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むらさきのスカートの女 (朝日文庫) 今村夏子 (著)/ 芥川賞受賞作品もいろいろ

扉絵のとおり、Kindle Unlimited 読み放題。
 
書評は web TRIPPER (小説トリッパーは朝日新聞出版が発行する季刊小説誌にまとめがある。
note は出版業界に浸透しているようだ。

芥川賞作家の作品を意識して読む訳ではないが、印象に残る作品が多い。

これらの作家さんが綴る言葉、情景や人物の所作の描き方、その細やかさが好きで読み込んでしまう(読むのに時間が掛かる)。

一方、同じ芥川賞受賞作品でも目新しさで受賞したのでは?と思われる作品もある。芥川賞は新人賞の位置付けなので当然ではある。
(その中でも村田沙耶香さん受賞作の文章は好みの一つ)

今まで今村夏子氏の著書で読んだ作品は「星の子」。
映画を観たあと本を読み、映画が原作とあまり違わなかった記憶がある。

 
前振りが長くなったが「むらさきのスカートの女」を読んで文章表現に惹かれるところはなく、「むらさきのスカートの女」をストーカー並みに始終観察する主人公の変質性とシツコさが気になり「彼女は何者? むらさきのスカートの女は主人公の妄想?」等、疑問を持ちつつ読み終えた。

小説を英訳したルーシー・ノース氏の文庫本解説が、この物語をうまく説明している。

いったいこの語り手の女は何者なのか。この世界でどう生きているのか。
 
読みやすくユーモアもあるのになぜか背筋も凍る。

日本文学では、胸のすくようなわかりやすい結末が描かれることは、むしろ珍しい。

この物語は繰り返される運命にある。終わりがない。それこそがこの作品の核心である。

『むらさきのスカートの女』文庫解説

引用した解説の全文は、出版元が note に載せている。

個人的には「可もなく不可もなく」の作品。
 
物語に骨格が感じられず、主人公目線の登場人物描写だけで話を進めるところが「クラッシックな日本の純文学らしい」と思えなくもない。



MOH