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「ウデマエXにはなったけれど……」 スプラトゥーン2でS+とXを往復し続ける海外勢の環境をデータで読み解く
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「ウデマエXにはなったけれど……」 スプラトゥーン2でS+とXを往復し続ける海外勢の環境をデータで読み解く

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はじめに

こんにちは。この記事は、以前投稿した記事のアップデート版に相当するような内容になっていると思います。

とりあえず、スプラトゥーン2のゲームシステムについては知っているものとします。気になるようでしたら、上のふたつの記事の中で少し説明していますし、探せば(ノイズも多いですが)たくさんの情報を簡単に見つけることができると思います。

私のプレイ環境

プレイ環境というほどのものではありませんが、私は海外在住で、スプラトゥーン2のリージョン区分では北米・オセアニアに相当します。マッチングは同リージョンがメインになるとは思うのですが、さらにpingの値をベースにしているようで、北米・オセアニアの他にも日本の方々とのマッチングも非常に多く発生しています(欧州在住のスプラ友によれば、日本と欧州はほとんどマッチングしていないようです)。簡単のため、ここでは日本にいてプレイしている方々を日本勢、その他を海外勢とします。この判別は簡単ではないのですが、ざっくりプレイヤーの名前で完全に主観で判断しています。

現在の状況

いまだ飽きることなくスプラトゥーン2をプレイしており、2022年6月1日現在、ガチマッチの全ルールでウデマエXです。2022年5月に初めて全ルールの最終Xパワーが2000以上を記録した状態で月末を迎え、S+に自動降格せずに月を越すことができました(図1)。個人的には、これで一区切りついたところがあるなあという実感をもっています。

図1: 初めて全ルールXでXP2000以上で月末を迎えることができ、ウデマエ降格せずに新しい月を迎えることができました。

2022年3月末の時点での売上本数が1330万本ということですから、上位数万位に入っているというのは我ながらすごいことですね(ある程度はプレイ時間に比例する面もあるので、ただの廃人とも言えるのですが)。

しかしながら、既に書いたことからもわかるとおり、ウデマエXに昇格したものの、維持できずに月末にXPが2000を切ってしまっていたり、そうじゃなくてもXPが1900を切ったところで負けてしまってS+に降格することが頻発しています(というかそれしかない)。

この記事について

そんな感じでウデマエXにあがっては即S+にたたき落とされているうちにやさぐれても来るのですが、理由について海外勢として遊んでいることに原因の一端があるのではないかと考えていろいろ調べてみたことをベースに考察する記事になっています。データは私のスプラトゥーン2の戦績を ikawidget2 で収集したものになっていますので、あくまで私個人の状況についてであるということに注意して下さい。

普段から話し始めると長いので、とても長文になっています。読みにくいかと思いますが、目にとまった画像だけでも見て行っていただければと思います。

ウデマエXは日本勢のレートを基準にできている?

ウデマエの「基準値」としてよく出される数字があります。しかし、これは「基準」ではなく、飛び級するために必要な内部レートですので、「最低このくらいのはある」というものではなく、「あるウデマエの最高値(あるいは圧倒的な外れ値)がこのくらいである」という数字に解釈するべきでしょう。これは今は世界中でほぼ一律なのですが、以前は日本とその他のリージョンでは100くらいちがっていて、日本の方が全体的にレベルが高い(つまり外れ値を高めに設定しておかないといけない)ことがうかがえます。

ところで、XPが1900を切るとウデマエXからS+に降格します。しかしながら、Twitterでの投稿やYoutubeでの配信をみていると、「一旦Xにあがったら下がんないでしょ」みたいな話がされることが多く、「XPどのくらいですか?」みたいなアンケートでも、XP2300程度が考慮される最低値のような扱いをされているようなのです。また、stat.ink やその他の配信動画、Twitter投稿などを見ていると、(プレイヤー名から推定するしかないのですが)日本リージョンのプレイヤーというのは、S+からXに昇格する時点、もっというと、S+中盤以降では、8人の平均パワー(部屋パワー)が1900を越えていることがほとんど、多くの場合2000を越えているような印象を持ちました。

一方で私はというと、S+での試合ではだいたいレートが1850前後であるようなのです(S+以下では自分のレートは公開されないため、部屋パワーの傾向から推定することしかできない)。

X帯では基本的に内部レートが2000以上の人達しかいないのに、自分は1850程度であるというのは厳しいものです。体感としてはレートの差が50だと勝てることもあるのですが、100以上の差があると勝負になりません。だったらすぐに降格するのもむべなるかな、というところですよね。

そこで、これまでのデータ(ikawidget2 というアプリで収集)から、ウデマエと部屋パワーの関係を図にしてみました(図2)。

図2: ガチマッチの各ルールでのウデマエと8人の推定パワーの関係。各ウデマエの表示は、白い点が中央値、太い縦線が第1四分位と第3四分位の範囲を示している。細い縦線は最大値と最小値の範囲をあらわしている。薄い青色が塗られた領域は、各ウデマエでの部屋パワーの分布を示している。

図2からは以下のようなことが言えると思います。

  1. S+まではウデマエの上昇に伴って部屋パワーも上昇する。

  2. S+の間は部屋パワーはほとんど上昇しない

  3. S+9までの間は、そのひとつ下のウデマエの部屋パワーの分布の間に重複する部分が多い

  4. S+9とXの間に大きな部屋パワーのジャンプがある

  5. X帯は最大値と最小値の幅がとても大きい

1と2については以前の記事でも紹介しました。現在でも傾向はほとんど変わらないようです。部屋パワーはほとんど変わらないけど内部レートが少しずつ上昇している状態とも考えられるかもしれません。

3については、個人的には重要だと感じます。人間は自分ができることより少し難しく、がんばれば成功できる程度のタスクでの成功体験を積み重ねることで成長するのではないかと考えるからです。これが小学校1年生に大学生の試験を解かせてもちんぷんかんぷんで、そもそも何が分からないのか分からないということになるでしょう。

スプラでも、少し強い部屋でがんばってゲームスピードに慣れたり、立ちまわりの成功や失敗からのフィードバックで上達するのではないかと思います。さっきも述べたように、これがレートでいうと50程度の差であり、100ちがうと「ちんぷんかんぷん」になるということです。

4で述べたように、私のウデマエとパワーの関係から、X帯とS+の間には大きなギャップがあることが分かります。そのため、「ちんぷんかんぷん」状態になっていて、わけが分からないうちに敗北してウデマエが落ちてしまうループから抜けられないのではないでしょうか。

一方、日本勢は(仮に)X昇格時点でレートが2000程度あるとすると、S+とXはスムーズにつながっているわけです。したがって、Xでもある程度戦うことができるためウデマエの維持につながるケースが多く、「Xから落ちることなんてそうそうない」というような発言につながるのだと思います。

5番目については、ウデマエXではXPが青天井なのでそのとおりなのですが、私のようなXP2000前後、あるいは以下のプレイヤーでも部屋パワーがきわめて高い試合に当てられることがあり、理不尽です(完全に愚痴)。

というわけで、少なくとも私のようなXP1850前後でウデマエXに昇格しちゃうようなプレイヤーにはXの壁が高すぎるということは言えると思います。もっといえば、内部レートが1900や2000程度になっていないのにウデマエXに昇格できるシステムがよくないのでは、と思ったりするわけです。

「勝率5割マッチング」って本当なの?

スプラでよくいわれるものに「5割マッチング」というものがあります。これは、マッチングシステムやレーティングの仕組み上、ある程度の試合数を重ねると、勝率5割に落ち着くというものです。これ自体は、自分が勝っていると相対的に強い相手及び弱い味方のチーム編成になってしまう、というようなところで、まあそういうこともあるよねえ、と思う一方、「神の見えざる手」によって強制的にそうなっているのが面白くないという話もありますよね。

まあそこの議論はともかく、私の勝率の実感として、どうしても勝率5割で調整されているように見えないのです。たとえば、Nintendo Switch Onlineの公式アプリでは、過去50戦の戦績が確認できるのですが、これが落ち着くのはいつも20勝30敗という勝率4割状態です。ウデマエXで遊んでいるときなどは、これが勝率3割近くになることもざらなわけです。

また、同アプリでは、ステージ・ルールごとの勝率が表示されるのですが、私の場合は、全23ステージ・4ルールの組み合わせ92通りのうち、勝率5割以上あるものは11しかなく、明らかに勝率が5割より低いところに全体として落ち着いていることがわかります。

これはプレイヤーが上手いとか下手という話ではなく、内部レートでマッチングをおこなっているという仕組みから考えてなんか変だぞという話なので、「ヘタクソなお前が悪い」という批判は別の機会にお願いします。

ここでも、ikawidget2 のデータを使って、ウデマエごとの勝率を図にしてみました(図3)。

図3: ガチマッチの各ルールでのウデマエと勝率の関係。エラーバーは68%信頼区間を示している。

図3からは以下のようなことが言えるかなとおもいます。

  1. B帯での勝率がとても良い

  2. A帯からS帯までは概ね勝率5割前後

  3. S+は勝率5割に届いていないところが多い

  4. S+の前半は勝率が比較的低め

  5. S+の後半は勝率が比較的高め

  6. Xでの勝率はとても悪い

1は集計した時期なども関係してそうですし、試合数が少なく誤差も大きいので割愛します。

2は勝率5割マッチングが上手く行っていた時代があったということでしょうか。まだ海外勢のプレイヤー人口がそれなりにいた頃かもしれません。

3からは、勝率5割に届かなくてもウデマエを上げることができる、ということがわかります。これについては「フェアじゃない」という意見も見かけます。おそらく、味方回線落ちでの負けは負けにカウントされるけどレートの増減はない一方、敵回線落ちで勝ったらレートが上がる、という仕様が関係しているのではないかと思います。また、ウデマエのキープに必要な勝率は4割ちょいで、これを繰り返していけば少しずつウデマエ昇格に近づいていくため、という理由もあると思います。

4と5は、自分に比べて周囲のプレイヤーがどうか、また、同程度のプレイヤーの実力がどうなっているか、という話になると思います。S+5からS+6のあたりを越えると、自分も強くなるし、一緒にマッチングされる味方(や敵)も強くなるため、戦いやすくなるということなのでしょうか。「S+6の壁」というような発言を友人がしていました。

6は前の章の話ともつながるのですが、とにかく私の場合はXに昇格した時点の内部レートがX帯の実質的な最低ラインに達していないということなのだと思います。敵味方の全員が私より100以上レートが上で、私一人が足を引っ張るという状況だけで、負ける理由としては十分すぎるわけです。

私のX帯でのマッチングは分相応なの?

ということで、一体私のX帯でのマッチングは分相応になっているのだろうかという疑問が沸いてきます(答えとしてはほぼ「ノー」なので、それを確認したいということですが)。

図4は、私のXPと部屋のXパワーの関係を示したものです。

図4: ガチマッチの各ルールで、ウデマエXの試合について、私のXP(縦軸)と部屋パワー(横軸)の関係を示したもの。色が明るいところで試合数が多い。

ガチアサリはウデマエXになってからあまりウデマエXでの試合をしていないため、あまり参考になりませんが、図4からは、全体的に対角線(自分のXPと部屋パワーが一致している線)より下側に分布していることがわかります。つまり、部屋パワーの方が高い試合が多いということです。

これをそれぞれについて頻度分布を描いたものが図5です。

図5: ガチマッチの各ルールで、ウデマエXの試合について、私のXP(赤)と部屋パワー(青)の頻度分布。

図5からも、私のXPの分布(赤)が左側に寄っていることが分かります。また、部屋パワーが1950程度を下回ることがほとんどなく、実質的な下限が1900ではないことがわかりますね。

あと、どうして、2000前後にXPの分布のピークがあるプレイヤーが、部屋パワーが2500とかいう試合に入れられるのかが理解できません。この辺も詳しいことはわかりませんが、海外勢は日本勢の人数あわせで適当に人数が足りてないところに入れられている、というような言い方をしているひとも見かけました。2000前後のプレイヤーが、いわゆる「王冠プレイヤー」と呼ばれるトップ500に入っているひとと一緒に試合をすると大変凄惨なことになりますので、できればもう少しマッチングアルゴリズムの方で配慮していただきたいところです。

マッチングの理想と現実

スプラ2のマッチングは、自分のレートに対して標準偏差50程度で分布しているらしいです(情報のソースを探したのですが、見失ってしまいました。分かったら追記します)。もちろん、一試合で見てもダメで、たくさんの試合を重ねれば、自分のレートのまわりに部屋パワーがばらつく結果になることが期待されるわけです。

そこで、自分のレートと部屋パワーの差を取ったものの分布を調べてみました(図6)。

図6: ガチマッチの各ルールでのウデマエXの試合について、部屋パワーと私のXPの差の分布。3つのヒストグラムは全試合(紫)、勝ち試合(オレンジ)、負け試合(緑)、それぞれについてのもの。

図6からは、分布の平均及び中央値が0になっていなくて、少し右側、つまり自分のXPに対して部屋パワーが高い試合が多いことが分かります。

全試合についての簡単な統計量は以下のものです。

これをみると、平均的に40前後、分布が値が大きい方に偏っているようです。ヒストグラムからは、非常に値が大きい方に伸びているため、「平均はよくない、中央値を出せ」とツッコまれそうなので、中央値をみると、大体30くらいXPが高い部屋に入れられているようです。

標準偏差を見ると、計算方法に依りますが、70から90程度になっています。これが大体7割くらいの試合が入る範囲になっていて、50よりはずいぶん大きいなあという印象があります。

図6には、勝ち試合と負け試合に分けた分布も描いてあります。どうやら、勝ち試合の方が少し分布が左側に寄っているようです。つまり、勝ててる試合のマッチングはある程度適正に分布しているのではないかと考えられます。

さっきと同様の統計量を求めてみます。

勝ち試合の場合

負け試合の場合

ここからは、勝ち試合は負け試合に比べて

  • 標準偏差(分布の幅)には顕著な違いが見られない

  • 平均値や中央値は勝ち試合の方が小さな値を取っている

ということが言えると思います。ガチホコバトルの勝ち試合に関しては、中央値で見て6しか偏りがありません。私のような者でも、適正にマッチングされた試合だったら勝てる確率も上がる、ということがわかります。朗報?

まとめと雑感

今回は、ikawidget2で取得したデータから、海外勢でS+とXを往復し続ける私のマッチング環境について、数字で言える範囲で考察しました。海外勢(私)の場合、Xに上がる時点での内部レートが足りてないのが一番かなあと思います。

ウデマエXは、アップデートで発売してしばらく経ってから追加された要素であることが大きいと感じます。S+以下のウデマエは相対評価であるにもかかわらず、ウデマエXは絶対評価になるからです。つまり、このS+とXの接続が日本勢向けに最適化された結果、そのシワヨセが中途半端な私のようなプレイヤーにいっているのではないかと感じるのでした。この辺は基本的に主観なのでよくわかりませんが……

スプラトゥーン2はメンタルの負荷が非常に大きく、各所でいろいろ語られているような感じなので、2022年9月9日に発売されるスプラトゥーン3では、そのあたりを改善したゲームシステムが採用されるとよいなあとおもいます。ちなみに、まだスプラトゥーン3でのガチマッチの有無については公式には一言も触れられていないのが気になるところです。

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