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1泊2日松江城の旅に行ってみた②

2日目は、朝からまた松江城を目指す。松江城を見る旅に来たのだからブレない。城下町の堀を小舟で巡る「堀川めぐり」を中心にするつもりだ。

宿から乗船場に向かうタクシーで、運転手さんが「今日はいいお天気で良かったですね」と言ってくれた。しかし、辛うじて雨じゃないだけで、今にも降り出しそうな曇り空なのですが‥。天気の感覚が違うのも面白い。

まず乗船チケットを買い、大手前乗船場からスタートする。

このチケットは1日乗り放題で、一周は約50分らしい。想像より長いから、途中、何回か乗り降りして楽しもうと思う。

靴を脱いで、ペタンと座る。この遊覧船は、途中の低い橋をくぐる時、ぶつからないように屋根を下げるので有名だ。どのくらい下がるのかはその時の水量にもよるようだが、舟が出発したらまず、屋根が降りてくるのに合わせて頭を下げる練習をする。高さは、あぐら座で座って上半身を折りたたむくらい。こんなに低いの?ビックリ!

練習が終わったら、船頭さんが、丁寧に堀川の自然や城下の様子をいろいろ教えてくれた。低い船だから、水が本当に近くに見える。カルガモが何の警戒もせずに近くを泳いでいたり、アオサギが黙ってどこかを正視していたりする。逆に、天守閣は全然見えてこないのも意外だった。

石垣がない部分は自然の川巡りみたい。めちゃくちゃ楽しい

次の乗船場で降り、城下町を散策することにした。この辺りは、武家屋敷が保存されていて、江戸情緒が感じられるエリアだ。

小泉八雲の記念館があり、入ってみた。ギリシア生まれの新聞記者で、明治に来日。松江に住んでいたこともあり、後に結婚する小泉セツさんと松江で出会っている。

知らなかったけど、小泉八雲は、日本に来るまでも世界各地に住み、異文化に馴染んで、その土地の伝承や不思議な話を聞くことが好きだったらしい。幼少期はアイルランドで過ごしていた。アイルランド、私は行ったことないけど、曇り空のイメージだ。似てるんだろうか。

堀川に沿って並ぶ武家屋敷。かっこいい!

続いて、小泉八雲の松江時代の住まいを見てみる。武家屋敷に住んでみたいと希望して探してもらった物件らしい。もとは中級武士のものだったが、明治維新で空いたところに住んだということだ。

北堀といふところに小泉八雲の舊居をも訪ねた。舊(ふる)くはあるが床しい家中屋敷で、庭に咲く百日紅、花はないまでも桔梗、芍藥なぞ、この地方の夏はそこにも深いものがあつた。主人も心ある人と見えて、質素な書齋の襖から櫛形の窓まで、明治初年の昔からあるものを何一つ置き換へることもなしに清潔に住みなしてある。故人が愛したと聞く池の蓮も、この記念の家を靜かに見せてゐた。

「山陰土産」,島崎藤村
すっきりとしたデザインで、とても清潔に感じる
キレイに手入れされた庭。百日紅が咲いていた

完全な和風の建築で、明治の初め頃の空気が、そのまま流れているように感じる。この部屋から庭を眺めていると、静かで、とても気持ちがいい。

その後は、もう一回り広い武家屋敷も観察し、人気のお蕎麦屋さんでランチをする。2日目もとても充実している。松江楽しい。外は土砂降りになってきた。急いでまた舟に乗る。

舟は、ますます石垣のない中を進む。両岸に青々と緑が生い繁り、雨でツヤツヤと色濃く見える。ジャングルクルーズみたい。アドベンチャー感が出てきたな。

こういう風景が見えるとは予想外だった

一周まわりきり、舟を降りた。あらためて、乗船場付近を散策する。和菓子、着物、工芸品や和食のお店があちこちある。ぶらぶら見て歩くのも楽しい。

次に乗りたい乗船場の近くに、素敵な喫茶店を発見。まだ時間はある。雨の景色を見ながら、お茶をした。

クラシックな喫茶店。ゆったり座れていい時間を過ごせた

また舟に乗る。2周目です。乗る度に違う船頭さんだったけど、それぞれキャラクターがあり、面白い。途中、民謡を歌ってくれた方がいて、とても感動した。

堀川めぐりの途中に見える季節ごとに咲く花や植物の手入れは、船頭さんたちの仕事の一つになるらしい。しかし、コロナ禍以降、船頭さんが激減してしまい、手が回らない状況だそうだ。観光地の人手不足は、そういうところにも影響が出ていたということに驚いた。

松平のお殿様も、こうして舟で遊びに出たりしたんだろうか

ついに時間切れとなり、JR松江駅まで歩いて向かう。最後は、有名な和菓子屋さんでお土産を買って帰ります。

楽しかったな、松江。「旅行は命の洗濯」みたいな言葉をよく聞くけど、雨のおかげで、いろいろなものが物理的に洗い流されていくのを視覚で捉えられ、気持ちがクリアになった。また来たいな。また来ます。

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