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『帰らない日曜日』の話。

画像出典:filmarks

息子や恋人を失った喪失感。
親の決めた結婚や名家の後を継ぐことへの閉塞感。
帰る場所のない孤独。
第一次世界大戦後のイギリスで生きる人々、それぞれの絶望が静かに伝わってきて苦しい。

メイドと御曹司、許されざる二人だけの時間が唯一、あまりにも眩しかった。

ついさっきまで見つめ合い、触れ合っていた人が居なくなる。
その悲しみを押し殺して、記憶を糧に、地に足つけて時代を生き抜く強かな姿に「胸を打たれる」とはまさにこのことかと思うほど。

御曹司がメイドに別れを告げるシーン。
さようならの一言に、どれだけの気持ちが込められていたのだろう。
ジョシュ・オコナーの名演技。
大袈裟だけど、一生忘れないと思う。


現代は「Mothering Sunday」。
偶然にも母の日の日曜日に観たな、という余談。
一夜明けた月曜日にも余韻を引きずったくらい、心に残る映画だった。

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