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スウェーデンの福祉政策への批判も!【社会がわかるようになる映画 】

スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」をみました。

なんとスウェーデン人の5人に1人が鑑賞したというこの映画。アメリカやインド、日本などと比べてあまり映画を作らないスウェーデンですが、日本でいう「君の名は。」級のメガヒット作品になっています。

ざっくり内容を言うと、近所に1人はいるであろうガンコなおじいさんが主人公です。このおじいさんは、幼少期より苦しい経験を幾度となくするのですが、やっと出会った愛する妻にも先立たれ、仕事もクビになり、何回も死のうとします。しかし近所に引っ越してきたイラン人の女性にちょっかいを出されて、なかなか死ぬことができません... それどころか子ども達の世話や車の運転を頼まれたり、猫を飼うことになったりと、寂しかった主人公の生活が、少しずつ賑やかになってゆきます。

この映画で、スウェーデンという国に対する印象がやや変わりました

どんな部分でそう思ったのか...

映画に込められているメッセージとして、
以下の3点に注目しました。

制度から外れた「弱者」の存在

主人公のガンコおじいさん、オーヴェは、このスウェーデンという国がつくっている制度から、ことごとく外れてしまった存在として描かれます。それはオーヴェに責任がある場合もあれば、ただただ理不尽な場合もあるのですが。

オーヴェは、自分の穏やかな生活をいたるところで脅かす存在を「白シャツ」と呼んで罵倒します。白シャツがでてくると、ろくなことがない。それはすなわち、国の行政職員は使えねぇ!むしろ安穏な生活を脅かす悪である!くらいの勢いです。彼らは一見、「制度」という名のもとに正義感のある行いをしているように見えるのですが、実は正義をふりかざして主人公とその周りの生活をどんどん悪い方へ変容させてしまいます。これが社会なのだと言われたら、あまりにも理不尽なのですが、これが現実なのか、、、ツレェ、、、という感じです。

様々なトラブルが起こる中で、制度の裏側にある「負の側面」というものが、ジメジメと、いや〜な感じで伝わってきてしまうストーリー展開になっています。

いやほんとに、良い映画なんだけどね!
ほんとに!

行き過ぎた社会福祉政策への批判

これは自分でも「へ〜」と思ったのですが、

認知症ぎみの夫がいる家に、民間の施設が「あんた施設に入りな」って何回も自宅に押しかけてくるシーンがあって....

奥さんはものすごい反対してるんですよね。近所の人もね。それで、何回もみんなで追い返そうとします。

あんまり社会福祉が充実しすぎても、こうやって困る人が出てくるのだなぁ。国がこうやって福祉のサービスを民間へ委託してしまうと、彼らはどうしても利益を考えなきゃいけなくなるので「とりあえず施設入れましょう」ってことになるらしい。

スウェーデンって勝手に
福祉が充実してる=暮らしやすい=良い国
みたいな幻想があったのですが、

そんな簡単な話でもないですよね
(そりゃそうだ)

この話は、監督インタビューでも話題に出てました。おもしろいので、ぜひこちらも読んでみてください。

https://search.yahoo.co.jp/amp/realsound.jp/movie/2016/12/post-3566.html/amp%3Fusqp%3Dmq331AQGCAEYASgB

「異質な他者」に救われる

この映画の中で
主人公は何回も死のうとするのですが、
そのとき彼を救ってくれる存在として「イラン系移民」「ゲイ」などの他者が登場します。

彼らはまったく主人公と波長が合わないのですが、それがむしろ新鮮な関係性を生み出していたりして、双方にとって心の拠り所へと変わっていきます。

日本みたいに、自分たちにとって異質な他者を「認めてあげましょう」っていう感覚ではない。明らかに。

違いがあってめんどくさいんだけど、それが自分に足りないところを心地よく埋めてくれる存在にもなったりして。

この国には、全然ない感覚だよなぁ〜。

ひとりひとりの孤立化が進むからこそ、多様化、多文化化って大切なのかもしれない。

#映画 #映画レビュー #映画感想 #note映画部 #スウェーデン


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