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硝子戸の中/夏目漱石(著)を久しぶりに読んでみる

高校生の頃に読んだ随筆。
時々ネットでタイトルを見掛けるのが気になり、読み返してみた。

短い随筆なので、Kindleに単体はない。
細かく言えば『国会図書館復刻版』がある。


感想

昔の記憶は思った通り曖昧で、読み返してみると自分の記憶が記述と異なっていたことに気付かされる。

記憶では『身体を弱らせた漱石が、小さな庭を見ながらこたつに入ってミカンを食べたりネコを撫でて、日々つらつらしている日記』であった。

今回読み返してみて「ネコがいる」のは正しかったが「こたつに入ったり、ミカンを食べたり」の記述はない。

体調は良くなさそうだが、外出したり来客も日々訪れる。
他人に会う頻度は、在宅勤務中の勤め人よりも全然多く、食客もおり家の中は賑やか。
当時から彼が有名な文人であったためか、面会を求める人々も多い。
それらの人のことを愚痴っぽく書いているのが、漱石らしい。

『漱石がうつらうつらしている』の記憶は、随筆の最後に出てくる。

家も心もひっそりとしたうちに、私は硝子戸を開け放って、静かな春の光に包まれながら、恍惚とこの稿を書き終るのである。そうした後で、私はちょっと肱を曲げて、この縁側に一眠り眠るつもりである。

硝子戸の中

備忘

『硝子戸の中』(がらすどのうち)は、『こゝろ』と『道草』の間に書かれた夏目漱石最後の随筆である。1915年(大正4年)1月13日から2月23日にかけて39回にわたって『朝日新聞』に掲載された。

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