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大工、高い所おっかねえ

 僕は子供の頃から現場に連れ出されていたのですが、中でも多かったのが上棟作業。「たてかた」とか「たてまえ」と呼ばれる棟上げの日です。うちでは「たてまえ」と言ってました。


 「うわ! 落っこちる」なんて夢をたまに見るほど高所は苦手です。ていうか、13歳くらいから手伝っていたこの上棟作業で、後天的に高い所が苦手になった気がするよ。


 皆様も住宅街を歩いていて、家が木の骨組みだけの状態を見たことがあるかと思います。そこで数人の作業員とクレーン車が確認できたら、それが上棟作業です。


 まだ骨組みだけですから、もちろん二階の床も、屋根の上も骨組みだけ。そこを歩き回って仕事する。少しイメージが貧弱でベタですけど、例えるならカイジです。鉄骨渡り状態。


 今では落下防止ネットを張って、ヘルメットを被って、ハーネスを着けて、安全帯で控えをとって、なんてところも増えてきてる。ハウスメーカーは当然このように安全第一で作業しています。だがしかし、これこそタテマエ。


 ホンネとしての実際。小さな工務店の上棟や屋根の葺き替え作業なんて未だに身一つだったりします。僕自身大工として数えきれない(ていうか覚えてない)ほど「たてまえ」に参加しましたがヘルメットすら数回被ったことあるくらいだよ・・・いいのかこれ。


 そんな上棟作業、十代の頃はこわくてこわくて、梁や桁にまたがってズリズリ移動してました。「な~にやってんだおまえは~」とか言われてもずずず~、ずずず~っとね。


 そうです。芸人が丸太の上にまたがってこん棒で叩き合うやつみたいなやつです。

 

 少し慣れてきた頃、つい調子に乗ってホイホイ梁の上を歩いていたらバランスを崩して落ちそうになったことがあります。その時は兄がグイっと手を引いて助けてくれました。


 あの時はこれ逝った・・・って本当に一瞬思ったよ。


 こえ~。



 今日の学び:労災とか規則とかあるからヘルメットはしなきゃダメ。

#創作大賞2023 #エッセイ部門


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