブル崩壊の足音」の話をしたいと思います

①ホタテとアメリカと中国

ホタテの産地は大きく分けて
・北海道オホーツク地方
・北海道噴火湾&東北
この2つにわけることができます。

この違いは養殖方法に違いがあって
オホーツクは稚貝をばらまく
地まき法が中心
(これを天然という場合も)

他のエリアは
貝殻に紐を通すか
カゴに入れて海中に吊り下げる垂下法
(これを養殖という場合も)
が主流となっています

オホーツク地まき法で獲ったホタテは
水揚げの際に貝に砂が挟まる(砂噛み)ため
主に貝柱部分だけを冷凍した
「玉冷」加工と
そのまま冷凍加工する
「両貝」加工がメインです
他は煮沸後に干す乾物加工も一部あり
成貝までの育成は3-5年

浜値単価はキロ200~250円
両貝の場合は加工料諸経費を加え300円台で
主に中国に輸出されます
※砂噛みがあるため後述する垂下法より
原貝は安い傾向にある

玉冷の場合は貝から貝柱のみを取り出すため
製品歩留まりはおよそ12-14%と言われます
今年聞いている浜値220円で計算すると
220÷13%=キロ1700円
ここに加工料諸経費を加えると1級品で
キロ2500円前後と言われます

一方垂下法は地まき法に比べると
砂噛みがないため
貝をそのまま使える利点があるのと
原貝の歩留まりが良い傾向にあり
浜値単価はキロ400円前後で取引されます
両貝はキロ400円後半で中国へ

貝の見た目も問題ないことから
国内や韓国に鮮魚向けとして出荷されます
※オホーツク産は鮮魚には向かない
また砂噛みがないことから
メインはボイルホタテ加工が多く
オホーツクと競合してしまう
玉冷の生産は多くありません
育成は2~3年で
途中で間引きされた若貝は
ベビーホタテとも呼ばれています

国内スーパーでは高い玉冷は売れず
ボイルホタテがメインで流通しています
※原貝キロ400円、製品歩留まり30%で
1300円ほど、加工料諸経費を加え
キロ1000円台後半です

※水産庁発表の養殖業成長産業化計画(ホタテ)の資料

↑ホタテの供給状況:漁業(地まき)・養殖(垂下)
↑ホタテ製品一覧 長期保管=主に冷凍品

一方消費動向ですが
国内消費は生鮮・ボイル・玉冷で
全体の60%
海外は両貝・玉冷中心に
全体の40%です
天然ものといわれる
オホーツク産は輸出が多く
実はみなさんが食べているホタテは
養殖(垂下)物が多かったりします

養殖業成長産業化計画の資料には
2021年の輸出実績も載っていて
両貝は
中国向け82000t@275円
韓国向け10000t@410円
中国では輸入された両貝を
そのまま流通させたり
日本同様加工を
手掛けて欧米に出したりします
韓国は生鮮中心です

他の国は主に玉冷中心で世界中で13000t
輸出上位国は
台湾2700t@2853円
アメリカ1700t@3185円
オランダ1000t@3015円
中国はボイル・玉冷込みで5000t@1725円

このデータは2021年です
円安になった2022年
玉冷は輸出向けで3500円で
売れたという話を聞いております
それこそ玉冷は作れば作るだけ
お金になるというバブル状態でした
※普段ホタテ加工したことがない
メーカーまでも作ったと言われています

ところが昨年からの金融引き締めの影響が
ジワリジワリ効いてきており
直近の輸出向け玉冷の価格は
キロ3000円を割っているという話です
まだ赤字こそなっていませんが
儲けはかなり目減りしている状態です

メインバイヤーの中国香港は
原料ベースで約10万トン
向けられています
今後この消費量が後退し
アメリカヨーロッパも低調となると

当然影響は加工品のボイルホタテや玉冷に
およんできます
両貝に比べ単価は桁が違うため
ボイルホタテや玉冷の市況悪化は
メーカーや卸に
大きなダメージを与えることになります

玉冷加工で2500→3500円で売れていた・・
バブルと言われていたけど
そのような時間はやはり長く続かず
いま崩壊の足音が聞こえてきています

↑ホタテの需給状況

②鮭鱒ビジネスに異変あり

北海道はホタテの他に
これから秋鮭の時期がスタートします

秋鮭はここ数年来水揚げが少なく
高値でしたが
今年の漁期前予想は
好漁が期待されております

秋鮭といえば
弁当に使われる塩鮭をイメージしますが
結構消費として大きいのは
各社出しているビン詰めの
「鮭フレーク」です

秋鮭は良品ばかりではなく
身の色が白かったり、傷物になっている
比較的安いものも多く
それを原料にフレークを作っています
キロ200円台だった原料が
ここ数年は原料不足が影響し
キロ400円~500円以上
そこでロシアやアラスカの鮭鱒が
原料として使われたりしました

昨年のアラスカの白鮭の価格は
1.7USD:600円弱ほど
それが今年は3割安の
1.2USD:400円まで下がっています
ロシアの鱒に至っては
1USD以下も?という話も聞こえてきました
諸経費込みにして円換算すると
昨年比でキロ200円ほど違います

この1USD前半という価格帯は
ここ数年来の安値になっており
原因は
アメリカもロシアも鱒が
豊漁になっているとか
ロシア産は売れないとか
日本の秋鮭が豊漁予想とか
そもそも
アメリカや中国の景気が悪いからとか
いろいろささやかれています

日本の消費者というか
回転寿司業界にとって
アメリカやロシアで水揚げされる
魚卵(イクラ・マスコ)は重要でして

現在キロ7000円の価格が
果たしてどこまで下がるのかと
戦々恐々としています

③他にも様々な価格が崩れている

ここに来て
投機性のあるものからないものまで
様々なものの価格が崩れています
・高級ウィスキー
・ロレックス
・カードゲーム
・ラグジュアリー
・中古車(ビッグモーターが影響?)
・卵(夏で需要減)
他にも?

価格が崩れる=需要減or供給過多
先ほどの鮭鱒の話は供給過多のようですが
ホタテの話やら
上記に挙げたものはどうも
需要減=高値疲れ?景気悪化?の
ような気がします

あらゆる物には
「価格」が付けられています
価格が付くこと
つまり売りと買いが成り立つことが
「相場」です

マーケットで相場を把握できるものもあれば
中にはEDP暴落のきっかけとなった
人工ダイヤモンド価格のように
扱っている業者しかわからないものもあります

株式市場はあらゆる「相場」の集合体だと
私は思っております
安く(先に)買ったもの勝ちである株式市場
情報の伝播速度が
とてつもなく早くなっている現代においては
「誰も知らない相場」を調べることにより
儲かるチャンスを見つけられるかもしれません

個人的にはこれを「裏相場」と呼んでいます
裏相場は宝の山
ホタテ、鮭鱒、他のもの・・・
裏相場が崩れてきている兆候が
ちらほら見えてきて
株式市場は果たしてどうなるか
引き続きじっくり見ていきましょう

※追記2023/10/19

現地営業担当からのヒアリングです。
・ヒアリングですので話の真偽の裏付けは
取っていない点はご了承ください

①10月から始まった東電の補償については
とりあえず申し込むという業者が多く
時間がとてつもなくかかりそう
②補償内容についても不透明
※補填なのか・買い上げなのか
これも結論に時間がかかりそう
③相場は下げているのは確かであるが
コスト割れ以上になるくらい極端な下げは
浜値・製品ともに起きてはいない
玉冷製品でk2000円前半がコストで
時間的に余裕ある業者は2500円前後で利益を取って
資金・時間に余裕ない業者はコスト近辺で
売っており、現状2000円以下という激安価格は
あまり聞こえてはこない
④日持ちを持たせるために干し貝柱、
またボイルホタテの製造量が増えている
⑤現在のところは中国側とのチキンレースの
ようであり、ギブアップしそうなのは
噴火湾エリアの業者。相場が崩れれば
青森やオホーツクエリアの業者にも影響する
翌年の水揚げが始まるまでに禁輸解除となれば
影響は少ないが、長期間禁輸となると
やはり影響は避けられない

(まとめ)
現時点ではいままでがバブルだっただけで
それが正常に戻っている途中
資金がある(稼いでいる)業者は
まだ余裕はある様子
ただし来年以降は市況も落ち着くとみられ
どこかで相場が崩れる可能性があり
そうなった時点で誰が損失を抱えるのか
メーカーなのか
商社なのか
販売した現地なのか・・・
一説によれば今回の禁輸は
バブルとなったホタテの市況を冷やすために
中国の水産会社が国に働きかけたのでは?という
見方も出来ないことはない様子
※需要は当然あり、相場が落ち着いてくれば
禁輸も解除されるのでは?という見方もある











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