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書評『君たちはどう生きるか』人生における苦しみの正体

1書籍紹介

今回は、「君たちはどう生きるか」の感想文を書いていこうと思います。「漫画・君たちはどう生きるか」は人生で起こる辛さのヒントや生き方について書かれた一冊でした。眼鏡の男子がドアップで映った特徴的な表紙を見たことのある人は多いのではないでしょうか。中身は児童向け?で内容も簡単な言葉が多いです。しかし中身は考えさせられるメッセージ性のある本でした。

内容

小学生の男の子通称コペル君が親戚の叔父さんと関わりあいながら成長していく物語です。コペル君は、クラス内で起こったいじめ、友達関係で悩みますが、叔父さんとの会話を通じて考えたり、仲間とともに解決したりしながら過ごします。そんな時、彼は友情をおびやかしてしまうような問題を起こしてしまうんです。ひどく後悔し、「もう自分なんていなくなれたら」とまで考えてしまうコペル君へ、おじさんが一冊のノートを手渡します。そのノートには、今までのコペル君との関わりで感じた叔父さんの思いが書かれていて…というあらすじです。

人間の偉い、すごいって何?というところから、歴史の偉人のとらえ方、生きる意味までエピソードを通じて学べました。漫画なので手軽に読めます。しかし、大人のわたしでも学ぶべきことが多く、この先の人生に影響をあたえるような本でした!

2内容紹介

人間の本当の値打ちはその人の着物や住所や食物にあるわけではない

貧乏で学校に来れなくなった浦川君の話です。浦川君は貧しいけれど、いじめに屈せず家庭の豆腐屋を手伝いながら懸命に生きていました。コペル君はそんな彼を宿題を教えたりして手伝ったのですが、叔父さんは感心しました。その時にかけられたノートの言葉です。
本当にそうだなあと思いました。よく私たちは、お金を持っている人がえらい、権威がある人がえらいと思いがちです。しかし、人間の本当の値打ちはそんなところで決まりません。貧乏でも、病気のお母さんのために一生懸命働いていたり、仕事をしていなくても病気に打ち勝つために懸命に生きている人だったりは、誰が何と言おうと素晴らしいですよね。決して、現実の成功が人間の偉さを表しているわけではありません。そして、大切なのは、自分の人間的な値打ちにしっかりと目をつけて生きていくこと。自分にも生きる価値があると思うことです。もし自分は貧乏で何の権威もなかったとしても、自分で自分をつまらない人間と思わないようにすることです。これが現代でいうところの自尊心ですよね。その心を持てば、誰になんと言われようと自信が揺らぐことはありません。人は誰しも辛いこと、どうしようもないこと、変えたいと思っていることと戦っています。そんな自分に誇りを持ち生きることの大切さを学びました。

なぜそれほど苦しまなければいけないのか。それは、君が正しい道に向かおうとしているからなんだ。

友達を裏切ってしまったコペル君に叔父さんがかけてくれた言葉です。一見理解できないですよね。「正しい道に向かおうとしている?」「それってきれいごとじゃない?」って。けど、本書ではこの言葉の正体を丁寧に解説されていました。まず、わたしたちがお腹が痛かったり、熱が出たり、頭が痛かったりするのはなぜでしょうか。それは、「身体が正常でないことを知らせるため」ですよね。体のどこかに不具合があるから、痛みを通じてシグナルを送り知らせようとしているんですよね。人間にとって、正しい状態でいることが一番良いわけです。しかし、人間は身体以外にも心がつらくなったり、痛かったり、悲しくなったりで精神面にも不具合を起こします。安全な場所にいて、ご飯も十分に食べられる状況にも関わらずです。これも、やはり心が正常の状態でないから、知らせるための痛みなんです。人間は誰しも持って生まれた才能を自由に伸ばしたいと思っています。人に優しくしたり、学校に通って勉強したりです。能力を正しく使えないとき人は傷つきます。コペル君の例でいえば、友達を裏切ってしまったと思うのは、「自分は仲間を裏切らず、仲間に優しくする」という思い・実行できる能力があるからです。今回はそれが叶わなかったから、心が苦しい。だから、本来のコペル君は「仲間を守れる、信頼できる」人間なわけです。その状態が正常なんですね。コペル君がすべきは、「友達に謝って正常な状態に戻すこと」これが、苦しむのは正しい道に向かおうとしているからの正体です。

本書でも。「人間がみじめだと思い、それをつらく感じるということは、人間が本来そんなみじめなものであってはならないから」と書いています。苦しむのは正しい道に向かおうとしているからという言葉は、今後の人生の支えになってくれそうです。

3感想

なにか取り返しのつかないことをしてしまった時、人を傷つけてしまったとき、人生の苦しみから逃れたいときに、本書からヒントが見つかるかもしれません。
本書は主にどんな人から読まれているんでしょうか…小学生?中学生?しかしわたしは21歳の今読めてよかったなあと感じています!この本の中では、「生み出す人」のすばらしさについて書かれています。仕事をしたり、誰かに価値を与えている人は立派な人です。だって、生み出してくれる人がいなければ、それを味わったり、消費することはできません。なので、生み出す人は素晴らしい人です。わたしはそんな「生み出す人」をサポートするような仕事をしたいなあと思っています。例えば、才能のある作家や音楽家がより適切な形で作品を世に出すにはどうしたらいいのかなどを考える仕事です。マーケティングとか編集者とかの裏方業務です。生まれ持った才能は決して消え去っちゃいけないと思うんですよね。そんあ、自分の将来したいことについても考えさせられました。




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